史上最古の悪党からの処方箋
主人公なんて、可愛そうであればあるほどいいですよね
( ´ ▽ ` )ノ
(うぇ、眩しい! 朝日?......
いや、違うな、夕日か......
まぁ、どちらでもいいのだけど。
うーーーーん
.......あれ?
伸びが満足にできない?
というより体が動かない?
もしかして......金縛り⁉︎
……いやいや、そんな幽霊さんに胸ぐら掴まれるほどのメンチ切った思い出なんて......
あ!もしかしてカツアゲですか?
それだったらもう全然ジャンプとかしますよ?
まぁ、幽霊さんには足がないので、ジャンプとかそういう概念がそもそもないのかもしれませんけどね!
ハッハッハッ、はぁ......
そろそろ現実と向き合うか......
なんだか急かされてる気がするし......
とりあえず、まずは状況確認だな。
えーと、前方に見える野原、
二十人くらい見える鎧の兵士たち、
自分を拘束している首枷、そして上の方に見える斧状の刃、これらを統合して考えるに......
ここはギロチンという名の処刑台の上というわけか.......
………
......ん?
いやいや…….え?
ないない……え⁉︎
そんなわけないでしょ……
だってここがもし処刑台の上だとしたら、今置かれている状況が、
『幽霊さんに胸ぐらを掴まれている。』
という、とてもハートフルでファンシーなものから、
『死神に生殺与奪の権を、殺人予告状製作の片手間に掴まれてる。』
という、とても具体的で将来性のあるものにジョブチェンジするということだぞ!
……あ、だめだ。
全然現実を飲み込める気がしない……
元々あったか怪しいが、やる気やその他全てが削がれた感覚がある……
だって!
「おはようございます!」
からの即処刑台なんて雑で過酷な朝、そうそうないだろ!
「朝起きるのが辛くてしんどい!」
なんて言ってるJK見たら、
「鋭利なグーで殴りたい!」
という、自分の気持ちを裏切られる気がしないぞ!!
はぁ……
なんかだか悲しくなってきたな……
『涙』という名のジュエルが、俺の固く閉ざされた『まぶた』という名のジェイルからこぼれそうだぜ………
………
あーーもう!
だめだ、現実逃避したい!
ジタバタしたい!
もちろん首のところ拘束されてるから、波打ち際の魚みたいな動きしかできないと思うけど、それでも全力でジタバタしたい!
ポテンシャルにもの言わせて、誰にも負けないようなペチペチ音を奏でたい!
青春の1ページをそれで埋めたいい!!
はぁ…….
というか朝起きて即死刑って……
なにモーニングルーティンの一環で、人を処刑台に登らせられてるんだよ……
人の命ってそんなスナック感覚でサクサクいっていいものでしたっけ⁉︎
あーあぁー!
なんだか、だんだん腹立ってきたぞ!
いいの?
俺、マジ、キレたら何すっかわかんないよ⁉︎
マジでキレたら記憶飛ぶタイプの人間だから後で責任とか取れないよ⁉︎
起きた時に
「俺またやっちゃってました?」
とか、そういうリアクションしか用意できないと思うけど!
いいの⁉︎
マジで!
......はぁ、なんか悲しくなってきた。
なに一人ではしゃいでるんだろう……
あぁーもう!
情緒が!情緒がー!
畜生!
もう少し、優しくしてくれてもいいでしょ神様!
今一度、職務内容確認してもらっていいですか⁉︎
マニュアルで!
多分、「人はランダムで、起きた瞬間にギロチンにかけていいよ!(反応が面白いから)」
なんて理不尽なこと書いてなかったと思うから!
それとも……もしかして神様就任一日目ですか?
それだったら、こんな間違いかましたことにうなずけるけど……
そんなの理由にならないからね!
社会はそんなに甘くないよ!
ったくもう……
………いや、今のは冗談ですよ。
あれ、もしかして本気にしました?
もう、困っちゃうなー!冗談じゃないっすか!
………
申し訳ございません。調子に乗りました。
……というか、そもそもなんでこんな処刑台に乗せられてるんだ?
こんな仕打ちを受けるほどのことをやらかした覚えなんて..........
.......................あれ?………………
.......................うーんと.............
そもそも僕って誰だっけ?)
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著者 X
あなたは史上最古の悪党と聞いて誰か心当たりはありますか?
まず、心当たりのないと答えた貴方には、色々と疑問が出ていると思います。
ですが、まずはこの本に目を通してください。
そうすれば、疑問が解消されるとともに、私が貴方にお願いしたいことも自ずと理解されると思います。
ですが、私のお願いを聞いてくれるのかどうかは任意なので、そこはあなたの良心に任せます。
そして、心当たりがあると思った貴方、貴方はとても重症です。
正直救いようがないとも思われますが、一応薬を内封します。
気が向きましたら、この薬の注意事項を下に記しますので一瞥ください。
……………〇〇
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※注意事項
一つ、期待しないでください
二つ、怒らないでください
三つ、叱ってください
三つ、笑ってください
四つ、死ね
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「あのーすいません、蜂って女王蜂と交尾した瞬間に爆死するって知ってますか?」
少年はここで初めて口を開いた。
……なぜこのようなことを言ったのか、
ということについて説明がいると思うので、少し遡って少年の考えを見てみたいと思う
そろそろ王子様が頭を使い始めます
( ´ ▽ ` )ノ