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5/2(金) 楠木舞の見た日常2

・昼放課

ランチルームにて




夕子「礼!さ!!舞、ゆり、2人とも走って!!行くわよ!!」


美百合「え?ちょっと___」



夕子ちゃんに手を取られた私たちは無理やり走らされる。


昨日夕子ちゃんから私宛に連絡が来たけど、多分海棠はしてないだろうし知らないんだと思う。



舞「走ったら危ないよ〜」


夕子「今日のランチは〝大人のためのお子様ランチ〟なんだよ!?無くなる前に早くランチルームに行かないと」


美百合「はぁ!?聞いてないし、てか私今日パン買ってるし!」


夕子「あんたはいつもパンばっかりなんだからたまにはいいでしょ?」



海棠って昼放課は必ずコンビニのパンなんだよな。


ま、どーでもいいけど。


5階から一気に階段を駆け下りるけど足が縺れそう。


何とか耐えながら猛スピードで夕子ちゃんの後について、1階のランチルームに3人で駆け込んだ。



夕子「席を取るより先に並ばないと」



夕子ちゃんはすでに10数人並んでいる列に海棠と私を順に先に並ばせてくれた。



夕子「ね、あの見本見て!可愛くておいしそー♡2人とも〝大人お子様ランチ〟にしなね!」



夕子ちゃんは遠目に見える可愛らしいランチに大興奮。


ほっぺがいつもより上気して赤く見えて可愛いな。



美百合「は?自分で選ばせてよ、大体そんなガキっぽいの___」


夕子「ゆりったらほんとバカね……私たちまだ全然子供でしょ!?それにくまちゃん型チキンライスが卵の毛布被っててめっちゃ可愛いオムライスがメインなんだよ!」


舞「夕子ちゃんオムライス大好きだもんね〜舞は夕子ちゃんのオススメのそれにするよ〜」


夕子「めっちゃ美味しいって姫奈先輩に聞いた時から絶対3人で食べたかったの」



どんどん進んでいく列に、しばらくすると夕子ちゃんオススメ大人お子様ランチの見本と一緒に説明書きが貼ってあるのが見えた。



『大人気!大人お子様ランチ!700円


・おやすみくまちゃんオムライス

・チューリップからあげ

・エビブロッコリーサラダ

・たこかにウインナー

・愛情たっぷりハートハンバーグ

・ちゅるりんナポリタン


高校生はまだまだお子様!限定20食のお子様ランチでエネルギーチャージ!』



…………結構ボリューミーだなぁ。


この量で700円ってさすが学校のランチルーム。


外で食べたら2倍はするだろうな。



夕子「あ、ほらほら注文だよ!」


美百合「親子ど___」


夕子「この子も〝大人お子様ランチ〟で!」



夕子ちゃんは海棠に他のものを頼ませまいと後ろで大声で品名を告げた。



美百合「ちょっと!!」


舞「私も大人お子様ランチで〜」



手前にいるランチルームのおばちゃんに注文してからそのまま受け取り口にスライドしていく流れだ。


海棠は諦めたのかため息をついて前に進んで行った。



夕子「すみませーん、私も大人お子様ランチ___」


「あぁ、ごめんね。今ので売り切れだよ!」


夕子「え!?!?」


「ごめんねー、あなた何にする?」


夕子「え、あ、んー……じゃ、じゃあ親子丼で…」



うわ、私の分が最後の1つだったんだ。


あからさまに落ち込む夕子ちゃんはトボトボと歩いて受け取り口まで来たので、私も食べてみたかったんだけど譲ることにした。



舞「夕子ちゃん〜、私のと交換しよ?」


夕子「だ、ダメよ!!舞も楽しみにしてたんだから!」



ブンブンと首を振る夕子ちゃんだけど、先輩から美味しいって聞いて3人で一緒に味わいながら感想とか言いたかったんだよね。


それでも譲ろうとする夕子ちゃんのこういう心優しいところが大好き。



美百合「……先席取っとくよ」



海棠はふらりと混み始めたランチルームの席を取りに歩いた。



夕子「……お、親子丼もお肉超柔らかくておいしいから!舞気にしないでね、ランチルームの食べ物は全部おいしいのよ!」



うーん、こういう言い方してる時は夕子ちゃんに交換しよって言っても聞かないんだよな。


一所懸命気を遣ってくれるけど、私は夕子ちゃんにお子様ランチを食べて欲しかった。



「大人のお子様ランチ、親子丼出来上がったよー」



おばちゃんから受け取ったトレーを手にして海棠を探すけどどこに座ったのか見当たらない。


いつの間にかランチルームは人が溢れ返ってて、あんな地味な女見つけられるかよと苛立つと、



姫奈「舞〜!!夕子〜!!こっちこっち」


夕子「姫奈先輩!?」


姫奈「ゆりがうろついてたからラチった!ここで一緒に食べよーん」



今日もポニーテルで派手な星柄のシュシュを結んでるギャルはものすごく目立っている。


夕子ちゃんがトレーを手に駆け寄ればギャルだけじゃなくて安定に児ポ先輩もいた。


そして自分以外の全員が〝大人お子様ランチ〟をゲットした状況を知った夕子ちゃんは涙目だった。



夕子「……お子様ランチ……」


姫奈「あれ?夕子はお子様ランチにしなかったん?好きそうなのに」


美百合「目の前で売り切れたんですよ。私たちに列譲るとか変に気遣ったばっかりに」


夕子「だ、だってだって!!姫奈先輩から美味しいって聞いたから3人で食べたくて……でも……」



明らかに項垂れる夕子ちゃんに、児ポ先輩は立ち上がる。


そして大きめの取り皿を持ってきたかと思うと、自分のくまちゃんオムライスを半分そのお皿に乗せて夕子ちゃんに手渡した。



夕子「えっ……これ……」


薫子「…………」


姫奈「何何?先輩だからあげるって?じゃあアタシもハンバーグあげる」


舞「私もチューリップと〜ウインナーあげるよ〜」


美百合「……エビもブロッコリーも好きじゃないから」


夕子「み、みんな〜!!」



全員が取り皿の上におかずを乗せてあげて完成した優しさのなんちゃってお子様ランチに、夕子ちゃんは嬉しそうに写真を撮り始めた。



夕子「みんな優しい!!大好き!!いっただきまーす!!」


美百合「……うま」


夕子「でしょ!?私も……んー!!おいしい!どっちもおいしい!」



親子丼とお子様ランチを交互に食べる夕子ちゃんはわんぱくで本当に可愛い。


児ポ先輩のおかげこの流れになったなとチラと見れば、満足そうに大きな口を開けてオムライスを食べている。


食べる顔が変にエロく感じる女って存在するんだと初めて思った。



夕子「……ここに2年生もいたらよかったのにぃ」


姫奈「しっぽが、だろ?しっぽと一子はいつも屋上で2人で弁当食べてるからランチルームには来ないよ?」


夕子「な、な、な、何ですってー!?!?」



立ち上がって今にも走り出しそうな夕子ちゃんを抑えて、



舞「屋上はまたお弁当持ってきた日に行こうね〜」



憎いあの男役から気を逸らした。






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