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記入者3:木下夕子

・旧音楽室

古いピアノの椅子に座りながら




美百合「クソしてくる」


夕子「え?」


美百合「だから、クソしてくる」


夕子「聞き間違いじゃなかった……ありえない……いくら女子校とはいえ普通にありえない!あんたのその顔でクソとか言わないでよ!!せめてお花摘んでくるとかさぁ……」


美百合「トイレに花なんか咲いてないじゃん」


夕子「そーいうことを言ってるんじゃないの!マナーよ、マナー」


美百合「じゃあ筍取ってくる、これならいい?」


夕子「よくない!!」


舞「大きい方でいいのにね〜夕子ちゃん飲み物買ってこようか〜?」



ゆりはトイレに、舞は購買で紅茶を買ってきてあげると2人揃って部屋を出ていった。


悔しいから本人には絶対言いたくないけど、ゆりってば見た目だけは無気力ミステリアス系美人なのにどうしてああもふてぶてしいんだろう。


自己紹介で東京出身って言ってたけど、渋谷とか原宿じゃないわねアレは。


本当は群馬とか奥多摩で、それもかなり奥の方なんだと思う。


そうじゃなきゃあんな汚い言葉遣いにならないと思うのよね。



夕子「紅茶かぁ……」



この使われていない旧音楽室を見つけた時はときめいちゃったなー。


グランドピアノも素敵なんだけどこの部屋だけ何故かカーテンが臙脂のベルベットで高級な感じが堪らない。


この部屋にティーセットを持ってきたら本格的なまったり部になりそうじゃない?


そんな事を考えながら今日のスイーツタイムのケーキをカバンから取り出す。


小さな白いケーキ箱の蓋をそっと開けると……



夕子「か、可愛い〜……♡」



大事に大事に持ってきたから、今日は完璧、苺も上に乗ったまま!


本日のスイーツは〝L'ECRIN DE YUMIKO〟の愛らしいショートケーキ。


3人で食べたら楽しいと思って活動初日にケーキを頑張って持ってきたのに、何だか少し悲しくなってきた。


もういいもんね。


2人に一口もあげないんだから。


そうやって2人とも賞味期限を気にして一生生きていけばいいのよ!


家から持ってきたピンクの紙皿にショートケーキをそっと移す。


フォークは家から持ってきたイギリス製ヴィンテージシルバーのもので取っておきのものよ。



夕子「いただきま___」



口を開けながら呟いた瞬間、ガタガタと立て付けの悪い旧音楽室の扉が開いた。


やだ、もうトイレしてきたの!?ちゃんと手洗った!?


ショートケーキから顔を上げると、




夕子「好きです!」



思わずそう言わずにはいられないくらいかっこいい人が立っていた。



私は今日、ついに運命の赤い糸で結ばれた王子様を見つけたの。



淡い虹彩を持つ幅広の二重の少し垂れた目にアクアマリンのような宝石のような瞳。


ショートカットのヘアスタイルは七三でスタイリッシュに分かれていて、明らかに染めたシルバーグレーの髪色が素敵。


優に170cmを超えた身長も頼りがいのある感じがして素敵だけど、私より背が高いのに私より顔が小さいのはどうしてなのかしら。


そして何より1番聞きたいのは、



夕子「ど、どうしてスカートを履いてるんですか?」


「女だから?ここ女子校だし」


夕子「そっか……そ、それでも好きです!」



男でも女でもどっちでもいいと思える存在に初めて出会った気がする。


だるそうに前髪をかきあげる仕草までかっこいい!


もう全部が素敵で全部がかっこよくて、好きで好きで胸の高鳴りが止まらない!!


聞こえる筈もないハレルヤコーラスが旧音楽室に響いている気がして、空想上の天使達がラッパを吹き鳴らしているみたい……!!



「そのショートケーキが?」


夕子「いえ、貴方が!!」


「私?変な子」



王子様はモデルのように長い足でゆっくり傍まで歩いてくる。



夕子「ど、どうぞ私の横に座ってください!!」


「やだ」


夕子「それなら前に!」


「やだ」


夕子「ショートケーキ食べます?」


「いらない」



全てを即答で否定されシュンと項垂れていると、



夕子「あっ!!!」



王子様はなんとショートケーキの1番上の苺を白く美しい指先で摘んで1口で食べてしまった。



夕子「い、苺……」


「私、ショートケーキの1番上の苺は好きなのよね」



愛おしげに自分の指をしゃぶるその姿が変にセクシーで私は頬が真っ赤になるのを感じてしまった。






夕子と王子様の運命の恋の行方→次のページへGO♡

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