課外活動《カフェ》:海棠美百合
・8/16(土) 栄PARCO地下1階
ステラおばさんのクッキーカフェにて
美百合「……で?」
夕子「おいしいぃぃ……ほら、ゆりも食べなさいよ
もったいない、ここは食べ放題なんだから!!」
美百合「だから!!何で私を呼び出して来たのよ!!」
夕子は電話1本、〝話したいことがある〟とだけ伝えるとブチ切りしやがった。
あとは待ち合わせ場所の詳細がLINEで送られてきてそんな雑な招集で誰が行くかとイライラしたけど……。
夕子のことだからハチ公みたいにずーーっと待ちかねない。
そう思って来たこともない矢場町駅直結のPARCOに何とか到着。
それから入口で待つ夕子にクッキー屋の食べ放題800円に引きづり込まれて、現在夕子のバカは目の前でバリバリクッキーを食べ漁ってる。
夕子「やけ食いするのと、私の完璧な推理をゆりに聞いてもらうためよ!」
美百合「……推理?」
夕子「志保様が本当はお付き合いも結婚も望んでないってこと!!」
美百合「……はぁ」
結局あの男役の話かよとイラッとした。
大体あの男役もよくやるよね。
貰い手がつかない未来に先手打って若いうちから金持ちの地味ーーな男に手をつけとくだなんてさ。
それもまだ若いのに車だけ見せびらかすみたいに白の
マセラティ乗った地味な院卒。
実家が極太そうな地味男は静かで夕子の暴言にも怒りゃしなかった。
全然好みじゃないけどあんな有良物件どこで拾ったんだろう。
美百合「続けて?」
甘いものは別に好きじゃないけど、忙しない夕子と出会ってから人は本当に疲れてると甘いものが身に染みるってわかったわ。
お皿の上のチョコチップクッキーを1口食べると歯にくっつく甘さ。
さすが海外クッキー。
夕子「あのね、志保様は多分身代わり婚じゃないかって!!」
…………。
……………。
何言ってんのこのバカは?
美百合「ねぇ、今日楠木は?」
夕子「最初に言ったでしょ!!日舞のお稽古!!で、
聞いてよ、あの冴えないパパ活クソ野郎は多分志保様
じゃなくてお姉さんの許嫁だったのよ!!」
今日こそ楠木が夕子の相手をすればをいいのにと腹が立つ。
このバカのどうしようもない推理を私にどうしろって言うの?
大体あの男役に姉がいるかもわからないのによくこんな推理するわね。
美百合「……で?」
夕子「お姉さんが亡くなった悲しみに打ちひしがれた2人は支え合うように生きてきたの。それがいつの間にか鎖となり離れられない関係に……」
美百合「……え、韓ドラの話してる?」
夕子「でもね、志保様には好きな人ができて今困ってるの」
美百合「誰が好きなのよ」
夕子「私よ!!志保様は私が好きなの。当たり前じゃない」
………ぶっていいかな?
全然私の話も聞かず話し続ける夕子にため息をついて
アイスコーヒーを1口飲む。
え、何?
このどうしようもない話を聞く為だけに私はこんなとこまで来たっていうの?
夕子「はー、あの男本当に邪魔ったらありゃしない……どうにかして別れて貰って夕子と___」
美百合「あのさぁ」
ちゅっちゅっとピンクの唇を窄めた夕子は自分の手を
ギュッと重ねて男役とのキスを妄想してる。
クッキーの粉が口角の辺りについているので教えてやるとペロと赤い舌を出して舐めた。
あんたみたいなバカはしっかりした私みたいな……。
………。
私みたいな何だって言うのよ。
………。
……………。
まぁいいわ。
とりあえずあの男役に彼氏がいて良かったと生まれて
初めて思った。
このバカももう諦めればいいのに、あんな男なのか女
なのか中途半端な存在のどこがいいのかマジで分からない。
美百合「あのさ、前から聞きたかったんだけどあんた
アレとどうなりたいの?」
夕子「はっ?」
前から聞きたかったことを直で聞いたらなんてマヌケ顔。
いつもならそれもどうと思わないのに、今日は苛立って仕方ない。
美百合「付き合いたいの?キスしたいの?あの男としてるようなことをあんたにして欲しいの?」
夕子「な、何よ突然。ゆりってば何怒ってんのよ」
美百合「怒ってない」
夕子「怒ってるじゃない。糖分が足りてないのよ、ほら」
無理やりクッキーを私の口に突っ込もうとする夕子の手を払う。
さっきから男役の話ばっかりで何なのよ。
私はそんなどうでもいい話を聞きに来たんじゃない。
私がしたいのは…。
私は……。
美百合「……帰る」
夕子「はぁ!?」
美百合「じゃあね」
夕子「ちょ、ちょっと待ってよ!!」
食べ放題料金は800円だったけどめんどくさいのとこれ以上イライラしたくないと雑に1000円札を机に置いて私はお店を飛び出した。
8月16日(土) 曇り
特になし。
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殴りたくなる瞬間
1年A組6番 海棠美百合




