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課外活動《デート!?3》:木下夕子

・雀おどり總本店にて

クリームあんみつとわらび餅を食べながらお喋り




私の目に玉塚歌劇団ぎょくづかかげきだん宇宙組のきらびやかなポスターが飛び込んでくる。


まるで天の川を背負ったような壮大な背景の中、トップ男役と娘役スターの輝くオーラが映し出されていて

とっても素敵♡


濃密な情熱を予感させる宇宙組らしい神秘的な一枚だわ♡♡



夕子「次は宇宙組の公演かー。美園座なら伏見ですぐ

そこだしチケット買えないかなぁ……」



ファンクラブに入っていてもなかなか取れないチケットをどうにかして当てたいと考えていると、いつの間にか志保様までポスターをじっと見つめていた。


その美しい瞳にはどこか遠い記憶を辿るような光が

宿っている。



志保「……私のお姉ちゃんも好きだったわ」


夕子「えっ!?そうなんですか!?ご贔屓は……」


志保「贔屓?」


夕子「あ、えっと、誰がお好きだったんですか?」


志保「さぁ……?でもこういう人がかっこいいって

言ってたな」



志保様はこういうのとポスターに大きく映るトップスターを指さした。



夕子「さすが志保様のお姉さん!見る目がおあり!」



私は心の中でうんうんと頷きながら志保様の亡くなったお姉さんの審美眼に満面の笑みがこぼれた。



志保「……玉塚かぁ」



ぼんやりとポスターを見つめる志保様はどこか哀愁を帯びていて、そのお美しい目に懐かしさとちょっぴり哀しみが入り混じっている。



きっとお姉さんのことを思い出してるのね……。



何だか私まで泣けてきちゃうし胸になんか熱いものがこみ上げてきちゃた。



___志保様をどうにか励ましたい。




夕子「そ、そうだわ!!!簡単じゃない!!!」



いいこと思いついた!!!


夕子ってば天才なんじゃないのと、このまま遠い目をした志保様を放っておけなくて勢いよく声を上げた。



夕子「志保様も玉塚の男役スターになればいいんですよ!!」


志保「……男役スター?」



志保様が玉塚に入ればトップスター間違いなしだし、

何より、何より……!!



夕子「そしたらあの男とも別れられる!そしてお空の

お姉さんも喜んで見てくれますよ、志保様の心を届かせましょう!!」


志保「……お姉ちゃんに届かせる?」



志保様は興味を持ってくれたようで私は内心でガッツポーズ!


志保の反応は上々よ、この調子で元気を出していただかなければ……。



夕子「志保様知ってます?亡くなった方を思い浮かべた時、天国ではその人の周りに花が咲くんですって!!

志保様が輝くスターになって、舞台の上から元気ですよってお伝えすればお姉様は必ず気づきます!!」


志保「……そんなんで許されるのかな」



志保様様の瞳が揺れたのを私は見逃さなかった。


その言葉にまた私の心が少し重くなる。


やっぱり志保様、お姉様が自分を庇って亡くなられたこたを気にしてるんだわ……。


それもそうよね、目の前で悲劇が起きてそのままあの男となし崩しだなんて……。


志保様の心に刻まれた傷は簡単には癒えないと思うけど、何とか私が慰めれないかしらとあんみつの乗った机を叩いた。



夕子「私、はっきり言いますね!……誰かを庇うって

ことはその人のことを本当に思ってないとできませんよ。それに志保様はお姉さんのことばかりではなく志保様のお気持ちを大事にしないと!」



志保様は少しの間、黙って私を見つめていた。


こんなに志保様と目が合うなんてなかなかないわと思いつつ、悲しみにくれる志保様にバレないよう心を抑えるのに必死だった。



志保「……私の気持ち、ね。……ねえ、玉塚ってどんな感じなの?お姉ちゃんが大好きだったのに私全然知らなくて」



お姉様の好きだったものに興味があるのか、珍しく夕子に質問してきた志保様に慌ててスマホを開いて見せる。


METUBEに載っている宇宙組公演の初日の映像を見せてあげると、



志保「……えっ、こんなに人数がいるの?」


夕子「そうですよ!!ポスターに載ってるのはトップの男役と娘役さん、あとは主要の役どころの2番の方とかなので、舞台に立つ人はもっともっといますよ!」


志保「へぇ……」



煌びやかな衣装や世界が物珍しいのか、志保様はじっと見つめている。


そうでしょうそうでしょう!


私も舞に勧められた時は見惚れちゃったわ!!


舞は娘役さんの方をオススメしてくれてたけど、私はもう男役の人に憧れて憧れて…!!


かっこいいのに、魅力的でセクシーなのに性がないのがたまらない!!



志保「これは?」


夕子「あ、こっちは試験合格シーンです!見たことありません?」


志保「あー…ニュースでなんかやってたかも?玉塚って試験は学力なの?」


夕子「違いますよ!!」



あまりにも無垢な質問に、志保様の知らない世界を全部教えてあげたいという思いが膨らむ。


私はポスターの前で、志保様にきらびやかな玉塚の世界を延々と語る。


志保様の心に、ほんの少しでも未来への光が差し込むようにと。



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