表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/167

0.プロローグ

初投稿です。生暖かい目で見守っていただけると助かります。

その者は傲慢であった

その者は強欲であった

その者は憤怒に燃えていた

その者は暴食を常としていた

その者は色欲に溺れていた

その者は嫉妬に塗れていた

その者は怠惰であった


強い感情・欲望を抱きながらも生産的な行動は何一つ起こさない…

そんな鬱屈とした日々を過ごしていたその者は生きている事に飽きたようだった


新たに何かを買いに行くのも面倒な様子で自らの首を包丁で斬った

首から迸った鮮血が部屋中を赤く染めていく…

少しずつ意識が遠のいているであろうその者の顔は不思議と安らぎに満ちていた



…気が付くと意識だけがそこにあった。

すぐ傍にはまだ血を吹き出している自分の肉体が横たわっている。


見える?頭部の感覚がないのに周りを認識できている。

鏡には空中に浮かぶ光の玉が見える。手も足もないのに移動も問題なくできた。

どうやらこれが今の自分の姿らしい。生前の後ろ暗い感情は消え失せていた。

代わりに力が漲っているように思える。今なら何でもできそうな気がする!


自分の遺体と部屋の惨状を誰かに見られたら騒ぎになることは明白だ。

処理しておいた方がよさそうだな…根拠はないが自信はある。

元自分の肉体及び血液を空中で収束し、周りの空間から隔絶した上で焼却!

念じただけでそれは現実になった。…今の状態の私はどこまでできるんだろうか。


とりあえず陸が見えない海上に移動してみた。移動は一瞬で済み、

建物や山等にはぶつかることなく素通りできた。今の体?は物質ではないらしい。

ここならやりすぎなければ他人に影響は出ないだろう。


温度、風、水、空間、時間…等々、思いつく限りの事を実現させることができた。

さすがに万能すぎじゃないか?



一通り試し終えたところでどこからか声が聞こえた。

『聞こえますか?お話がありますのでこちらまでご足労願います。』



不思議と声の主の居場所がわかる。大気圏外どころか太陽系の外…?

今の状態で酸素が必要だとも思えないので移動すると、

そこには自分と似たような光の球が浮かんでいる。


『はじめまして、私はこの辺りの宙域の管理を任されている物です。

 地球で言う神のようなものですね。』


その自称神の話を聞いたり質問攻めにして現状の確認をした。要約すると…

地球は神の養殖場のようなもので、条件を満たした私は神になった。

役割などは特にないので好きに過ごせばいいらしい。

日本についての愚痴も聞かされたがご愁傷様としか言えなかった。


他の神が創った世界で暇つぶしができないか聞いてみると、

ゲームのような世界を創ったという日本出身の神を紹介してもらえた。


しかし移動はどうするか…そこまで認識範囲を広げることはできそうだが、

これから行く世界の全てをわかってしまっては面白くないだろう。

…などと考えているとそこまで転移させてくれるという。


この世界には飽き飽きしていたし、新たな世界で生?を謳歌するとしよう。


『それではお元気で』


光に包まれて…などということもなく転移は一瞬で済んだようだ。

前方には性器だけが謎の光で隠れている全裸の女性の姿がある。痴女か?


『アタイはアカネ、よろしくね!』


『神はわざわざ何かの姿を形どる必要はないと聞いていたのですが…』


『ならなくてもいいけどなってもいいでしょ?アタイの自由だし!』


『それもそうですね、よろしくお願いします。』


『そういえばあなたの名前は?向こうからは何も聞いてないんだけど。』


『名前…そうですね、ポノとでも名乗りましょうか。』


『変な名前ねー。でもわかった!改めてよろしく!』


『ええ、こちらこそ。』


『あとその堅苦しい喋り方どうにかならない?嫌いなのよねー。』


『神と話すならと思ってたけどタメ語でいいならその方が楽だ。

 この星は見た目からすると地球に見えるが…』


『そだよー。名づけてカタカナでチキュー!』


『おお…まんまだな。ん?この星を一から創ったってことは相当な年なんじゃ…』


『女の子に年の話題はゲンキンだよ!星は丸ごとコピーしてきて少し触っただけ。

 人々の歴史とか記憶とかは世界五分前仮説を地で行ってみたの。』


『そりゃ失礼。つまりアカネの設定によるもの…と。

 原理はわかったが全部考えるのは大変だったんじゃないか?』


『それが意外と何とかなるもんなんだよー。伊達に神じゃないってカンジ?

 で、ここで遊んでもらうのは構わないんだけどその姿じゃさすがにねえ?』


『依代を作るか。外見は…どうするかな。』


『外見に執着がないならアタイ好みにしてもいい!?

 ボーズでヒゲで程々にガッチリしたおっさん!んで常にギンギンなの!』


『最後のは却下だけどそれでいくか。…こんな感じでどうだ?』


『んもー!何でよ!常にテント張ってたら面白いのに!

 …見た目はまぁいいわね。合格よ!』


『構造は人体と同じじゃなくて構わないよな?』


『パッと見でわからなければオッケー!

 でもせっかく作った世界の理を壊すようなことはやめてよね!』


『そんなことはしないさ。遊ばせてもらう身だし。』


『そう、ならいいわ!この世界には神話に出てくるような存在もいるから

 知ってるなら行ってみるといいよ。後はそうね…これあげる!図鑑!』


『図鑑?表紙だけで中身がないように見えるが…』


『倒した敵や手に入れたアイテムがページとして増えていくの。

 図鑑自体の出し入れも自由だし収納にもなるからきっと便利だよ!』


『ありがたくもらっておくよ。』


『あ、依代の見た目が人だし、最初は地球でいう

 アフリカの南部辺りがオススメだよ!他のところでもいいけど。』


『日本じゃないのか?まぁ最初だしそうしてみるよ。色々ありがとう。』


『一通り楽しんだら感想聞かせてねー!いってらっしゃーい!』



…こうして、死後にチキューで暇潰しの冒険が始まった。

2020/03/17

文章の細部を修正&追加しました

話の流れは大きく変わっていません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ