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結婚式、それぞれの手紙

作者: のんのん

結婚式のクライマックス、娘から両親への手紙の場面です。


親にとって子供とは、いつまでも子供です。

子供が成長するにつれ忘れてしまう、

日々の小さな出来事を親は覚えています

※結婚式場:新婦から両親への手紙が読まれ始める


娘:お父さん、お母さん、これまで二十五年間本当にありがとう。

娘:私は今日、彼と結婚します。

 

父:愛する娘へ、結婚おめでとう。

父:私がその場にいられないこと、私のせいでは無いとしても謝らずにはいられません。

 

娘:私は小さい頃からワガママで、高校生になってからは両親の言うことも聞かず、好き放題していました。ごめんなさい。

娘:そして二十歳で家を飛び出すまでに、とても迷惑をかけました。

 

父:普通より早く生まれたあなたは体重が1600グラムしかありませんてした。

父:私達はとにかく、ただ無事に、大きくなって欲しいと祈る日々でした。

 

娘:悪いことをしては、いつも鬼のように怒るお父さんと、それをたしなめるお母さん。

娘:悪いのは私なのに、お父さんの叱り方が強過ぎると、よく二人が喧嘩をしているのを見るのが嫌でした。

 

父:二の徘徊と、とにかく色んなことで私達は学校に呼び出されていました。

父:それでもアナタは母さんの子です。根は優しく、弱い子を守ったり、お年寄りに優しかった。

父:だから、どうしようもない大人にはならないという自信はありました。

 

娘:でも一人暮らしを始めて、すべてを自分でするようになってみると、仕事と家事で手一杯。

娘:そこに言うことを聞かない娘となれば、怒られて当然。

娘:むしろ二人はこんな私に真剣に向き合い、愛情を注いでくれていたんだと理解できます。

 

父:ただ、つい怒りがちになり衝突を繰り返したためか、ハタチで家を出ていってしまいましたね。父さんはとても後悔しました。

父:でも母さんとは頻繁に連絡を取ってくれていたので、心配はしていませんでした。

 

娘:そして彼と出会いお付き合いをして結婚を考えたとき、初めて挨拶に家に行きました。

娘:会ってくれないかも知れないと覚悟してたのにちゃんと話を聞いてくれ、許してくれました。

娘:そして最後に、お父さんが畳に頭をつけて「娘をよろしくお願いします」と言ってくれたこと。

娘:とても、とても…嬉しかった。

 

父:そして先日、生涯の伴侶となる彼を連れてきてくれましたね。ちょうど私の病気と、人生の残り時間が分かったすぐあとのことでした。

父:彼と会い話をし、とても誠実であることが分かり安心しました。彼になら私が居なくなったあとの娘を任せられる、そう思いました。

父:だからこそ私は、縋るような気持ちであなたのことをお願いしました。

父:これが父として出来る最後の大きな仕事になりました。

 

娘:本当は今日この日、お父さんに花嫁衣裳を見てほしかった。

娘:バージンロードで手を引いて歩いてほしかった。

娘:顔を見てありがとうって言いたかった。

娘:抱きしめてほしかった。

 

父:本当は一緒にバージンロードを歩き、アナタを彼へと、ちゃんと託したかった。

 

娘:でも、怖くて優しかったお父さんはもう居ません。

娘:先月、病気で帰らぬ人となったからです。

 

父:これが父さんの心残りです。

 

娘:お父さん、どうか空から私達を見守っていてください。私達は絶対に幸せな家庭を築いてみせます。

娘:天国で心配しなくていいように、お母さんのことも大切にしながら、みんなで幸せになります。

娘:そしてお盆に戻ってきてくれた時には、みんなで一緒にお酒を飲みましょう。

 

父:さて、これは結婚式に読んでもらう手紙として、母さんに預けていたものです。

父:私はこれを空で聞いていることてしょう。笑顔で聞ける自信がないので、どうか空を見上げないでください。

 

娘:最後に、今日は足元の悪い中、私達の門出を たくさんの人に祝っていただけたこと、ほんとうに嬉しく思います。

 

 

父:もし当日雨が降ったなら、それは私が流したものだと思って下さい。

娘:皆様、本日はほんとうに、ありがとうございました。

 

 

娘:(モノローグ)

娘:お父さん、私、みんなにちゃんとお礼を言えたよ。

娘:笑って見ててくれてるかな?

 

父:(モノローグ)

父:それでは改めて、結婚おめでとう。

父:どうか二人が末永く幸せに暮らせますよう。

父:近くでは母さんが、遠くからは私が、見守っています。

 

※回想:二十年前

 

娘:「ねぇねぇ、パパ~!

わたし、大きくなったらパパと結婚してあげるね!」

 

父:「(笑う) 本当か? 嬉しいことを言ってくれるね!ありがとう。

でもなぁ、きっとその頃にはそんなこと言ってないと思うよ。」

 

娘:「言ってるもん!」

 

父:「そうか?ありがとう。

じゃあ、もしいつか考えが変わったとしたら、お前は、お前を大切にしてくれる人と結婚するんだよ。」

 

娘:「分かった!

じゃあ花嫁さんになったら、絶対一緒にお祝いしてね!」

 

父:「もちろん! 父さん、お前の花嫁姿を楽しみにしてるよ。」


みなさん、親孝行してますか?

あなたをそこまで大きくしてくれた親に

どうか少しでも恩返しができますように。


ケンカをしても家族

仲良くても家族

親はいつも、どんなときも

あなたの幸福を願っています。

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