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万能型冒険者の俺を、聖女とアイドルが取り合う件について  作者: うさぎ蕎麦
1章「アイドルリリアさんと聖女ルミィさんと」
13/57

13話

「ありがとうございます」


 早速俺とルミィさんはチョコレートケーキが乗せられたお皿を持ち、女の子達の居るテーブルへ移動した。

 俺とルミィさんが自分達の元にやって来る事を確認した女の子達は、店員の許可を得た後隣にあったテーブルを自分達のテーブルへ繋げ、8人用のテーブルとし、俺は左右に1人ずつ女の子対面にルミィさんとその両隣に残った女の子が座る形となった。


「えーっと、初めましてカイル・レヴィンです宜しくお願いします」


 そう言えば、女の子達に囲まれながら対話するなんて初めての事かもしれない。

 慣れない事だからか、少しばかり胸がドキドキして来る様な気がして来た。

 俺は皆への自己紹介が終わると、続いて4人の女の子達が1人ずつ黄色い声を出しながら簡単な自己紹介を行った。

 どうやら4人とも教会でシスターを行っているみたいで、ルミィさんみたいに教会を卒業した後冒険者になるって子は居ないみたいだった。

 教会を卒業したシスターがプリーストとして冒険者になるって随分危険な話だしね。

 冒険者として考えるならば、プリーストの人達はナイトと言った前衛の人達に守られているから安全度は高いんだけど、それでも前衛の人達が崩されてしまった時とかは自分達の身に危害が及んでしまうからあくまで冒険者の中では安全なだけで、一般人の視点で考えればプリーストとして冒険者になって危険を冒すよりも安全な場所でシスターとして活動した方が正しいとは思う。


「でさ、でさー、ルミィちゃんがカイルさんとどーして一緒に居るのー?」


 皆が一通り自己紹介を行った所で、女の子の1人が興味津々でルミィさんに尋ねた。


「え、えっとぉ、そのぉ、街を歩いていたらたまたまってゆーか?」


 ルミィさんが、頬を人差し指で掻きながら女の子達から視線を逸らしながら言う。

 何か不都合があるのか、ヴァイス・リッターの事は隠している。


「へへー? 逆ナンって奴? ルミィちゃんやるじゃん☆」

「あは、あはは、でしょ、でしょー?」


 女の子の1人から褒められたにも関わらずルミィさんが微妙な表情をしながら乾いた笑いを見せる。


「カイルさんって言ったら、セザール教会内で凄い有名だったんだよねー」

「そーそー、セザール学園でずっと首席だったんだよね。すごいよねー」

「うんうん、しかも全教科トップだよねーセザール学園始まって以来の快挙だよね?」


 3人の女の子達が俺を褒め、俺は何だか嬉しい気持ちにさせられるが、チラッとルミィさんをみると、少しばかり頬を膨らませムスッとしていた。


「しかもー、噂通りのイケメンじゃーん?」


 俺の左隣に座る女の子が、にししししっと笑いながら俺の頬を人差し指で突き出した。

その様子を見たルミィさんが、むぐぐぐぐと歯噛みをしながら、


「カ、カイルさんって冒険者としても凄いんですよねッ!?」


 何故か、強い口調で言う。


「いや、俺はまだ冒険者になったばかりで凄い事は無いと思うけど?」

「す、すごいですよ! ほら、カイルさん、ナイトの成績もファイターの成績もレンジャーの成績もウィザードの成績も優秀だったんですから! 冒険者として凄くない訳無いですよ!」


 ルミィさんが少々早口で捲し立てながら言う。

 確かにルミィさんの言う通り、防御型前衛職であるナイト学部の成績もトップで、攻撃型前衛職であるファイター学部の成績もトップで、機動型物理援護職であるレンジャー学部の成績もトップで、魔法攻撃型後衛職であるウィザード学部の成績もトップと、セザール学園に存在する学部すべてでトップの成績で卒業した訳ですけど、だからと言って冒険者としての経験を大して積んでいない以上、冒険者として凄いと言うのは無茶な気がする。


「おやおやー? ルミィちゃーん? まさかまさかぁ?」


俺の右隣りに座る女の子がニヤニヤしながらルミィさんを見ている。


「なななな、なに!?」


 その女の子の問い掛けに対して何故かルミィさんが慌てている様に見える返事をする。


「ふんふんふんー。改めて見るとカイルさんってやっぱりイケメンだよねー」


 その女の子が、今度は俺の方をまじまじと見つめながら言う。

 が、女の子達が散々俺の事をイケメンと言っているけど、俺の容姿ってそんなに良いのか? と言う疑問を抱いてしまう訳であり。

 あれ? ルミィさんの顔が物凄く真っ赤になっているんだけど?


「い、いけめんじゃないもん! カイルさんはいけめんじゃないもん!」


 顔を真っ赤にしたまま、少々大きな声で言うルミィさんだ。

 ルミィさんの言う通り俺はイケメンと思っていない以上俺はどうでもいいのだけども、しかし、しかしだ。

 今の、ルミィさんの声に驚いたのか、この店の店員さんがチラチラとこちらを見ている。

 また、このテーブルに座るルミィさん以外の4人の女の子は揃いも揃って何か面白い事に気が付いたかの様にニヤニヤとした笑みを浮かべている。


「へー? ルミィちゃん? まさか、まさかー? カイルさんに一目惚れしちゃったー?」


 俺から見て、ルミィさんの右隣りに座る女の子がルミィさんをからかうかの様に言っている。

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