22話
男レンジャーは、ニッと笑みを見せると5人に対し、手で出発の合図を示し自らが先頭を切り、リリアの尾行を始めたのであった。
一方、ヴァイス・リッターでの朝礼を終えたカイルとリリアは、自分達がモブギルドメンバー達に付けられている事など知らず、ヴァイス・リッターから外に出、昨日カイルとルミィがお茶をしたカフェへ向かったのであった。
(リリア様はカイルと一緒に出掛けやがった、ちぃぃぃ、あの野郎、何とも羨ましい事をッ)
男レンジャーは、カイルとリリアに気付かれぬ様こっそりと後を付け、残りの5人は男レンジャーから50M程離れた場所を歩いている。
凡そ500M程歩き続けた所で、
(カイルは冒険者ギルドへの道からはずれたか、アイツが選んだ道は男ウィザードが予想を立てたカフェへの道みたいだな)
カイルとリリアが向かう先の目途を立てた男レンジャーは後ろを歩く5人と合流し、裏道を走り抜けカイル達を先回りしよう、と指示を出す。
男レンジャーの指示を受けた5人は、カイルとリリアが向かうであろうカフェの前に先回りすべく走り出したのである。
―カイル―
現在の時刻は昨日ルミィさんと例のカフェに行った時と同じく大体10時位だ。
昨日と同じく、ヴァイス・リッターからカフェへの道中は一般人や冒険者、主婦と思わしき人達でにぎわっている。
これはセザールタウンのいつも通りの日常であり特別異常を感じる事は無い。
俺は、リリアさんと他愛の無い話をし、と言いたいけど何だかリリアさんからはツンケンとした対応をされたが、まぁ、いつものリリアさんかと自分の中で適当に流しながら目的のカフェへと向かっていた。
「リリアさん、ヴァイス・リッターで見た事ある様な人が居ない?」
目的のカフェまで残り200M位の距離に差し掛かった所で、カフェから10M程の場所に男3人と女3人のグループを見付けた。
見た感じ、男側はファイターとレンジャーとウィザードで、女側はナイトとファイターとレンジャーみたいだ。
この6人は、ヴァイス・リッター内で見たお記憶がある。けれど特別話かけられた事は無い。
彼等も同じカフェでケーキを食べに来たんだろう、あのチョコレートケーキ結構おいしかったし。
俺は彼等が自分と同じ目的地に居る事に対して偶然以上の要素を感じる事は無かった。
「フン。笑わせないで、あんなデブにガリに地味な連中ヴァイス・リッターに居る訳無いじゃない? 仮に居たとしてもあたしの記憶に残る訳無いわよ」
物凄い言い草だ。
けれど、リリアさんの言う通り男レンジャー以外からはこの距離からでも負のオーラに満ちている感じがし、リリアさんから地味な連中扱いされるのは仕方が無い気になって来る。
おや? 男ウィザードと男ファイターが俺とリリアさんの進行を塞ぐ様な位置取りをしたぞ? この人達カフェの中に入るんじゃないのか? 何だかめんどくさそうな事になりそうな気がするが?
俺が、先に居るめんどくさい事を起こしそうな2人と目を合わせない様にカフェの中を目指そうとしたところで、
「やぁやぁカイル殿、こんな所で出会うとは奇遇でござる」
男ウィザードが俺の進路を妨害した形で声をかけて来た。
進路を塞がれた手前、仕方無く立ち止まるしかなく俺は一旦立ち止まる。
しかし、この男ウィザード、俺の名前を憶えているのだけど俺は全く分からない、さてどうした事か?
「おはようごいます」
俺はとりあえず男ウィザードに向け挨拶をする。
「フフフ、拙者の名前はマーガー・ウィルソンにござる、以後おみしりおきを」
マーガーさんが俺に対し、妙に丁重な挨拶をする。
「ブヒブヒ、おいらはフェート・クライスぶひ、前衛ならおいらに任せるブヒ」
どーんと、自慢気に肉体を披露するファイターのフェートさんだ。
申し訳無いけど、その脂肪に溢れた肉体で魔物からの攻撃を受け切られるとは思えないが、
「俺はナイトやってますんで、魔物の攻撃を受けられそうな前衛の方は有難い存在と思います」
「そうブヒそうブヒ、魔物の攻撃はおいらに任せるブヒ」
ストレートに思った事を言わずお世辞を言ってみればそれに気付いているのか分からないがフェートさんが少々得意気になる。
「俺っちはコーズ・ファーシネスっつーぜ、宜しくな、カイル」
レンジャーのコーズさんが俺に対して爽やかな挨拶を見せると女ファイターが彼等に向かって、




