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記入者3続:木下夕子

・旧音楽室にて

謎の2人と対面して座りながら自己紹介




頬に熱を感じて手で触っていると再び音楽室の扉がガタガタと鳴った。


ゆりと舞が戻ってきたのね、ついに私の王子様を見つけたって説明しなきゃと振り返れば、



夕子「う、嘘……何その人……!?」



傾国の美女って存在するんだとしか言いようのない黒髪ロング野超絶美人とともにゆりが部屋に戻ってきた。



美百合「夕子って綺麗なもの好きなんでしょ?トイレでナンパしてきてあげたよ」


夕子「バカバカ!私は綺麗なものが好きなだけで綺麗な人は……!!」


舞「悔しくなっちゃうんだよね〜」


夕子「おかえり舞!!!悔しいっていうか、く、悔しい、てか誰?この美人は!!」



ゆりがナンパとかバカげたことを抜かしてるけど、華奢で折れそうな傾国の美女は困惑した顔つきだ。


腰まで届く黒髪がほんの少しの動作でサラサラと揺れて、どこのリップを使っているのかその唇は濡れたように程よい赤みを帯びている。



「あ、志保(しほ)ちゃん」



美女はそう言って私の王子様の傍に来たけど、



「座んなよ、一子(いちこ)



王子様はそっと傾国の美女に椅子を差し出した。


王子様の名前は〝しほ〟って言うんだ。


どんな字を書くんだろう……。



夕子「あの、お名前教えてくれませんか?」



明らかに王子様は美女を優遇していて、死ぬほど悔しいけど笑顔で王子様の名前を尋ねる。



「……貴方から言うべきじゃない?」


夕子「伊集院美咲です」


「ふーん、私は梓志保(あずさしほ)


夕子「あ、あの、もしよろしければ漢字を教えていただけないでしょうか?」



王子様はスマホに自分の名前を打ち出して私にわざわざ見せてくれた。



美百合「……は?みさきって、夕子何言ってんのよ、あんた木下夕子でしょ?」



すぐに私の名前を訂正するゆりを睨みつけると、舞が懇切丁寧に余計なことを口にする。



舞「夕子ちゃんは〜自分の名前が嫌なんだよね〜、画数が多くて〜、特に名前に〝美しい〟が入ってるのが憧れなんだよね〜」


美百合「変なの。じゃあ私のことも美百合って呼びなさいよ」


夕子「あんたみたいなふてぶてしい子に〝美〟の字は勿体ないわよ!!ゆりで十分!!」


舞「夕子ちゃん湯婆婆じゃないんだから〜」



舞は私を見てケラケラわらってるけど、私は本気で言ってるんだから!!



夕子「あんたほんと前から言いたかったけど、海棠美百合って高尚ぶった名前だからって調子に乗らないでよね!!」


美百合「名前ごときで何言ってんの?それにバランス悪くない?美百合なんて古臭いし」


夕子「名前に美しいが入ってる時点で勝ち組なのにずるい!私も美美杏(びびあん)とかそーゆうのが良かったのに、木下夕子だなんてダサくて死にたいー!」



泣きたくなってきて机に突っ伏してると、



志保「へぇー、夕子ちゃんって言うんだ、可愛いね」



私の王子様は声まで素敵で、生まれて初めて自分の名前をいいと思ったわ!



夕子「そ、そうですか?私可愛いですか?」


一子「可愛いよ」


夕子「あなたみたいな美人に言われたらやっばりダサい名前な気がするー!!」



傾国の美女がにっこり微笑んでくれるけど、こんな美人に言われても嬉しくも何ともなくて泣きたくなってしまった。


綺麗すぎる真っ黒の長い髪、白玉より白い肌、そして苺みたいに真っ赤な唇から発する声はケーキみたいに甘い。



一子「私なんか漢数字の一で一子だよ?」



美人の名前は割と普通だけど苗字はどうなのかしら?


これで伊集院とかだったら喚いてやるし、権田(ごんだ)とか毒島(ぶすじま)なら許してあげる。



夕子「……苗字は何ですか?」


一子「え?(いちい)だよ?」



……いっ!?



夕子「い、一位の一子ですってえええ!?自分で可愛さナンバーワンを名乗るの!?それに美人の親は名前にまで自分の娘の美しさを誇示したいのーっ!?」



荒ぶる私の頭を横から美百合がぶっ叩いた。



美百合「うるっさいな!すみませんこの子頭悪くて」


志保「あー、そんな感じだね」



王子様はグランドピアノに持たれて私の様子をゲラゲラ笑ってる。


ダイナミックに大口を開けて笑うところも素敵……じゃなくて、うっとりしてる場合じゃないわ!


第一印象は大切なんだから訂正しないと!



夕子「私頭悪くないです!!ゆり、あんたなんて事を……」


一子「志保ちゃん、酷いこと言わないの」



傾国の美女がおっとり王子様を宥めるもんだから可愛い私がまるで性格ブスみたいに見えてくる。



舞「あ〜、美人って性格もいいんですね〜」


美百合「夕子あの人見習いなよ」


夕子「わ、私性格悪くないもん!ひどいーっ」



これじゃああんまりだわと机に突っ伏して泣いたフリをしていると、



一子「大丈夫だよ、誰もそんなこと思ってないよ」



傾国の美女が私の背中を優しくさすってくれた。


ナンバーワン美女の一子さんは匂いまで甘く優しくて、どこのシャンプー使ってるのか絶対突き止めたい。



舞「夕子ちゃん〜、リボンの色違うし〜先輩の手を焼かせないの〜」



舞の言葉で自分の首もとの手結びリボンと志保様と一子さんのリボンの色が違うことに気がついた。


赤色の私たちと違って王子様たちは青色で2年生なのね。



志保「新入生だよね、ここで何してるの?」


夕子「部活動中です!!あの、よければ私たちの〝まったり部〟に入りませんか!?」



志保様に質問されていつまでも伏せってられないと顔を上げて勧誘した。


もし志保様が入ってくれれば毎日この美しいお顔を眺めてケーキを食べることができるじゃない!



一子「まったり部?どんなことするの?」


美百合「ケーキ食べたりお喋りしたり、女子高生を謳歌するらしいですよ」


一子「へぇ……ケーキとお喋りかぁ……」



ところが志保様よりも一子さんの方が熱心に耳を傾けていて、顎に人さし指を当てて上を向き考える仕草まで完璧で可愛すぎる。



志保「一子は可愛いね」


一子「もう……またそれ?何回も揶揄わないで」


夕子「し、志保様!!私の顔なんかどうですか?ね?ね?」



私も相当可愛いけどこの人の仕草を真似したらもっと可愛くなるわ。


私の志保様、さぁ褒めてと願いを込めて真似すると



美百合「顎痒いの?」


夕子「あんたに聞いてない!!……さ、とりあえずお2人ともよければ入部を___」


志保「行こ」


一子「え!?あ、ちょっと志保ちゃん……!!」



私の王子様は一子さんの手を取り部屋を出て行ってしまった。










4/24 木曜日♡


梓志保様と運命の出会いでした♡

私の王子様なんだと思います♡

運命の赤い糸が私たちを紡ぐ…♡

絶対にまったり部に入部して貰って、

私とのハッピーライフを過ごそうと思います♡


♡ゆうこ♡



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