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9/1(月) 海棠美百合の見た日常3

・9/1(月) 昼放課 屋上にて




美百合「キスでもしてたんじゃない?」



そう言うと夕子は大きな目をこれでもかと見開いてる

けど、内心私は櫟先輩を見直していた。


だってこれで夕子がこの2人の間に割り込む隙なんて

ないことが証明されたようなものじゃない。



夕子「い、いちい先輩のハレンチ……やっぱりね!!!

そういう女だと思ってたのよ!!!」


美百合「いや、あんた前に嫉妬はブスがすることとか

言ってたじゃない」


夕子「嫉妬じゃないわよ!!!」



夕子はわなわなと震えていて、まるで昭和のアニメで

ハンカチを噛み締めるヒロインみたい。


まぁ実際したところを見た訳じゃないし、キスなんて

してないんじゃない?と言ってあげることもできたけど何となく言いたくなかった。



美百合「……てかその人起こせば?9月の日陰とはいえ

熱中症起こすよ」


夕子「分かったわ!私が目覚めのキスをして塗り替えてくるわ!!」


美百合「はぁ!?そうじゃなくて___」



そっとキスしようとする夕子に本気で腹が立って手を

振りかざした瞬間、



志保「起きてるよ」



寝そべっていた男女が起き上がった。


短い秋の風に揺れ、この騒ぎでもいつも通り涼やかな

表情で憎らしいくらい。



夕子「あーん残念!志保様、夕子の目覚めてからのキスは……」


志保「いらないかな」


夕子「ひっどーい♡♡でもいつでもしますから♡♡」



…………。


………………。


え、待って。


どういう心境の変化なの?


夏休み前までは夕子に対して本気でキモくて迷惑そうな顔をしていたのに、今は夕子と普通に楽しそうに話してる。


夏休みに会ったとか言ってたけど、もしかしてこいつと本当にちゃんと遊んだりしたの?


そうでもなければ男女が夕子に向けるその柔らかな表情は説明がつかない。


親しげな2人を見ると名前のつけられない苛立ちがじわりと胸に広がっていく。



美百合「……」


志保「一子は?」


夕子「腹黒いところがあるからどっか行きました!!」



夕子がふんと顔を背けね拗ねたように答えるけど、



志保「何それ」



男女は小さく笑いどこか楽しげでますますイライラする。


……前まで何とも思わなかったのに。


この2人が楽しそうに話してるのが気に入らない。



夕子「だっていちい先輩、志保様にキスしてたから」


志保「そうなの?」


美百合「ちょ、してないかもでしょ!!見てないのに

あんたってなんでそうやって___」


志保「まあ何でもいいよ。教室戻ろうかな」



男女は顔色一つ変えず軽く肩をすくめるだけ。


……普通、それがほんとかどうか分からなくても自分の友達にキスされてたなんて知ったら少しは驚くはずだけど?


なのにこいつはまるで動じない。


普段からそんなことをしてるのか、それとも全く興味がないのか分からないけど、どちらにせよこの男女が夕子に興味を持って笑顔を見せるのが気に入らない。


イライラして仕方ない。



夕子「志保様!また、まったり部で!」


志保「___そうだ、夕子ちゃん」



教室へ戻ろうとする男女がふと立ち止まり振り返った。



夕子「へ?何ですか?」


志保「空が見えるっていいね」



突然何を言い出すのか全く分からないのに、夕子はその言葉に心から嬉しそうに笑って頷いている。



夕子「そ、そうでしょう!?そうなんですよ!!」



男女は軽く手を振って、屋上を後にした。


その背中が遠ざかるのを見ながら、自分の中で嫌悪感がはっきりと形を成す。


なんなのあいつ、大っ嫌い。


気取って何様のつもりなのよ。



夕子「ねーっ、ゆりー!ドキドキして死んじゃいそう!夕子幸せ___って痛い痛い!!あんた急に人の胸触んないでよ!!」


美百合「あんたほぼ板だから心臓の音がよくわかるかと思って」



夕子が私の手を振り払うけど、



美百合「あと楠木に言うからね。日付も何もかも」



冷たく言い放ってやった。



夕子「……え!?な、何でよ!!どうして!?」


舞「2人とも〜何してるの〜?」


夕子「え!?ま、まい!?いつの間に!?」


舞「全然帰ってこないんだもん〜寂しくて〜」


夕子「それはごめんだけど__」




夕子が目を丸くして叫ぶ夕子とは対照的に楠木がのんびりした声で現れた。


楠木は般若のような怖い顔で私を睨みつけてくるけどどうでもいい。



美百合「楠木あのさ」


夕子「ダメー!!!!!!!」



絶対に8月16日に夕子と会ったこと、そしてその後あのクソ男女と一緒にいたことを、楠木にぶちまけてやる。


私の心は秋空の下で燃えるような決意に満ちていた。





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