1.チキューへ突入
それじゃ早速降下するか。
依代の耐久テストも兼ねて空気との摩擦熱はそのまま受けることにしよう。
落下している間にこの星での自分ルールを考える。
まずは人同士の争いには介入しない。
自分を味方につけたら国を相手取っても勝てるだろうし。
次に人間離れした五感は持たない。
動体視力は除くとして視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚は人間並み…と。
しかし地上に着くまで痛覚は鈍くしておかないと熱い思いをすることになるか。
あとは…その場その場で考えることにしよう。
思ったより時間が余ったので地表を見つめながら横回転してみる。
気分は某神ゲームのアクション導入部分!
脳内でBGMを再生しながらしばらく横回転を楽しんだ。
充分楽しんだので回転をやめて周囲を見渡すと、
遠くにやけに高い山脈や異様にでかい木やそこから流れる川が見える。
「あんなに高そうな山脈がアフリカ南部にあったっけ?
キリマンジャロはもっと北の方だろうし、アカネによるものかな。」
そのままの速度で着地すると大きなクレーターができるので少しずつ減速する。
町からは距離があって大きな獲物がいるところに着地することにしよう。
何か狩ってから町に行かないと通行料とかがあるかもしれないしな。
あそこに見えるのは…恐竜!?最初の獲物はあれだな。
サイズからして普通の人間に狩るのは難しいだろうから売れば高値になりそうだ。
「着地!っと。」
草を踏む感触で全裸だったことを思い出した。
性器もない体で罪になるかはわからないが…
「何か着ないとまずいか。」
とりあえずTシャツとハーフパンツとビーチサンダルでいいや。
アフリカは草原のイメージが強かったが森林も結構な割合を占めてるんだな。
…当たり前か。人もいないようだしトリケラトプスに見える生き物を観察する。
こちらとそんなに離れてないのに一心不乱に草や葉を食べている。
そして何故か食われたそばから草や葉が再生している…?
草食動物には天国のような環境だな。
こちらを敵と認識していないようなので近づいてみる。まだ食ってる。
触れられる距離まで近づいてみる。まだ食ってる。
ペタペタと脚を触ってみる。まだ食(ry
ペシペシと少し強めに叩いた瞬間、食うのを止めてこちらに襲い掛かってきた。
頭部の角でこちらを一突き。迫力が凄い。
臆することなく体で受け止めてから角を2本掴んで首をコキャッとしてやった。
どデカいトリケラトプスの体がスッと消え、地面には豆と角と皮とマント?が、
目の前にはページが増えた図鑑が出てきている。
角と皮はトリケラトプスの物だろう。この豆はひよこ豆?
図鑑に目をやると
三角地竜:A~
カリファ大陸南部に生息する大型の草食地竜。
頭部の角や魔法を駆使した攻撃がやっかいな難敵。
ドロップ
・ガンバルゾー
・三角地竜の角
・大型地竜の皮
・三角地竜のフリル
「おお、確かにゲームっぽいかも。とりあえずドロップ品の回収だな。」
それぞれ手に取ると消え、再びページの増えた図鑑が出ていた。
ガンバルゾー:A
ひよこに似た形をした豆。食べると怪我が治り、頑張ることができる。
はっきり言って仙○
…突っ込みどころが多いがアカネのセンスなんだろう。諦めるしかない…
三角地竜の角:A
文字通り三角地竜の角。希少な素材だが加工も難しい。
大型地竜の皮:A
文字通り大型地竜の皮。希少な素材だが加工も難しい。
早くもコピペ感が…何か不安になってきた。
三角地竜のフリル:A
角の後方にあるフリルで作られたマント。
並の刃物では傷もつけられないほど防御力が高いが、その反面重いし蒸れる。
そうそう、こういうのでいいんだよ!こんな感じのばっかりだったらいいんだが。
ドロップの回収が済んだので周囲を確認する。かなり離れた所に何かいるな。
くそう、視力はマサイ族くらいにしておくべきだった。小走りでそちらに向かう。
ビーチサンダルは走るときに自動で鼻緒が締まって脱げにくくなる。便利だ。
遠くに見えていた姿が段々鮮明になってきた。あれは…またトリケラトプスだな。
走ってきた勢いをそのままに再び2本の角を掴んでコキャッとしてやった。
今度は角と皮が出た。回収回収。
周囲確認→獲物に向かってダッシュ→コキャッ→ドロップ回収を繰り返した。
【近所のトロール】のどんぐりを次々に見つけて拾うシーンみたいになってきた…
しかしドロップ品以外にも収穫があった。
どうやらこの辺りは三角地竜の縄張りらしく、他の動物は見当たらなかった。
そして三角地竜は1頭しかいないが倒されるとすぐに出現するようだ。
倒してすぐ目の前に湧いた時はびっくりした。
そろそろ飽きてきたし、次で最後にしようかな。
しかし近くに三角地竜の姿はない。
走りながら探していると素振りをしている女剣士がいた。
こんな所でやらなくても…と思ったが三角地竜に手を出さない限りは安全か。
そして見つけたぞ!
「ラスト!」
ドロップ品が出たと同時に、遠くで悲鳴が聞こえた。
2020/03/17
文章の細部を修正&追加しました
話の流れは大きく変わっていません。