9、決着
うぇ、眩しい!朝日?
((……服装、目……王子。
状況、場所、……悪魔?
結構なレベルの……となると、
僕は報酬……
となると、悪魔側は……
いや、ここにはいないな、覚醒時の聖圧の変化に対しての反応がなさすぎる
となると……成功報酬か?
となると、必要なのは足だけ……
……時の悪魔か?
え、無理じゃ……
いや!寄贈物によるな!
となると、寄贈物の発動条件とその効果を探らないと話にならないな……
はぁ………とりあえず目か………))
…………
「やっぱり、」
(結局、発動条件はわからずじまい。
でもこれで否応にも発動できる。
それと魔族側も引っ張り出せる。)
「人一人動かすのも」
(来ないのか?
ここで出てこず、目を潰させるということは……
そもそも俺の聖圧に興味が無いのか?
美味しい匂い出してると思うのだけどな……
じゃあ、複製目的の記憶狙いか?
となると、わかるが……
複製が出来なかった場合を考慮すると、目を潰させる理由がないだろ……
……よほどの自信があるのか?複製に?
いや、ここまで慎重に俺を見張っている奴に限ってそれは………
となると動けない理由が……)
「楽じゃないな……」
(飢餓か………
とすると、腑に落ちるが……
そうなると……ギリギリだよな。
じゃあ、この目は立髪に使うと思わせ、聖圧に上乗せして、相手が餓死するまでの時間稼ぎにするか……)
グサッ
……………
「それはねぇ……もう」
(相手はあの時の悪魔………
いけるな。
相手の無意識状態に僕の能力を挟めば……
フッフッフッフ、
どんな命令をしてやろうかーーー!)
「諦めることかな?」
……………………
「という考えのもと動いていたと思ったのだけど、全然違ったらしい。」
本当に違っています
「ただ君は、そういう行動を取ったというだけだったんだね。」
「行動をとった!
というより、起きたら勝手に体が動いただけ……
か、勝手に体が動いたんですよね!
あれ、ちょっと、カッコよろしいなこれ……
……
まぁ、何はともあれ、実感はないのですけど!」
「我々は初対面より先に契約を済ませていたみたいだね!
内容は!」
「「利害の一致のみにおける強制契約かッ」」
ひとしきり笑い合った後、少女が続ける
「はぁーあ
とりあえず、お代はもらったわけ……いや、無理やりつかまされたの間違いだけど、さっきの食費くらいは働かせてもらおうかな……」
「そうか、じゃあ僕の安全を守って……く……れ……お嬢。」
少年は薄れゆく意識の中でどうにかこれだけは声に出した
「了解した。………主様。」
この声が少年に届いていたかは定かではない
……………………………
「お、やっと終わったかい?」
どうやらこの箱の少女は、少年が起きたということを背中越しに感じ取れるらしい
「こ、こわぁー」
流石の少年もこれには引いたらしい
「いやー、結局君のしたことといえば、最初に他人に全てを丸投げしただけなのだけど、よくぞ、うまくいったものだね。」
補足
少年は、時の悪魔が王都から移動してくる際の寄贈物発動の無意識下に合わせて、既に契約を持ちかけており、その内容が利害の一致のみにおける強制契約であった。
これを飲ませるために、少年は、悪魔に自分の全て(自身の思考と血液以外)をかけていたということである。
このことにより、少年は自分の体の所有権を奪われ、悪魔が思うとおりに動いていたわけだが、
悪魔が少年の血を飲んだこと、
そしてその味を知ってしまったことにより、少年は自分の血を交換条件として悪魔に命令することが可能になったのである。
たとえ、自分の全てを悪魔に授けていたとしても、少年自身に意志さえあれば、利害の一致のみが契約条件であるため、その他の事柄を省いて契約ができるということである
以上
…………
「本当、記憶を失う前の僕は日頃の行いが良かったんですね……
これでひとまず、ゆっくりできそうだ」
(よし、ブラフは散々打った。
あとはこの人から……)
トントン
少年は突然肩を叩かれた
振り返ると少女が、箱を取ってこちらを見ている
驚いて、距離を取ろうとする少年の顔をすかさず少女が掴む
その割には何も言わずにこちらを見ている
いっときの沈黙があった後、少女が申し訳なさそうに続ける
「えーーと………
…………ごめん!
伝え忘れてたけど君、
『寝るたびに記憶なくなる』よ」
当然少年は固まる
「……………あ!
そろそろあっちに戻る時間じゃないかな?」
そう言って少女は椅子に立つ
「さぁ、行っていらっしゃい!
君には私がついてるから!」
少年は空いた口がふさがらなかった。
流石に可哀想である
…………………………
(ん?生ぬるい………湯船か?
いや違う……なんというか生臭いような……)
恐る恐る目を開けた少年には
自分の首に噛み付いた、
帽子を被った黒髪の少女と
その生首が見えた
次の瞬間、少女の生首が跡形もなく消えた
全身鎧の兵士の手によって
放心状態の少年に鎧は走り書きを渡す
そこには
(ただいま、理の悪魔、ラビットの処理が終わりました。
…………次の指示をください
………クロエ王子)
と書いてあった
少しの間があった
これはあくまで予想だが、少年は腕を組もうとしたのだろう
少年は自分の四肢がないことすら覚えてないのだがら……
「忘れてた忘れてた、僕はクロエでしたね」
そう笑いながら言った少年の心境は、私には図りかねた