8話 初めてのエンカウント×2
※後書きに挿絵があるのでお見逃しなく
誰かさんが毟ってポイ捨てしてたから、来ちゃいましたね。
2025/8/21 加筆修正
慌てて根っこを引き抜き、精一杯の四足ダッシュで逃げる。間抜けな格好で逃げるワンダをあざ笑うかのように、緑猿が背中に取り付いてきた。一匹、三匹、五匹と、次々のしかかられて動けなくなってしまう。
ボキッ!ブチッ!パキッ!ムッチャムッチャッ!
どうやら草食だったようで、体から生えている枝葉を毟って食べ始めた。
(頼むから、髪だけは勘弁してくれ~っ!)
そんな心の叫びも虚しく、頭の苔は無慈悲に毟り取られた。
ブチブチブチッ
しかも匂いを嗅いだだけで、食べるでもなくそのままポイ捨てされてしまった。流石に食べもせず捨てられるとは思っていなかったワンダは、思わず大声を上げてしまった。
「タべなイなら、トるなァッ!」
「キィヤアシッ!ヤベッタァッ!ギャアッ!」
驚いて離れてくれたが、その目つきはよろしくない。完全に敵対してしまったようだ。
(先に襲ってきたのはそっちだろ?!)
「ギャガァアッコッ!ロセッ!ギャガァアッ!」
また4足ダッシュで逃げ始めたのだが、猿共は蹴りや揺さぶりといった攻撃を仕掛けてきた。
(揺さぶりはまずい!酔ったら、動けなくなってボコボコにされる!)
吹っ飛ばされ、転ばされながらも何とか逃げようともがいていると――。
(ピーッ!ピッピーッ!)
シュッーー・・・カーンッ!
口笛が聞こえた後に、鋭い音と共に弓矢が飛んできて岩に突き刺さった。
「ァエッ!ルフッ!テッタアッ!イッギィッ!」
弓矢に驚いた猿の群れは逃げていった。
(危ない目に合っている所に、颯爽と現れた救援!この流れは、美少女に助けてもらって仲良くなるという王道パターンじゃないか!異世界万歳!)
向かいの山から、3人の耳の長い女性達が下りてきた。
(まさか、あの山頂から弓矢で撃ったのか?何百m離れてるんだ…)
「ロンニヒワゥ、大丈夫か~?」
「ロンニヒワ、あリガトうゴザいマしタ!タすかリましタ!」
カゴをしょった大人が二人に、弓矢を持った子供が1人。
(もしかして、二人に教わったエルフかな?)
「モザルがあんなに騒ぐなんて珍しいから来てみたら、もっと珍しいのが居たな」
「人間じゃない?全身が木でできてるのか…?」
「バケモノ?倒す?」
旅に出る前から覚悟はしていたが、やはり見た目のせいで警戒されてしまった。せっかく助けてもらったのだから、なんとか仲良くなりたい。
(さっきの弓は凄かった。褒めたら、好感度が上がらないかな?)
「かラだハキダけド、なカみはにンげンノつモりデす。あナたがタはエルフデすカ?」
「あぁ、そうだ。山の向こうのアマリィキロウリェンから来た。」
「あラためテ、タすけテくれテあリがとウござイましタ。まダちイさのに、さっキのゆミ矢はすゴかったネ!」
「ふふん♪当然よ、たくさん練習したんだから!でも、子ども扱いしないで!あたし、91才なんだからね?」
頑張っている子供を褒めるのは、良いことの筈だ。小さいは余計だったが、努力を認められて喜んでいるように見える。
(喜んでもらえているみたいだし、もう一押し!)
「さスがエルフ!ユみはウまいシ、わカくテきれイだね!」
少女に声をかけたこと自体が、そもそも間違いだったのだ。あの時、大人二人の冷たい視線に気づけていたら、結果は変わっていただろうか――。
ゴッ!ドカッ!
突然の衝撃。体が地面に押し付けられたと気付いた時には、大人組の二人に拘束されていた。
「最初から怪しいと思っていたんだ!こいつ、ロリコンか!」
「まだ二桁の幼女を口説くなんて…。こいつは戻って処刑しましょう!」
「え…?A…。エ?」
二人の目からは、先ほどまでほんのわずかに感じられていた友好の色が、跡形もなく消えていた。押さえつけられた肩越しにチラリと見えたその瞳に宿るのは、まさに絶対零度の拒絶、軽蔑。
残念ながら、完全に敵対してしまった。唯一、弓を褒められてニマニマしていた少女だけが、突然の事態に付いて行けずにあわあわしている。
(せめて彼女だけでも、仲良くなりたいけど…。近づくなって言われそうだな。異文化コミュニケーション失敗…。難しいなぁ)
どこかズレた感想を抱きつつ、ボロ雑巾のように扱われながら運ばれていくのだった。
↑藻猿
盗葉緑体という能力を持った草食の猿。
葉っぱを食べる事で葉緑体を取り込み、体毛で光合成を行う。『元気な葉緑体=ご馳走』なので、周囲の植物を成長促進するワンダの枝葉は、さぞ美味しそうに見えたのだろう。
イメージ考案:ワンパぶいちゃ猫
使用した生成AI:Copilot
↑最初に作ったNG版
最初に下の絵が出力されて、イメージ通り怖そうだなと思ったのですが…。よくよく考えたら、この猿は草食なんですよね。NG版の猿は明らかに牙があり肉食獣の歯に見えます。まぁ、襲われたワンダ視点だとこんな感じに見えていたのかもしれませんね。
読んでいただき、ありがとうございました!
貴方に、満月の祝福がありますように…




