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32話


―セリカ視点―


 翌日、セザールタウンの共同墓地にてアンデッドの召喚を試みたが制御不能に陥ったセリカは一度自宅に帰り睡眠を取った後、早朝に配達される情報誌を読む事で自分が召喚したアンデッド達は無事冒険者の手により討伐された事を知る。

 大きなトラブルにならなかったことに対し安堵のため息を付いたセリカは、いつものウィザード用の衣服へと着替える。

 現在セリカの部屋には気まぐれな猫みー太君の姿は居ないが、セリカはいつもの事と気にせずシュヴァルツ・サーヴァラーへ向かった。

 シュヴァルツ・サーヴァラーに辿り着いたセリカは、昨日の出来事を報告する為ダストの部屋を訪れた。

 失態を犯した以上、いつでも脱げる様に衣服を緩めるが……。


「よぉ、セリカ、アンデッドの件はどうだった?」

「申し訳ありませんダスト様、アンデッド達を上手く制御出来ず」

「あぁ? 俺様は混乱させろつったからな、深夜方に冒険者達を動かせただけでも上等だ」 


 ダストはセリカを責める意思を見せていないのだが、セリカ自身は自責の意を抱いているのか身に着けているマントに手をかけはらりと音を立てながら脱ぎ落す。


「おいおい、俺様は褒めてるつもりだぜ? だからその、なんだ、着ている物を脱がなくても良いんだぞ?」

「ですがダスト様、呼び出したアンデッド達を制御できなかった事実が御座います」


 セリカは、身に着けているインナーの中よりブラジャーの上部がダストに見える様に身体の向きを合わせながらアウターに手を掛ける。


「い、いや、待て待て待て、確かに俺様も嫌いじゃないけどここはギルドハウスだぜ? 他のギルドメンバーに見付かったら示しがつかねぇ」

「そうですね、ではまた後日」


 セリカはため息を付き、一度脱ぎ捨てたマントを再度身に纏う。


「おいおいおいー、俺様はそんなつもりぃっ! そう、そうだ、次の作戦考えようぜ」


 ダストは両手をじたばたさせ、慌てふためきながら話題を反らす。


「分かりました、ダスト様がそう仰るのでしたら」

「お、おう、ほらよ、今回は沢山アンデッドを出したから駄目だったんだろ? なら、次は一発でかいのをどーんと行ってみろよ」

「でかいの、ですか」


 セリカは、ダストの頭から足元を眺めながら呟く。

 なんだか、セリカはダストが想像している物と別の物を想像している様な気がしなくもないが……。

 自分が想像している事は絶対に違う事と言わんばかりにセリカが一つため息を付いて。


「ダスト様、それではわたくしの魔力が足りないかもしれません」

「そうか、おめーんとこの猫、確かヴァイス・リッターに出入りしてるんだろ? そいつから何か引き出せないかやってみろよ」


 確かにみー太君はヴァイス・リッターに出入りしている。

 しかし、彼女を自分の都合で利用するのは少々気が引ける、とセリカはダストに向けていた視線を一度外し再びダストに視線を向け、


「分かりました、やってみます」

「おう、じゃあ俺様は仕事の続きに戻るから頼んだぞ」

「はい」


 セリカはダストに向けて一礼をした後ダストの部屋を後にした。


―カイル―


 翌日、前日夜からアンデッドの討伐を行った俺は朝起きる事に失敗し大体12時位に目が覚め、ヴァイス・リッターに辿り着いたのはその1時間後だった。


「やぁやぁカイルさん、昨日は見事でしたね、前衛として後衛が攻撃をしやすくする役割を果たしながらも隙を見つけ攻撃を仕掛けた事、実に素晴らしかったですよ」


 エリクさんが満面の笑みを浮かべながら言う。


「有難う御座います」

「これは報奨金です、昨日の討伐は緊急依頼でしたので報奨金に関しては僕が朝冒険者ギルドに向って受け取っておきました」


 エリクさんは、報奨金が入った布製の小袋を俺に手渡した。


「有難う御座います」

「僕はこれで失礼しますね、それではまた」


 用件が済んだエリクさんは俺の元から立ち去った。

 エリクさんと別れた俺は、ヴァイス・リッター内でなんやかやして過ごし気が付けば夕方になっていた。少々疲れを感じた俺は休憩室で休憩を取る事にした。


「あ、カイルさんだー」


 休憩室に辿り着き暫くすると、無邪気な声を出しながらルミィさんが俺の元にやって来た。

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