44話 二回行動、なんとか達成
長くなりそうな予感がしたので、短いですが投稿させていただきました。
寝ても寝ても眠くて、作業効率が上がりません…。
本日2回目の商店到着は、お昼過ぎとなった。里で小休憩を挟んでから出発したので、少し疲れはあるが帰りも荷物を運ぶことは出来そうだ。時間も、片道40分強といったところだ。できれば片道30分、往復1時間まで縮めたいが、すぐには難しいので当面の目標とする。
(時間の短縮か、背負う荷物を増やすか悩むけど、百キロを担いで歩くなんてやっぱ難しいよね…。やっぱり時間かな)
昆布さんが別の背負子で荷造りしてくれていたので、あとは運ぶだけとなっており助かった。軽い乾燥食品が多いせいか、背負子に棒が継ぎ足されていて、かなり高く積まれている。それでもバランスが上手く取れたのは、昆布さんの積み方が上手いからだろう。重い物は背中の真ん中あたりに集められており、体の重心に近いおかげでとても歩きやすいのだ。
(これぞ”生活の知恵”って感じだね)
荷造り技術は学んでおきたいので、商店で荷ほどきしながら積んである順番を観察する。量が多いうえに、パズルのように組み合わせて積み付けてあるので、慎重にほどいていかないと荷崩れを起こしそうで怖い。作業の終わりが見えてきた頃、千歳さんがやって来た。
ギィィィィ…、ギギギィィ…
「やぁ、お疲れさん。待たせちゃってごめんねぇ。往復するのは初めてだったけど、大丈夫かい?」
珍しく、同じタイミングで外の商人さんが来ていたのだ。商談は無事終わったようだ。
「ちょっとツかレテきてるけど、少し休んだら大丈夫そうです。うレユキはどうですか?」
「豊作だって言ったら、喜んでたくさん買っていったよ。なんでも、今年の冬は、例年よりもうんと冷え込むらしくてねぇ。寒さが長引くかもしれないから、多めに仕入れたいらしいねぇ」
「おぉ、それじゃぁたくさんカセゲそうですね。外からの食料はどうですか?コうカンきボうシャが増えるかもって聞きましたが」
「そっちはいつもと変わらないくらいかねぇ。売り渋りされなくて良かったよ。こっちが売るばかりじゃ、里の食料が寂しくなるからねぇ。ただ、秋にできる限り増産するつもりなのか、腐葉土の需要がかなり高まってるみたいでねぇ。もっと売ってくれって催促されちゃったよぉ」
「はは、それなら昆布さんにはガンバッテもらわなきゃですね」
「そうだねぇ。毛皮も、思ったより売れそうだし…。追加の納品依頼書を渡すから、帰りにお願いねぇ」
「分かりました」
「んじゃ、すぐに査定を終わらせるから、猫草と遊んで待っててねぇ~」
そう言うと、作業に取り掛かった千歳さん。地球でも、年末が近づくにつれて特有の慌ただしい雰囲気を感じたが、こういうのはどこの世界も共通らしい。千歳さんは、商人と取引した荷と、ワンダが持ち込んだ荷に囲まれて、ドリアードの緩慢な動作なりに忙しなく動き始めた。言われた通り、猫草と戯れて癒されようと、ワンダは庭の方へ足を向けた。
ギッシトン…、ギィトン…、ギッシトン…、ギィトン…
(流石に二往復初回だから、疲れてるみたいだな。少し長めに休憩を取ってから帰ろうかな。運搬料は、最初のを引いて三回分だから…。¥1,500かなぁ?)
「んちゅ、んちゅっ」
少し成長してきた猫草に、スポンジのような素材の植物で液肥を与えながら、帰り道や給料の事をボーっと考えていると千歳さんから終わったと声が掛かった。
「お待たせしちゃったねぇ、品物は確認できたよぉ。帰りに持って帰って欲しいのがここに置いてある物で、運搬料は全部で¥1,600だねぇ。これから忙しくなるから、少しおまけしておいたからねぇ」
「おぉ、ありがとうございます!」
(¥100とはいえ、こういう気遣いはうれしいね。日本の会社勤め時代は、あんまり無かったからね…)
こういった、ちょっとした気遣いがあるのと無いのとでは、労働後の満足感が全然違う。期待されているという事でもあるので、俄然やる気が湧いてくるというものだ。
「では、またチカいうちに来ます」
「書き入れ時だからねぇ、頑張ってねぇ!」
「はい、ガンバリます!」
――こうして、異世界に来てから初の、繁忙期に突入したのだった。
読んでいただき、ありがとうございました!
貴方に、満月の祝福がありますように…




