合流したそのあとで
ここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございます!!
誤字報告、助かります!!
◇◇◇合流◇◇◇
魔物の咆哮を聞いた瞬間、俺は駆け出した。
すぐに魔物の群れが目に入る。
デカい!
熊のような魔物を何度か倒してきたが、それと同じかそれ以上の背丈だ。
元は猿か? いや、ゴリラか。
魔物たちは十体。
奴らは、トンネルの出口のような場所の前に集まっている。
トンネルの出口……
それはきっと。
地下の洞窟から、地上へと続いている場所だ!
ということは!
目の端に、丸太のようなゴリラの腕が、洞窟内に伸びていくのが見える。
ひょっとして。
俺以外のメンバー四人、出口付近にいるのか!
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!
ガラスが割れるような音が聞えた。
まずい!
「絵里、出口付近の一体を頼む!」
『了解!』
絵里はすぐさま、硬化した触手を、洞窟前のゴリラに向ける。
槍のような形に変わった触手は、一直線にゴリラに飛ぶ。
俺は両手から、渦を五つ、出力を上げ立て続けに繰り出す。
ピイイン!
糸が張ったような音と共に、洞窟前のゴリラの腕が飛ぶ。
少し遅れて、ゴリラの首が胴体から落ちた。
洞窟から、誰かの頭が見える。
俺の渦に巻き込まれたら、その頭も飛ぶぞ!
あわてて俺は怒鳴る。
「洞窟に戻れ! 早く!」
俺の放った渦は、互いを巻き込み巨大化する。
巨大になった渦は、竜巻に変わり、火花を散らしながらその場の魔物を巻き込んでいく。
魔物の最期の叫びも、渦の轟音にかき消される。
渦が消えた後には、夥しい血液と、魔物の躰の残骸が散らばっていた。
俺が洞窟の出口に近づくと、バタバタと見知った顔が寄ってきた。
やはり、俺を追放した、メンバーだった。
「お前、司、だよな」
最初に声をかけてきたのは、斎木だった。
斎木はほっと息をつき、辺りを見回す。
「な、なんで……こんな、バラバラ……」
斎木の後ろには、沢野が首を押さえて立っている。
「あんな、バカみたいに強いモノを、こ、こんな……」
「キャッ!」
声を上げたのは葛西だ。滑って転びそうになった。
「な、何よ、この血の海!」
斎木が、俺を見据える。
「お前が、全部、片付けたのか……」
「ああ」
実際は、絵里の力も借りているが、それは言わない。
あれ?
三人?
「あの、遠藤は?」
俺が尋ねたその時だった。
「嘘だああああ!」
洞窟からドタドタと走ってくる男。
手には剣を持っている。
だが、刃は半分しかない。
遠藤は、ぼんやりと立っている三人を突き飛ばし、俺に剣を向ける。
「嘘だ嘘だ嘘だ!! コイツに、そんな力があるわけ、ないいい!!」
遠藤の目は赤く染まり、口から唾液がダラダラ流れている。
剣を構えているものの、腰から下は震えている。
「遠藤、だよな」
三人は無言だ。
何かあったのか。
「うおりゃあああ!!」
遠藤は俺に切りかかる。
俺は体を横にずらす。
遠藤の剣は空を切り、そのまま彼は前のめりに転ぶ。
遠藤は荒い息を吐きながら、唸っている。
『切り裂きの剛剣』が、何をやってるんだ。
「ああ、さっき、地底で食ったサカナにあたって、遠藤、今フラフラなんだよ」
斎木がとりなすように言う。
斎木の言葉を、俺は聞き逃すことが出来なかった。
「食ったのか? どの辺で? どんなサカナだった?」
「えっ? ああ、出口に近いトコの川。なんだろ? 深海魚みたいな形してた」
斎木の答えに俺は身震いした。
「俺も一口食ったが、それだけで気持ち悪くなって、すぐに吐いたな」
沢野も食ったのか!
顔色は、まあ、普通か。
目の色も変わっていない。
唸っていた遠藤は、そのまま蹲り、腹を押さえてギリギリ歯ぎしりをする。
「何どうしたの? なんかまずかった?」
さすがに葛西も心配そうな声になる。
「俺は、ここまで地上のルートを使ってやってきた。魔物と何度も闘いながら。それで気付いたことがある」
俺は皆に話をする。
しなければ、ならないからだ。
今。
「気付いたって、何に?」
斎木が唾を飲み込む。
「魔物とは、俺たちの世界にいる生き物が、変化した存在だと」
遠藤の苦悶の声がする。
「変化って、その原因はなんだ? 呪い? それとも魔術か? まさか魔獣が変化させているのか?」
「出発の前、王宮で聞いたこと覚えているか? 草木が生えている場所の水は飲んで良いと。この辺は荒れ野で、草も木も枯れている。つまり水も、水の中に棲むモノも、飲んだり食べたりしてはいけないんだ」
葛西が口を尖らせて言う。
「焼いたよ、サカナ。ちょっと生焼けだったみたいだけど」
俺は頭を振る。
「加熱したくらいでは、何の効果もないよ」
「なぜだ。俺の火の魔術でもダメなのか?」
魔術でそれが消せるとは、俺には思えない。
「だって、この地の生物を魔物に変えたものは、放射能だから」
その場の三人は、驚きを隠せなかった。
「ほ、放射、能?」
「そうだ。それが王の言っていた『厄災』なんだよ」
遠藤はとうとう、布を引き裂くような叫び声を上げる。
彼が押さえていた腹からは、鮮血が吹き上がっていた。
なんで放射能?
遠藤、どうなるの?
魔獣との闘いは?
少しでも興味をお持ちくださいましたら、評価をお願いいたしますm(__)m
物語は、完結に向かってスパートいたします。