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万能型冒険者の俺を、聖女とアイドルが取り合う件について  作者: うさぎ蕎麦
1章「アイドルリリアさんと聖女ルミィさんと」
16/57

16話

アリアが適当にエリクとデートさえすれば、高い難易度の依頼を共にこなしてくれると言う、アリアにとって比較的安価なコストで利用出来る便利な存在であったりする。

 例えアリア自身が男性陣から人気が高い美人であるとしても、一般的に見れば女性にだらしがないエリクとデートに行った理由はこの辺りで、むしろアリアにとっては高ランク冒険者であるエリクへの評価は高かったりする。


「ええーエリクさんが道具なの? なんかエリクさんが可哀そうだよ?」

「否定しないわ、けれど上位冒険者達は私達女の子を人間としてみてくれる事は稀よ」


 アリアはサンドイッチを一口ほおばり、淹れてから時間が経過し程良い温度まで冷めた紅茶をすする。


「ふぇ? そうなの? でも、男の人達はみんな私に優しい事言ってくれるよ?」

「そうね、彼等のステイタスを満たす為私達に甘い事を囁くわ」

「ステイタス?? 魔力とかそういうの?」


 ルミィは、アリアが聞きなれない表現をしたことに対し疑問を抱いたのか少しばかり目を丸くして見せた。


「そうね、私達女を自分のモノにした事により他の男に対して優越感を浸る為のステイタスと言ったところよ」

「ふぇ? ふぇー?」

「支配欲が高い男ほどその傾向が強いわね、特にファイターをやっている男は周りの男から優越感を得る為だけに女を口説く傾向が強い。奴等の口車に乗せられ心を開いたら最後ね、良い様に利用され、もっと良い女が見つかったら乗り換えられる、もしくは女の知らないところで別の女とよろしくやるわ」

「よ、よろしく???」

「ルミィがもう少し大人になったら教えるわ」

「えええ? お姉ちゃんと私3歳しか年が違うだけだよ???」

「冒険者をやると、深い経験を積めるの」


 アリアは、口元に緩い笑みを浮かべながらルミィに言う。


「うぅー、気になるよぉ」

「出来ればルミィは知らないで欲しい事ね」

「分かったよぉ……あ、そうだお姉ちゃん、今日折角カイルさんとデート出来たのに、教会の人達に邪魔されちゃったんだー」


 ルミィが、1つ目のサンドイッチを食べ終えると嬉しそうな声でアリアに言った。


「はぁ、ルミィ? 私が朝言った事覚えてないの?」


 ため息一つ付きながらアリアがルミィに返事をする。

 最も、妹のルミィが自分の話をあまり聞かない事は予想の範囲内だったのかアリアがルミィに怒り出す素振りは見せていない。


「えへへ、覚えてるよー?」


 アリアより朝の事を指摘されたルミィは視線をチラチラと泳がせながらアリアに返事をした。


「全く、あのカイルって奴は女性関係で悪い噂しか聞かないのよ、冒険者ギルドの依頼は複数の女の子としか行わないだの、休みの日は午前午後夕刻と1日に3人の女の子とよろしくやっているのよ? 幾らセザール学園如きで優秀な成績を収めて卒業したとしても、そこまで女の子に対して不誠実な男と関わってもロクな事無いのよ? ルミィ、分かる?」


 アリアは、やや早口でルミィを捲し立て、スゥっと一つ深呼吸をした。


「え、え、え? 私、カイルさんの事でそんな話聞いた事無いよ??? 教会の子達だってそんなこと話してた事無いよ???」


 アリアから捲し立てられたルミィは、目を丸くしながらアリアに答えた。


「そう? 私はヴァイス・リッターに居る人達から聞いた話よ? 教会で知り得た情報よりも高い精度の情報じゃない?」

「ふぇー? なんでなんでー? なんでヴァイス・リッターの人達がカイルさんの事そんなに詳しく知ってるの???」


 ルミィは、率直な疑問をアリアにぶつけた。

 ルミィが疑問に抱く通り、カイルと同じ年齢の人が集まるセザール教会の人達なら兎も角、豊富な年齢層の人達が集まるヴァイス・リッターの人達がより詳しい事を知っている事は不自然な事である。


「さぁ? 正直なところ私はカイルって奴に興味が無いからそこまで詳しい事は分からない」

「そうなのー? じゃ、じゃあさぁ、ヴァイス・リッターの人達は、セザール学園の人達からカイルさんの事を聞いたのかなぁ? カイルさんの事で一番詳しい事を知っている人ってセザール学園の人達と思うんだぁ」


 ルミィが、アリアの顔をチラチラと様子をうかがう様に見ながら言う。


「その可能性が高いとしか言えないわね、私はヴァイス・リッターに居る若いナイトやファイターの娘達がカイルって奴の事を噂している話を横で聞いただけだから」

「そ、それじゃぁ、その人達が作ったお話じゃないかなー? ほ、ほら、女の子達って作り話を広めて色々とやる事あるじゃん?」


 ルミィは、以前教会に居るシスターが勝手な話を作り誰かを陥れようとしていた時の事を思い出しながら言う。

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