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私の魔法の使い方(追記有り)

作者: つちのこ

あらすじにも書きましたが広い心で読んでください。最後のところに追記しました。

この世界には魔法がある。使えるには血縁関係が必要であることが多く、魔法を使える者同士で婚姻していった結果、魔法を使える者は貴族と呼ばれるようになった。時々貴族でなくても平民の中にも魔法を使える者が出てくることがあり、そういった場合は貴族の家の養子として引き取られることになる。


この世界の魔法は使える系統が決まっている。火魔法なら火魔法だけ。水魔法は使えない。何の魔法が使えるかについては遺伝だけでは決まらない。雷魔法の父と氷魔法の母から土魔法の子どもが出来ることだってある。

ほとんどの場合は属性魔法が使えるようになることが多いが、たまに障壁魔法や飛翔魔法のように属性だけでは考えられない魔法を使えるようになることもある。そういった魔法は特殊魔法と呼ばれ、魔法が使える貴族の中でも特に貴重な存在とされている。


魔法は使えるようになるのは人それぞれで突然だ。ある日自分に授けられた魔法が自分の中でスッと入って来て魔法が使えることを確信するのだ。これを神の祝福と呼ぶ人もいる。

記録に残る中で一番早い子どもで3歳の誕生日に授かった子もいれば、15歳の時に親に虐待を受けている中で目覚める子もいる。これは遅いからといって虐待することの無いようにという教訓になっている。

その15歳の子が親に対してどんな仕打ちを行ったかは記録に残っていないが、教訓だけ残されていれば真っ当な頭の持ち主なら配慮くらいする。


現在においては貴族であればほぼ100パーセントの確率で貴族であれば魔法は発現する。

ちなみに研究の結果、最大限に成長するためには一生が必要になるとされている。ある程度は人によりけりだが、一生涯努力あるのみなのだ。


それでも大体7歳から10歳のまでに魔法を授かることが多い。授かり次第訓練を始めることになり、国のために、民のために、家のために役に立つように励むのだ。


そして15歳になれば王立学園に入学し、同じ系統の魔法を使う子と競い合ったり、将来の顔つなぎや決まっていない子女は将来のパートナーを探すのだ。


例に漏れず私も魔法を授かった。私の魔法はあまり外聞の良くない魔法だったから練習は人目につかないところでしていた。使えることは公表していたけど、人前では使わなかった。

一人くらいが使えなくても問題無いくらいに魔法の使い手はいたし、魔法がないように見えて戦場で活躍する強化魔法の使い手もいたので公に非難されることは無かった。

本当は魔法が使えないんじゃないかと言われたときは、お父様と約束していた指の先に火の玉を灯す魔法を見せることにしていた。あまり威力が高くないだけだと主張した。


そしてその子の家にお父様から反撃がいく。


「我が子にあらぬ疑いをかけて魔法を使うことを強要させたようだな」


過去爆炎魔法の使い手が軽い練習で校舎を半壊にまで追い込んだことがあり、魔法の使用を強要してはならないと校則で決まっていた。その場合は親の申請により魔法の授業は見学だけでも良いとされていた。私もその制度を使わせてもらったいたのだ。

使わされた方は暴走さえしなけれなばお咎めは無い。強要させたことが大事なのだから。お父様は魔侯爵という独自の呼び方を陛下から頂戴するほどこの国でも一番の魔法の使い手だ。

その子の私を邪推で貶めようとした。庇うにしても周囲はそんな目では見ない。自分の行いが原因で潰れていくのだ。ご愁傷様としか言いようがない。


お父様にはこう言われた。


「お前の本当の魔法を下手に使うと、色々な誤解を招きかねないからな」


これでも抑えて使っているのだから良しとしてもらいたい。


学園に入学して魔法の授業は見学により5段階評価の2になったが、それ以外の座学は勤勉に通したことで全てを5を頂戴することが出来た。初年度の成果としてはまずまずだろう。

それから、また性別を問わずに友人には恵まれ…、あぁ、【一部を除いて】恵まれたことは良かった。何を為そうと思っても友人関係は重要だ。そう、とっても。


婚約者に関してはコメントを控えさせてもらいたい。いや、3年間の学園生活の最後半年から考えると薄々…といった予感はあった。


そんなことを思い返している私の名前はクラリッサ・シャスティ。シャスティ侯爵家の長女だ。家の跡継ぎには長男の弟がいるから問題無い。


そして今日は王立学園の卒業式ががありました。式典自体は昼の間に終わり、日も落ちきった時間から記念パーティが始まります。パーティが始まる前から私を含む卒業生たちは、やっと迎えた旅立ちの喜びとほんの少しの寂しさを胸に秘めながら最後の交流を楽しんでいる。


卒業すると場合によっては王都に残るが、それぞれの家の領地に帰ることになる者もいる。令嬢たちの中には領地に帰ってもすぐに嫁ぐ者もいる。私は領地には帰らないが、一応嫁ぐと見なされているうちの一人だ。次に会うときに全員が揃って、ということは無いだろう。パーティの出席者は学年全員だから120名もの人間が全員集まることは不可能だ。


国の端と端で仲良くなった者は必ず文通をとか、結婚式には必ず行くからという約束をしている。パーティはまだ始まってもいないのだ。まだ泣きながらのお別れには早い。私は王都住まいだからこの中では再会しやすい方だ。とはいえ、私にも感ずるところはある。


そんな中で無粋な声が響く。覚悟していたとはいえ本当に面倒な劇が始まる。準備はしてきた。皆さんは見学の準備はよろしいですか?


「楽しんでいるところすまない!私からここに集まっている皆に告げたいことがある。皆もきっと喜んでくれるだろう!」


ホールに集まっている者たちは何事かと訝しみながら発言したこの国の王太子であるアーレスカ・バムジード殿下へと視線を集中させる。


王太子の背後には我が国の宰相子息、騎士団長子息、教国から派遣されている大司教の子息が立っている。彼らは将来の我が国を支える次代の中心と言える存在だ。


だが、私には何を言いだすかはもう分かっている。まずは私の名前を呼ぶのだろう。


「クラリッサ・シャスティ侯爵令嬢!!出て来てもらおう!」


ほら、やっぱり…。


内容も既に察しがついているが、出て行かねばならないだろう。周囲の方たちが気が付いて道を空けてくれているので通らざるを得ない。勘違いしてはいけないのは彼・彼女たちは私の味方であるということだ。

120人の同級生たちの中に私の友人と呼べるのは100人はいる。それこそ歌の一つでも歌いたくなるほどだ。達成した時は嬉しかったことを覚えている。そして友人になれなかった十数名の中にあろうことか王太子であり婚約者のはずのアーレスカ殿下が含まれている。笑い話にもならないことだけれども。


相手をするのも面倒なので行きたくはないが、相手は一応王太子だ。言うとおりにするしかない。まあこうなった以上、あと1時間の我慢だ。穏やかに終わるはずだったところが派手に終わることになるだけだ。


でもほんの少しだけ行きたくないと思ってしまう。理由は並ぶ男たちの後ろから出て来てアーレスカ王太子の横に立つ人物にある。2つ年下のアリシア・ファッシャー男爵令嬢だ。ご丁寧にも顔を真っ赤に染めながら、目に涙を溜めている。あれが演技であることは私にとっては呼吸をするよりも容易く見破れることなのだが、王太子を始めとしたバカ子息4人衆には分からないらしい。

彼らに見破れないのは仕方ないことなのだ。彼らの目が節穴と言いたいのではない。ただひたすらにアリシア嬢を盲目的に信じこまされているのだから。


もうお分かりいただけたと思いますが、本来のアーレスカ王太子の婚約者はこの私、クラリッサ・シャスティです。しかし、殿下の傍に侍っているのは平民から男爵家に養子として引き取られたアリシア嬢だ。

誤解を招かないように申し上げるなら平民が憎いというわけではありません。100人いる友人の中には同じ平民の生徒もいますし、学外には平民のままで友人になった方もおられます。我が家の使用人にも孤児院出身だけれど聡明なことを理由に引き取り仕事が出来ると評判の者もおります。

私が言いたいのは他人の婚約者に手を出す不届き者であるということを言いたいのです。ちなみに宰相子息と騎士団長子息にもそれぞれ婚約者はいます。大司教子息までは存じ上げません。他国の方ですし。


皆様も可能でしたらこれから王太子殿下の言うことを予想しながらご覧くださいませ。


呼ばれているからには参りましょう。向けられる目に宿っているのはわたくしを労わるものが9割、興味が無いのが1割というところですね。そうなるとこれは何のための茶番かしら。


「アーレスカ殿下、御前に参りましたクラリッサ・シャスティでございます」


王太子妃になるべく、学業だけでなく特別に組まれた王太子妃教育で培ったカーテシーを見せて挨拶をする。そこには愛など存在しないのでお互いを見る目は冷めたものだが。


「こんなときでも君はそんな表情なんだな」


吐き捨てるように告げられる。その言葉は正面に立つ私に辛うじて聞こえるくらいの音量だ。お互い様ではないかと言いたいが、ここは別に反論するところではないので黙ったままだ。

私がすました顔で立っていることで何も言うつもりが無いことが分かったらしい。苦虫を嚙み潰したような表情で溜息を吐く。


「確認しておこう。クラリッサ・シャスティ侯爵令嬢、君はこちらのアリシアを学園内で虐げていたというのは真実か」


真実かと聞いているが、表情からは完全に発言内容こそが真実だと疑っていない。その表情から読み取った聴衆は、あるものは息を飲んで、あるものは目を鋭くし、あるものは呆れた表情になっている。味方が9割だとそんな感じになりますよね。茶番に笑いそうになる口元を隠すために扇を広げて対応する。


「そちらの方がアリシア様ですね。顔を会わせてご挨拶させて頂くのは初めてでございますね。その上で言わせていただきますが、誓って私はやっておりません」


自分の身に覚えのない罪業を背負うつもりの無い私は続けて反論する。


「なぜ有りもしない事柄について殿下からこのような場で問いただされるのでしょうか。お集まりの皆様の貴重な時間を奪うことは差し控えられた方がよろしいかと。今日のような良き日に…」


発言の最中で殿下の大声で遮られる。


「黙るがいい!!既に被害者であるこのアリシアから全て聞いている!学内での罵詈雑言だけでなく、ドレスを切り裂き、アクセサリーを盗んだ上にならず者を使っての暴力、挙句の果てには直接階段から突き落としたそうだな!!一度は婚約者に選ばれたキミがそんなにも悍ましい行為を平然と行えるとは信じたくなかった!だが、認めないのであれば仕方がない!」


一応違うという言葉をもう一度挟みたかったが一気に言われてしまって挟む間が無かった。殿下は王家の美貌を余すことなく継いだ顔を憎悪に歪めて高々に宣言する。


「アーレスカ・バムジードの名においてクラリッサ・シャスティ侯爵令嬢との婚約を破棄する!」


会場内がざわつくが、そのざわつきを押さえつけるように更にアーレスカ殿下は続ける。


「我が妃にはここにいるアリシア・ファッシャー男爵令嬢を迎えることにする!」


「アレス様!」


今までは私の視線から隠れるように殿下の陰に隠れて震えた演技をしていたが、殿下を愛称で呼んだ(これもありえないことだけれど)アリシア嬢は、一転感極まった喜びの表情に変わるとアーレスカ殿下に後ろから抱きつく。立場や状況を考えるとその作法は下品だし、男性に胸を押し付けるようなことは貴族どころか平民でもしない。何とか表情の変化は見せないようにと取り繕うものの、少しだけ殿下の顔も少し赤くなる。


小賢しいとしか言えない行動に表情を変えそうになってしまうがなんとか押し留める。殿下に抱き着く行動よりも私にしか見えないように隠しつつ、殿下の背中から目と口を三日月のように変化したアリシア嬢、もう面倒だから呼び捨てで良いですわよね、アリシアの顔がこちらを覗き見てくる。楽しくて仕方が無いのだろう。わたくしも扇で口元を隠し、必死に我慢する。


私たちは話したことは無くてもお互いに相手のことが大嫌いだということをお互いに知っている。色々と言いたいことはあるが、今更落ちていく相手に細かいことを言うのも無粋と考えて口を閉じた。


私の前にアリシアが現れたのはほんの2か月前だ。希少と言える特殊魔法と魔法侯爵の異名を持つお父様を超えるほどの魔力を持っていることで保護され、まずアリシア嬢を見つけ出したファッシャー男爵家に引き取られることになった。

王命によって男爵家から魔法に関して国一番の我が家で引き取ることになるはずだったが、お父様が国王陛下にある進言をして王命を出さないようにして頂いていた。その結果男爵家でそのまま引き取られることになったのだ。


真実を打ち明けるのは私が拒否した。それは私の魔法が理由だ。とてもでは無いが引き取るわけにはいかなかった。お父様が同意見で会ったことがありがたい。


そして陛下には魔法侯爵であるお父様から理由を話して頂き、秘かに、しかし徹底的に準備をしていただいた。本来であれば今日の日を迎えるまでに学園で起きた王太子殿下と周囲の子息が一人の令嬢を過保護に取り扱う珍事件など起きるはずが無かった。


それはアリシアが1か月前に転入生として学園に入学して間もなくだった。様子がおかしくなったのはまずは騎士団長子息だった。剣一筋だった彼が練習をサボって女子生徒と一緒にいることが多くなった。もちろん女子生徒というのはアリシア嬢のことだ。


次に宰相子息、大司教子息も同じように行動がおかしくなった。最後は私の婚約者であるはずのアーレスカ・バムジード殿下だ。


婚約自体は王国の内部を強く結束するためと王家の方から押してきた婚約だ。一言にまとめれば政略結婚だ。わたくしとしては当主である父の判断に従うのみ、貴族として生まれておいて今更人並みの愛を求めたりはしない。それが貴族の義務だ。それだけの生活をさせてもらっている。結婚してから生まれる家族愛で十分だ。王妃ともなれば国の内外を己の責任に収めるのだ。そんな細かいことも言っていられない。


でも愛があるに越したことは無いと判断したから婚約が確定したころから仲良くなれるように努めたし、実際に政略結婚を理解した上で一緒にやっていこうと笑いあった日々があったことを覚えている。


それだけに現在の状況は非常に残念だ。まあそうなったらそうなったで全く構わないけれど。


「この婚約は王家から持ち掛けられたものですが、陛下には既に確認頂いていると考えて良いのでしょうか」


「それはまだだが、大いに祝ってくれることに間違いは無いだろう」


「アレス様、私嬉しいです!」


「アリシィ!私もだ!」


衆人環視の場で身体を寄せ合い密着する2人と、それを当然の様に祝福する後ろのモブ3人は完全に会場からも浮いている。むしろ存在そのものに違和感がある。

そもそも婚約者でもない者が愛称で王太子を呼ぶなどありえないことだ。まあどんどんやってくれて良い。物的証拠は既に確実だし、これでほぼ状況証拠は確実に固まった。

もう様式美として聞いたことがお約束が返ってきたのだ。まあそれだけで十分に聞けたわけだからいいだろう。


「それではわたくし個人としては婚約破棄は受け入れさせていただきます。外遊に出ておられるはずの国王陛下への説明等手続きに関しては殿下にお願いしてもよろしいですか?」


「無論だ。だが!その前に貴様は行うべきことがあるだろう!」


「何のことでございましょうか」


全く心当たりが無いので首をかしげてしまう。それが気に入らない殿下は顔を真っ赤にして歪めると声を荒げる。


「アリシアへの謝罪がまだだ!」


「クラリッサ様…」


王家の美貌と呼ばれた顔も憤怒にまみれてしまえば十分に醜悪だ。全く持って台無しである。しっかりと操縦してもらいたい。それから私はアリシア嬢に名前を呼ぶ許可を出していない。両親からもらった大事な名前を勝手に呼んでほしくない。


「先程も申し上げた通り、わたくしには全く持って身に覚えがありません。ありもしない事柄を理由に謝罪を要求されても困ります」


「ク、クラリッサ様、お願いです。一言でも謝罪の言葉を頂ければ。私はそれだけで…」


大いにプライドが満足するのでしょうね。わたくしがそれを行う理由など砂の一粒ほども無い。ゆえに。


「拒否いたします。それにあなたに名を呼ぶ許可は与えていません。貴族のルールに則って行動して頂けるかしら」


「そ、そんなひどい!」


「クラリッサ!」


「殿下も婚約を破棄したのなら名前を呼ぶのはやめていただけますか」


「こ、こんな冷血な女だったとはな!」


どこがだよ、当たり前だろとか。婚約者でもない男性にあんなにすり寄るなんてはしたない。咎めない王太子には幻滅だな。そんな声が聞こえたことで少しだけアリシアと子息四人衆にも味方がいないことを察知したようで、話を元に戻すようです


「そ、そんなことを言ってアリシアへの危害を加えたことは認めないつもりか!危害を加えたという証人ならいるのだぞ!貴様のような恥知らずに立ち向かう義憤に駆られる者はいるのだぞ!貴様は先程も言った通りアリシアに危害を加えていただろう!それを見ていた者がいるのだ。決して逃げられると思うな!」


冷血の次は恥知らずですか。今の殿下に何を言われても何も感じないので冷血は本当かもしれませんが、恥くらいは知っているつもりです。


「そうでございますか」


先程から身に覚えがないと言っているのだが、恐らくは全て偽の証拠なのだろう。となると冤罪をふっかけて国外追放かそれとも城の地下牢から処刑コースだろうか。考えている間にもアーレスカ殿下の独壇場は続く。


「私の愛するアリシィ、いやそうでなくても貴族令嬢に危害を加える者を簡単に野放しにするわけにはいかない。ひとまず城の地下牢に拘束させてもらう!近衛兵!確保しろ!」


汚物が横にいるせいで腐りきっても王太子の命令を受けては、近衛兵が面と向かって拒否も出来ない。だが、命令を受けただけでは私を拘束するなど気が引けてしまうのだろう。


「何をしている!はやくその犯罪者をさっさと連れていけ!」


そろそろだろうか。最後に声をかけておくことにしよう。


「少しは人の話を聞ければこんなことにはならなかったですのに」


その言葉だけは耳に残ったのかアーレスカ殿下の表情が苦しそうに歪んだ。そして、会場の入り口が開くのは同時だった。


「そこまでだ。近衛たちよ」


国王陛下の登場である。近衛兵たちは脇に下がり敬礼で国王陛下の命を待つ。


「国王たる我が改めて命ずる。拘束するのはクラリッサ・シャスティ侯爵令嬢ではない。王太子アーレスカ率いる者どもの捕らえるのだ!」


卒業生たちは昼の卒業式典を持って貴族の仲間入りを果たすこととなった。よって、出席するはずの無い陛下がいきなり来られたとしてもまずは膝をついて頭を下げなくてはならない。こんなことは王立学園に入学しなくても貴族ならば知っていて当然のことだけれど。

それをしないのはアーレスカ殿下を始めとした5人だけだ。大司教子息も他国の人間とはいえ、立場としては下だから礼を尽くすのが本来だが立ったままである。まあそれどころではないだろう。近衛に確保されて呆然としている。


「父上…、なぜここに…?」

「お父様…!?」

「親父はここには来れないはずでは…」

「なんでパパが…?」


子息4人衆が口々に呟いている。それもそうだろう。国王陛下だけでなく宰相、騎士団長、大司教が、それぞれの父親が来ているのだ。宰相以外はまとめて外遊に行かれているはずの方々が。

ちゃっかりといるシャスティ侯爵であるお父様だけは気楽に微笑んでいる。それでも念のためのお父様の特殊魔法は油断なく展開中だ。


「皆の者、楽にせよ。そしてこうなった以上、ここで説明をせねばなるまい。仕方の無いことだ。覚悟を決めよう」


悲しみの表情は一瞬、すぐに為政者の顔に戻って大きな発表をする。


「第一王子であるアーレスカ・バムジードから王太子の地位を剥奪とする!王太子の座は改めて発表することになるが第二王子となるだろう!」


ざわめきが大きくなる。それに耐えきれずに大きく声をあげたのは誰であろうアーレスカ殿下本人だ。


「なぜですか!!父上!この場において騒ぎを起こしたからですか!その程度のことで…!」


「違うわ!馬鹿者が!!」


殿下の戯言を陛下が一喝で黙らせる。そして一点を見つめ指差す。


「そなた、儂が決して肌身離さず持っていよと命じた魔封の首飾りはどうした。それが全ての答えだ。」


「それが何だというのですか!確かに付けてはいませんが、それがどれほど重要だと言うのですか!?」


魔封の首飾りとは2ヵ月前から配布されたものだ。あまり目立たないが各家庭に理由は明かされないまま王立学園に通う全子息に渡されたはずの物だ。例外なく殿下にも配られていたはずだし、ついでを言うならば学園に関係する男性全員に配られている。教師や出入りする業者まで余すことなく全員だ。


尽力したのは魔侯爵の異名を持つお父様だ。お父様の持つ魔法は珍しいことに2種類ある。守護魔法と付与魔法だ。付与魔法はそのままだ。何かの魔法を付与することが出来る。単体では成立しない魔法だがお父様にはもう一つの魔法があった。


守護魔法だ。これが規格外だった。物理的な攻撃も魔法による攻撃からも防ぐことが出来る。更に特殊魔法を防ぐことが出来るように訓練を為されたからこそ魔侯爵の異名を賜ったのだ。


お父様の力によって規格外の守護魔法の力を付与魔法により物に込めることが可能となっている。

守護魔法は漫然と防御に使うことも出来るが、使用者とその魔法効果を指定することで一切の影響を遮断することが出来る。これが特殊魔法の防ぎ方だ。だが、魔法の効果など正確に知るのは本人くらいのものだ。それも余程でなければ全容を掴むのは難しい。


さて、私がなぜお父様の魔法にここまで詳しいかと言うと私の魔法が理由です。私の魔法も2つあります。




私の魔法は『鑑定魔法』と『超劣化模倣魔法』です。授かる魔法が1つだとは言っていなかったですよね。




鑑定魔法はそのままで見ることで詳しく知ることが出来ます。考えていることまでは分かりませんが、物の良し悪しから毒の有無まで分かるので貴族社会で生きていくのに非常に便利です。


それに鑑定魔法により本人も知らない魔法の本質や成長具合・最大限に成長した時に出来ることを知ることが出来るのです。本人以外に誰にも言わないことを約束に扱い方や魔法本来の使い方のアドバイスを致しました。

これだけで友人は50人は達成できましたね。残りの50人の方はそこまで仲も悪くないのですが、そこまで良くもなくという間柄でした。


その関係が変化したのは2ヵ月前です。


野心に燃える一部の方以外の同じ派閥の方や中立の方とは非常に仲良くなることが出来ました。せっかくですから平和に暮らしていきたいものですしね。それに魔法の本質を押さえたということは、弱点も分かるということです。本人の許可は得てますから敵に回ったときは覚悟してもらうことになりますが。ふふ。


それはさておき、超劣化模倣魔法ですが困ったことに模倣したところで本人と同じように使うことなど出来ません。何せ超劣化の名の通り、効果としては本人が使用する威力の精々1%程でしょう。

でも魔法をほんの少しの効果でも使えるというのがポイントなのです。せっかく使える魔法ですもの。工夫次第でいくらでも有効活用できます。


ですからアリシアに初めて会った2ヵ月前のあのときに我が家に来ることを拒否いたしました。既に魔法が最大限迄成長しておりました。それだけ魔法を使っていたということなのです。60年でも足りないと言われる修練をたかが15歳の少女が修めていたと!!

魔法侯爵のお父様を魅了されてはたまったものではありません。そんな危険人物を近くに置くわけにはいきませんでした。


そしてここまでお話すれば分かるでしょうが、そこで近衛兵に地面に押さえつけられているアリシアの魔法は魅了魔法です。模倣した時に見えた使い道は国王陛下にもお伝えした通り以下の通りです。


・異性だけに通じる魔法。

・人数と効果は反比例する。一人に強力に作用させることも出来るが、逆に人数が減ることになる。最大まで成長すれば意のままに操れるのは7人となる。これ以上は増やせない。

・時間さえかければ記憶の書き換えですら可能となる。

・一度かけてしまえば、二度目以降はかけやすくなる。

・5人以上を超えてしまった場合、解除することが出来なくなる。

・現状魅了魔法にかけられているのか、解除しているのかどうかを把握できるのは術者だけ。


だからお父様にはアリシアが転入してくるまでの1ヵ月の間にがんばっていただいた。


【アリシアの使う魅了魔法にかからないように】という守護魔法を付与したを『魔祓いのペンダント』として作成して即時配布していったのだ。


将来の国のためと国王陛下にも、各家庭で必ず付けるようにと説明するようにと命じて頂いたのだ。

本来なら他人の魔法を本人のあずかり知らぬところでバレるのは如何に魅了魔法とはいえ躊躇われた。だから秘密裏に用意されて詳細をぼかして伝えられたのだ。

惜しいのは何であろうとも時代の国の中枢を担う者には伝えるべきであったと後からであれば言えることだが、もう既に遅い。


魔祓いの首飾りさえ外さなければアリシアの毒牙にかかることは無い。もし人数制限がなければ王国内の男性全員に渡しても良かったが、そこまではお父様に無理をさせられてないので一旦は学園内に留めた。


そしてそのお父様の努力を無駄にしたのが逆に拘束されている子息4人衆だ。


順番を追うなら剣の鍛錬に首飾りが邪魔だと判断した騎士団長子息がまず嵌められたらしい。たまたまとはいえ、アリシア嬢もよく外した瞬間に立ち会えていたものだ。


次に騎士団長子息の幼馴染である宰相子息が毒牙にかかった。騎士団長子息が相手の手に落ちた時点で魔祓いのペンダントのことがバレているので話が早く進んでしまった。少しくらい外しても問題無いと騎士団長子息に言わせたそうだ。

そして、王太子に近づくために必要とは思えないが大司教子息もやられてしまったのだ。

一度魔祓いのペンダントを付ければ効果は無くせるが、もはやペンダントを外すことに違和感が無かった4人は求められるままに何度も外してアリシア嬢から離れられなくなった。


学園の教官から厳しく学園に通う間は自宅でしか外さないようにと厳命されていたはずだし、この4人ならば事情を知る父親からもそれとなく伝えられたはずだ。全てを台無しにした底抜けのマヌケとしか言えない。…言葉が悪くなってしまいました。


そして公の場でその醜態をさらしたことで後戻りのできないところまで進んでしまいました。


非常に残念です。アーレスカ殿下には愛情は持てなかったにしても人並みに友情と恐らく愛情らしきものもあった。王と王妃という立場であっても夫婦として過ごせば愛情に似た何かも芽生えたはずだと信じて。


しかし、本当に解除されているのかを確認できるのがアリシア嬢しかいない以上、殿下を始めアリシアの取り巻きとなっていた者には何かを任せることは難しくなります。私の鑑定魔法でも分からないものはどうしようもありません。


アリシアを処分すること自体が何かのトリガーになっている可能性もあるのです。彼女の執念なら何をしてもおかしくありません。魔法を極めるとはそれほどのことなのです。彼らに権力を持たせて何かに巻き込む可能性が排除できない以上表舞台から降りてもらうのは仕方ない処置です。


アリシア嬢の魔法についての全てを国王陛下は場にいる全員の耳に届くように伝えられました。もちろん私の魔法やお父様の魔法については伏せられております。魔侯爵のおかげでという一言が付いていますが。


そうして子息4人衆の方々はアリシア嬢とほんの少し関わってしまったばかりに中枢からは外され、二度と関わることの無い場所で生きるしかないのだ。自分の判断が自分のものか分からないという恐怖に怯えながら。


しかし、国王陛下の説明が始まってからの彼女の醜態は恐ろしいものでした。


「なんで知ってるの!?」

「やめてよ!」

「おいぃぃぃ!おっさんんん!!」

「やめろおぉぉぉぉぉ!!!」


その発言や醜態自体が陛下の説明が間違いないものだと裏付けているというのに。ちなみに陛下の外見はイケてるおじさまって雰囲気だと思ってください。まちがってもおっさんなどという一言で済むものではございません。


アリシア嬢の魅了にかかっているのは予測では彼女を引き取ったファッシャー男爵とアーレスカ殿下を始めとする子息4人衆で計5名です。


残りの1人の魅了できる男性を増やすべくどこかで魔法は使っていたのでしょうけれど、魔祓いのペンダントのおかげで効果が出る者はおりませんでした。お父様もこの短い間に付与魔法の扱いにも慣れたおかげで、近衛全員分を即座に準備することが出来ていました。


ですから婚約破棄のところは茶番にも程がある出来事でした。全てひっくり返されるというのに貶められた人を見て愉快そうに笑うなど貴族の風上にもおけないと怒りに震える自分を押さえるのは大変でした。


「よって、この女には男は一切近づくことは許されん。非常に恥ずかしい事態ではあるが、どうかこれ以上の被害者が出ぬように。この場におるものに願うばかりだ」


それぞれ子息を失った父親の方々は悲しそうな表情をされている。その中でもアリシア嬢に付け入られるきっかけとなった息子を持つ騎士団長様の悲しみの表情は一段と深い。


「この者は然るべく処置を加えるために場所は明かさぬ場所にまずは移送する。連れていけ」


罪を犯した魔法使いが向かうのは通常は命の危険を伴う労働刑だ。鉱山や狩猟、賞金首を捕えるための壁役など使える魔法によって変わってくる。

お話の中には修道院に向かうなどあるが、馬鹿かと言いたい。祈るだけで罪が許されてたまるものか。そして行動が自由である分、再犯も可能だ。女だけの修道院といっても異性が全く関わって来ないわけでは無いからだ。


「ちがう!おかしい!ゲームではこんなエンド無かったのに!逆ハーエンドが出来ると思ったのに!!隠しキャラの2人も私はこれから探すのよ!!!」


意味不明なことを叫ぶ彼女に対して、驚く皆様は二、三歩後ずさってしまいました。多少事情を把握している私でもドン引きです。

そう叫んでいましたが、私の傍を通る時に私と目が合うと矛先は私に向きました。


「クラリッサ!あんたでしょ!!ゲームではもっと冴えない控えめな女だったのに!ちくしょおおぉぅぅぅぅぅ!!!」


あぁ、やっぱり転生者だったのですね。あなたの一番の失敗は魔法の使い方ですよ。明らかに間違っています。もっとマシな魔法の使い方が出来れば良かったですね。欲張らずにお一人だけに絞っておくとかにしておけば。


ま、無理ですよね。平民のお友達から聞きました。やたら男をひっかけるのが巧い女がいる。将来様々な男を誑かすことができるとか言っていたそうですね。残念でした。


見送った後の陛下はパーティのやり直しに参加できる者を募っておられました。もちろん、強制はしないがと一言断った上で。次の王太子がどうなるのか気にしつつも参加するようです。

こうなると友人の多い私も参加せねばなりませんね。


「クラリッサ。これで満足したかい?」

「お父様。ええ、満足です。これで私は私の人生を歩むことが出来ます」


私も転生者です。乙女ゲームなんてやったことは無かったけど、クラリッサ・シャスティという名前に聞き覚えがあって備えておきました。万が一に備えて学園の入学前からずっと緊張しっぱなしでした。卒業式を終えた日に二重の意味でようやく安心出来ました。


まあこの2ヵ月はすごくやりやすかったですわ、超劣化とはいえ私の話を以前よりもすんなり聞いてくれる殿方が増えましたから。私の場合は場に1人でも友好的な方がいるだけでお話を友好に進めるなんて造作もありません。私の魔法では精々が好意を持って話を聞こうと耳を傾けてくれるくらいですし。お話が終われば解除すれば良いのですから。


もう無理かと諦めていましたが、最後の2ヵ月で友人100人を達成しましたわ。もちろん男女関係なく増やしました。


これが私の魔法の使い方です。




そういえばお父様はモノづくりにハマったそうです。最近は逆守護の首輪を作っているのですって。はめた者の魔法が外に向かないようにする首輪なんだそうです。使い道は言うまでもありませんね。



 ☆ ★ ☆ ★ ☆


その後しばらくしてそれぞれの家からどういった罰を科すのかを聞いても無いのですが教えてもらいました。


まずこの騒動のきっかけとも言える騎士団長子息について。

当然ですが騎士の道は絶たれました。騎士が守るものはいつだって民衆であるべきです。個人で守れるものなどごく少ないもの。だからこそ数がモノを言うと教わります。だからこそ騎士となるとどこの家の者でも訓練中や独身者は寮で暮らすことが規則となっています。そこに掃除夫として放り込むことになりました。

いつ剣を持ってアリシアを助けに暴れ出すか分かりませんから、脱力の魔法使いの練習台兼騎士団寮の掃除夫です。汚れが酷いところや女性では中々入るのを躊躇うところを専門に行うことになりました。今では剣ではなく主にほうきを握り締めているそうです。


次に他国のお話ですが、大司教子息に関してです。神に背く行為とまでは言いません。しかし、父親や所属組織の方針に従えない者など抱えていても仕方ありません。組織内で抱えていられないということで誰も行きたがらない辺境の村の司祭になることになったそうです。

現地にいる司祭様もご年配でせめて最後くらいは孫に会える距離で暮らしたいということだそうです。その代わりに若い身を差し出すのですから贖罪としてはちょうど良いでしょう。今はまだ護送中だそうですが、村では鍬を握り締めながら教会の務めを果たされることでしょう。アリシア嬢とは物理的に離されてしまいましたが、ある意味昇進されてますし、ちょうど良いですよね。


あとは…、そうそう宰相子息ですね。こちらもなかなか難航されたそうです。元から配属予定になっていたのは宰相閣下の元で政治に関わる部署です。こちらも和を乱さず、しかし他を出し抜くべく機会を狙うような方々がいるところです。ですが始める前から信頼など皆無、ほぼ王命だと知っていたにも関わらず、従わないことが既に証明されています。しかも、いつアリシア嬢に利することをするか分からないと目されています。

しかし、宰相様は激務にも関わらず「目の届かないところの置く方が心臓に悪い」と判断されました。宰相様の横で何も発言することなく、必要書類を運んだり、何枚も同じ紙を書き写すなどを一日中単純作業をされることになりました。意見は何も求められません。アリシア嬢と一緒にいたときの悪知恵は彼が出していたそうですから、父親である宰相様の近くで本物を見るのは良い経験でしょうね。活かす場が与えられることが一生涯ありませんが。先のお二人と違って、希望のペンを握っていられるだけ良いことだと思われます。


あとが殿下ですね。お名前は……忘れてしまったことにしましょう。ある意味殿下はアリシア嬢の次にこの国に貢献されているかもしれません。殿下は簡単に言えば外に出せない王族を幽閉する塔に入られました。しかもとってもエコなんです。お付きの者など1人も連れずに入られたのです!


殿下は曲がりなりにも王族の教育を受けた方です。平民として放逐したところで組織だってアリシア嬢解放運動を起こされようものならこの世にお別れして頂かなくてはなりません。さすがにそれは、と思われた陛下は殿下を一人で塔に入るように命令されました。抵抗されていたらしいですね。


下手に王族の権威を振るわれてはなりませんから。決まった時間に顔を会わせることも無く食事だけが置かれています。殿下はそれを食べ、塔の中の掃除も自ら行い、決まった時間に自ら目隠しと猿轡を嵌めます。何をするかですか?献血です。魔法を作り出すエネルギーは別として魔法の素養は血に宿っています。王族の血で研究を行うなど王族の歴史が長いと言っても恐れ多くて出来ませんでした。しかし、殿下は贖罪のために自ら申し出されたそうです。これで研究は更に進むそうです。素晴らしいですね!しかし、殿下は他の3人の方よりは多くの物を無くされましたね。


え?矛盾がある?私は王族からの報告を聞いただけですので実際がどうだったかは知りません。本当はとっても……、いえ、何でもありませんわ~。


最後に皆大好きアリシア嬢ですね。彼女の献身の在り方は絵本にしても良いかもしれません。うふふ。冗談ですわ。彼女のしてもらっていることは殿下と同じ献血です。ですが、今や国家転覆を謀ろうとした特級犯罪者です。殺しはされないものの生きているとも言い難いですわね。ギリギリまで血を抜かれて有効活用されているそうです。


ですが、彼女の有用さはそこではありません。どれだけ用心しても彼女が自由にならないようにしなければなりません。そうなると必要なのは女性だけで全ての研究を行う組織を作る必要がありました。どこか男尊女卑の傾向があった王国でしたから、女性のみの研究員、女性ののみの護衛、女性のみの活躍が出来る場所となっています。そこでは重鎮と呼ばれる男性方の横槍は入りません。殿下の研究とアリシア嬢の研究とどちらが実を結ぶか争われているそうです。


自らを犠牲にして女性の立場向上に努められたことで、色々な意味で私たちの世代ではアリシア嬢はとっても有名な方です。そこまで皆のために尽くすなんて私にも無理です~。あ~、今日も夕食が美味しいですわ~。


ちなみにアリシア嬢のいる建物付近は男性が立ち入った場合、殿下たちと同じ扱いをされることが決まっています。まだそんな方は出ていないそうですが、もし出られた場合は教えていただきたいと陛下にはご相談済みですわ。


最後に私、クラリッサ・シャスティのことをお伝えしてもよろしいでしょうか。お父様の元で暮らしを豊かにするべく色々と試行錯誤中です。ひとまず目標は魔法が使えない平民の方々に少しでも暮らしやすくなるような世の中に出来るようにがんばっております。魔法が使えたくらいではどうにもならないことはまだまだ多いものです。食料生産を上げる、識字率を上げる、まだまだ娯楽も少ないです。出来ることからコツコツやって参りますわ。


大丈夫です。私には現在もお友達が少しずつ増えている最中ですから。

毎日8時更新の投稿もしてますので良ければこちらも読んでみてください。がんばって更新してます!


激しく周回するほど好きなゲームの世界に異世界転移したけど、せっかくなので楽しみます

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