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明日は雨だといいな

 ♩♩♩ヴーン♩♩♩ヴーン♩♩♩


 携帯アラームとバイブの振動で目を覚ます。


(そうか・・・、昨日真実の瞳を携帯に落としてそのまま寝落ちしちゃったんだ)


 昨夜はダウンロードと再起動を繰り返す携帯を気にしながらベッドの上でゴロゴロしたり雑誌を見たりしていてそのまま寝てしまったのだ。


「取り敢えず確認・・・と」


 携帯をタップしてパスワードを入れ、画面を確認する。見慣れないアイコンの下には真実の瞳と言う名が記されていた。

 早速タップしてアプリを起動してみる。


(警告 お使いの端末の空き容量がわずかとなっている為、ダウンロードデータが消去される可能性があります。 また、一部の機能が使用できない可能性があります。 アプリやファイルを削除して空き容量を確保してください)


「どんだけ重たいのよ」


 呟きながらOK.ボタンをタップする。


 ♩♩♩♩♩♩♩


 安っぽい電子音楽流れアプリが立ち上がる。


☆写真を撮る ☆過去を見る ☆相性を見る ☆能力値を見る(現在のヴァージョンでは使用できません) ☆よくあるご質問Q&A


(・・・何だこれ)


 続きを見る気にもならず取り敢えずアプリを閉じ、学校へ行く準備を始める。今日は金曜日なので夕方はバイトの予定だ。






 学校に着くと凛が近寄ってきた。


「昨日どうしたの?NAINEも既読つかないし心配してたんだよ」


「ごめん。昨日ちょっと携帯の調子悪くてさ。そのまま寝ちゃったんだよね」


「まぁ何ともないならいいけど。ところで明日何着てく?」


(ん?明日??)


 優希がキョトンとした顔をしていると凛も怪訝な顔をする。


「昨日松元達と盛り上がって明日は遊園地に行こうって話になったじゃん。忘れたの?」


(んんん???昨日は真実の瞳の事やアルカスハイムのことを考えてたからな・・・。全然覚えてない・・・)


「あー、うん。覚えてる覚えてる。えーっと何時にどこ集合だっけ??」


「もうしっかりしてよ。8時に駅前に集合だからね。色々打ち合わせとかしたいからさぁ、今夜はちゃんと起きててよ」


「わかった。でもわたし今日バイトだから10時くらいまでかかっちゃうけどいい?」


「オッケー。じゃぁまた夜にね」


 そう言うと凛は松元達の元へ行き会話に加わる。一瞬松元と目が合い微笑みかけられるが、どうしたら良いか分からず目を逸らしてしまう。





 何事もなく学校が終わり、バイト先の喫茶店に向かう。

 ここは親戚の叔父さんがやっている喫茶店だが、近所ではなかなか評判の店で常時2.3人のバイトと叔父さんと叔母さんで切り盛りしている。

 バイトの時間は5時から9時までだ。賄い付で時給は1000円。週に2.3回のシフトなのでそこそこ小遣い稼ぎができている。


 この日はいつにも増して忙しかったが8時半を過ぎるとようやく落ち着いてきた。


「今日は忙しかったね」


 声をかけてくれたのは2つ歳上の橋本さんだ。


「そうですね。今日は疲れました」


背伸びをしながら答えると厨房から声がかかる。


「2人とも遅くなってごめんな。今賄い作るから、食べたら上がっていいよ」


 叔父さんの言葉に甘えることにして2人で夕食をとる。


「橋本さん。最近彼女とどうなんですか?」


「まぁ、ぼちぼち仲良くやってるかな。どうしたの急に」


 橋本さんはバイト仲間の中では比較的喋りやすく仲は良い方だ。1年ほど付き合っている彼女がいるが、告白を悩んでいる時には色々とアドバイスもしたものだ。


 流石にアルカスハイムや『真実の瞳』の話をする訳にもいかず、明日クラスメイトと7人で遊園地へ行くことや親友がその中の1人を好きな事、何とかいい雰囲気を作る為に協力しなければいけないらしい事などを話した。


 橋本さんは軽いアドバイスを交えながらしっかりと話を聞いてくれたので、少し自分の中でも考えがまとまった様な気がする。


 賄いも食べ終わり、話を聞いてくれたことにお礼を言い、バイトを上がらせてもらった。





 家に帰ってからお風呂に入り、自分の部屋で寛いでいると凛からNAINEが入る。


(バイトお疲れさーん)


(ありがと!)

         (明日の話だよね?)


 そこからは明日着て行く服の話やいかに松元と2人きりになる時間を作るか、どのアトラクションへ行くかなど日付が変わるまで語り合った。


 凛との会話中何度か『真実の瞳』のアプリを起動してみようと試みたが、凛への返事をしていた為、なかなかじっくりと確かめることが出来ず、この日も確認ができないまま眠りにつくのであった。

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