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9/9(火) 楠木舞の見た日常

・1年A組 HRに体育祭の種目決め



夕子「夕子はー、リレーと……」


美百合「リレー?あんた足速いの?」


夕子「50メートル8秒よ!調子いいと7.8秒とか!」


美百合「あぁ、空気抵抗がないからね」


夕子「ははーん、ゆりあんた鈍足なのね?」



…………。


……………………。



ウザいかも。


夏休み明けてから海棠と夕子ちゃんは一気に距離が

近づいた気がする。


それに海棠はいちいち夕子ちゃんの反応を面白がるようにわざと余計なことを言ってからかうようになってるし、しかも聞けば夏休みに1回会ったんだとか。


この2人がそんなに仲がいいとは思っていなかったし、

そんな話も聞いていなかったからちょっとイラッとした。


この前だってトイレに行くとか職員室に行くとか2人で

口裏を合わせて屋上にいたし、自分をハブろうとしているのかと一瞬疑ったけど夕子ちゃんに限ってそんなことありえない。


何をしていたのか聞いても海棠が話そうとする度に夕子ちゃんが「絶対だめ!」って慌てて止めるし、夕子ちゃんの嫌がることはしたくないけど……。


2人の間に秘密があるのがどうにも気に入らなかった。



夕子「まいは何にする?」


舞「……え〜?」


夕子「え〜じゃなくて!体育祭の出たい種目、黒板に

書きに行かないと!もう定員埋まってるのもあるし

どれか一緒にしようよ!」


舞「……そうだな〜」



こうやって一緒の種目を選んでくれようとしてるから、夕子ちゃんが私の事を嫌いになったわけではないことはわかる。


……わかるんだけど。



舞「私2人3脚がいいなぁ〜」


夕子「おっけー!2人3脚……は、定員埋まってる……

3人4脚なら出れるからゆりもどう?」


美百合「何でもいいよ。私のもついでに書いといて」


夕子「おっけー!!」



そうじゃない!!


私は夕子ちゃんと2人で2人3脚に出たかったの!!


ことごとく思い通りにならずイライラするけど、黒板に私の名前を書いてる夕子ちゃんはとっても可愛い。


体育祭休んじゃおうかな。


……ダメだ。


夕子ちゃん、お弁当交換するの楽しみにしてたもん。


それに夕子ちゃんが可愛い髪型で現れるだろうことを

考えるとそんな選択は絶対できない。


夕子ちゃんのお弁当が自分に回ってくる可能性だって

あるんだから。


……ていうか、今日何でこんなにイライラするの?


バカ海棠……ばかいどうのせい?


黒板前に立つ夕子ちゃんはもう1競技、パン食い競走にも私と夕子ちゃんの名前を書いてくれてる。


夕子ちゃんパン好きだもんね……。


可愛いな。


笑顔で戻ってきた夕子ちゃんが席に座るとしばらくしてクラス全員の競技も決まって休み時間が訪れた。


前に座る夕子ちゃんがくるっと振り返ると、



夕子「まい、当日愛知県体育館一緒に行こうね!」


舞「いいよ〜私その日車出してもらうから夕子ちゃんの家までお迎えに行くよ〜」



私がのんびり答えると夕子ちゃんの目がキラキラと輝いた。



夕子「え!いいの!?車ならお弁当もう少しゆっくり

作れる!」


美百合「え?あんた料理なんてできんの?」


夕子「失礼ねー、できるわよ!ゆり、あんたこそちゃんと手作りで作ってくるのよ?コンビニで買うとかはナシだからね」



明らかに嫌そうな顔をする海棠だけど、夕子ちゃんは

先輩たちにも手作り弁当を連絡したと伝え、先輩たちが作る手前断れないだろうと笑う。


楽しみだなぁお腕を上げて伸びをする夕子ちゃんは学校行事を全力で楽しむから本当にいい子だよね。


可愛いな……。



美百合「てかあんた今日新しい香水でもつけてんの?

いつもと匂い違うけど」


夕子「やだー、ゆりってば犬みたい。でも正解。まいが誕生日にくれた金木犀と洋梨の香水なの!ピンクで

超可愛くて___」


美百合「あんた誕生日だったの?」


夕子「え?うん、8月31日」



夕子ちゃんが立ち上がってくるくると回ってみせると

甘い匂いがふわっと香り幸せな気持ちになる。



私があげた誕生日プレゼントの香水、ちゃんとつけて

くれてるんだ……!!



プレゼントした時に大喜びしていた夕子ちゃんの顔を

思い出して、そして今の海棠の嫌そうな顔を見たら

最っ高に気分がいい。


付き合いの浅いあんたは夕子ちゃんの誕生日なんて

知らなかったんでしょ?


さっきまでの苛立ちはどこへやら、私と夕子ちゃんの

間に入る隙なんてないことを再確認できたら心から安心して最高の気分になった。



舞「2人でお祝いしたんだよね〜」



海棠なんか敵じゃない。


私と夕子ちゃんの邪魔はさせないんだから。


夕子ちゃんと2人きりの時間を私ももっと増やそうと

密かに心の炎を燃やした。



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