表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/167

7.指導の代償

ふらふらとしながらもラナは歩き続け、どうやら目的地についたようだ。

「ここが私が泊まってる宿よぉ。

 部屋は空いてたと思うからぁ、自分の部屋を取ってねぇ。」

また千鳥足で歩き出す。


受付で泊まる旨を伝えると、2階の部屋をあてがわれた。

突き当たりなら間違いにくくていいな。

向かう途中にある部屋の前でラナが立っていた。

「ここが私の部屋…色々準備したいから1時間後に来てねぇ。」

そう言って部屋の中に入っていった。女の身支度は何でも時間がかかるな…


自分の部屋に入るとその狭さに驚く。便所も風呂もない。

どちらもこの身には必要ないから構わないし想定の範囲内だが、

物を置くスペースもあまりない。冒険者なら図鑑で事足りるからこれでいいのか?

狭さの割にきれいなベッドに寝転ぶ。

ラナへの指導を色々考えながら1時間程時間を潰した。…そろそろいいかな。


ラナの部屋の扉をノックする。

「開いてるから入って。鍵は閉めておいてね。」

部屋に入り鍵を閉めるとバスタオルを纏ったラナがベッドに腰掛けていた。


「1時間は少し長かったかもしれないわ、酔いが醒めてきちゃってる。

 でも覚悟はできてるわ。完全に醒める前に早く終わらせてちょうだい。」


早く…とは妙な事を言うな。

「服は着たままでもよかったんだが。布が厚くなければな。」


「え、普通は裸でするものじゃないの?…私も初めてだからわからないけど。」


…これは何か勘違いしてそうだな。

「まぁいい、うつ伏せになってくれ。」


「話に聞いてたのと違うわね…これでいい?」

巻いていたバスタオルを取り、うつ伏せになる。


「よし、それじゃ始めるか。」

ラナの足を少し開き、その先にある双臀に顔を沈めていく。

予想通りの程よい柔らかさといい弾力だ!


予想外だったのかラナが慌てて声を上げる。

「ちょっ…!何してんのよ!!」


気にせず顔を沈め続けると、やがて尻と顔が完全にフィットする。

尻が割れているのは鼻を収めるためとでも言わんばかりにピッタリだ!

強く押し付けすぎると目に圧がかかってボヤけるから初心者は注意しよう!

「よし、これでいいぞ。後は寝るなり好きにするといい。」


「その状態で喋らないでよ!それにこんな状態で寝られるわけないじゃない!」


クレームが入ったので念話で話しかけることにする。

『体で払うというのは嘘だったのか?』


「嘘じゃないけど…普通こうなるとは思わないじゃない!

 この状態じゃ寝返りもできないわよ!」


『それもそうだな。尻に接触している部分以外の物理的干渉をなくそう。』


「聞いたこともない高度な魔法をこんな事に使わないでよ!何なの!?」


『こんな事とは随分だな。人の好みをとやかく言うものじゃないぞ。』


「それに…万が一…万が一臭かったら…」


『この状況なら多少の臭いはスパイスのようなものだ。気にするな。』


「そっちが良くてもこっちが嫌なのよ!」


『冗談だ。ラナが寝て起きるまで呼吸はしないと誓おう。それでどうだ?』


怒るのに疲れたのかラナは諦めた様子で呟く。

「…じゃあそれでいいわ。何だってのよもう…」



翌朝、ラナが目を覚ましたようなので少し様子を見る。

「やっぱり…夢じゃなかったんだ…」

落ち込んだ様子で力なくそう呟いた。

起きたと判断してラナの目の前に移動し、満面の笑みを浮かべて声をかける。

「おはよう!いい朝だな!」


「いい朝じゃないわよっ!」

と、容赦のない蹴りをくれてきた。

…が、俺は微動だにしないし自分の足には強い衝撃が走ったようだ。


「そんなことをすると具が見えるぞ。」


「…まず着替えるから出てって!」

自分が裸だったことを思い出したのだろう。


「俺の部屋は突き当たりだ。着替え終わったら来てくれ。」

そう言って自分の部屋に戻る。


しばらくすると準備を終えたラナが部屋の扉を開けた。

「待たせたわね。それじゃ早速行きましょう。」


「今日からやるのか?」


「当たり前でしょ!あんなことしておいて

 延ばされたらたまったもんじゃないわ!」


「やる気があるのはいいことだ。とりあえずは現状の把握をしないとだな。

 ラナが戦っている所を見せてくれ。」


「わかったわ。でもその前にご飯にしましょ。」

そう言うと踵を返し、スタスタと歩き出す。


しばらく歩いて着いた先は昨日の酒場だった。


「おっちゃん、鹿牛のステーキと白米のセットちょうだい!」

朝から肉なのか、野菜がそもそもないのか?


「俺も同じ物を。」


「あいよっ!その調子だと問題なかったみたいだね。

 飲みすぎなんじゃないかと心配しちゃったよ。」


「大丈夫よ。酔いはするけど気分が悪くなったりはしないもの。」


「そうなのかい?ま、無事で何よりだ。

 昨日も一緒だったがおっさんと組んだのかい?」


「ええ、そういうことになったわ。」


「俺にも名前くらいある。ポノだ。よろしく。」


「変わった名前だな!余裕があったら覚えとくよ。へいお待ち!」


昨日と変わらずうまいな。肉と白米は正義だ。


「今日もおいしかったわ、おっちゃん!」


「嬉しいこと言ってくれるね。ビールいるかい?」

おっちゃん、転がされすぎだろう…


「これから狩りに行くから今はやめておくわ。代金はここに置くわね。」


「毎度!背伸びしないように気をつけなよー。」


店を出て町の入り口に向かう。一応忠告しておくか。

「ところで、今回みたいな契約で報酬の前払いはやめた方がいいと思うぞ。

 おかげでこっちはやる気が出たが…尻に顔を埋められた挙句、

 指導してももらえないなんてこともあるだろう。俺がいい人でよかったな。」


「そんなことを要求してくるのはポノくらいのものよ。

 …でも確かに地竜を倒せるならと思って軽率だったわ。気をつけなきゃ。」


昨日門番が言っていた通り、町からはすんなり出られた。

そしてそう遠くない距離にいるシマロバが無心で草を食んでいた。


「まずはあれから行ってみるか。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ