第一話「銘」
二話目、、、
私が物心ついた時にはもう「銘」というのは当たり前で、一般常識で、その存在に疑問を抱くことなどなかった。三十年前を生きていた人にとって「銘」は斬新な(というか、超常的で摩訶不思議な)システムだったらしい。その当時は世界中が大混乱で政治も経済も何もかも破綻し、法もまともに機能せず消滅した国もうんたらかんたら…現在は「核の抑止力」的に各々が各々を守っている(それと同時に脅している)状態なので、相当な自信のあるやつしか人に危害を加えようとはしてこないし、そいつらのターゲットに他でもない自分が選ばれるなんてまずない…はず…なのだが…
「剣山」
私は何者かに刺された。地面から突然出てきた剣山のような物に、腕が千切れるほどめった刺しにされた。明らかな殺意があった。でも、憎しみはなかった。あれは…きっと達成感だ。私は死んだ。
無論、意識は手放してないが。
「復活」
とりあえず千切れた手を回収し私を刺した奴の方へ…逃げたか?
…私に対する強い憎しみはなかったし、、、
あいつは私で”腕試し”をしようとしたのだろう。あいつが感じていた達成感はきっと、その腕試しがうまくいったからだろう。それも、言葉一つ発することすら許さない程の圧勝だ。…ああいう輩に自信を持たせるのは危険だな。とりあえず、返り血から”復活”して驚かせてみようかな。
…いいなそれ、やってみよう。
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「回転」「復元」との間に生まれた「回復」は、他者への攻撃能力を持たないどころか己の傷を癒す”だけ”の至って平和的な銘だった。しかし、”無能の天才”シュシュベルトによって提唱された「銘の拡大解釈」により、「回復」は神をも凌駕するほどの銘に化けるのであった。
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『人を自分の銘で殺すのはこんなに楽しいのか…』
…とでも言いたげな顔だね、こいつの肩の返り血から目玉だけ”復活”させてちょいとモニタリング。この男、意外と顔は悪くない。この顔が驚いたらどうなるか…正直ちょっと気になるところ。さて、
「復活」
ドッキリは大成功。けれども奴はすぐ気を失ってしまったため、肝心のリアクションは見れず…バラエティーとしては大失敗。それでも、ドッキリは大成功だ。それだけで私は満足だ。
よし、帰ろう。
★とかくれたら喜ぶタイプです。
くださいな、