39.大脱走と再会
「ハムちゃん起きて~」
大福ねずみは、寝ているところをつつき起こされました。しかも、確実にハムスターと間違われていました。
「一緒にコンビニ行こうね!」
ギャルの軽い一言に耳を疑い、「そんな理由かよ!」と突っ込みましたが、勿論届きませんでした。買出しジャンケンで負けたギャルの巻き添えのようです。治安の良いジャパンの夜を恨みつつ、ギャルの肩に乗せられて連れ出されてしまいました。
五分ほど歩いた先のコンビニに入り、酒や食べ物など、色々と物色しています。おにぎりの棚の前で立ち止まっていた時、店員男性が話しかけて来ました。
「あのさ、衛生上、動物と入店されると困るんですけど。むき出しだし」
「いいじゃん別にー、すぐだし。この子懐いてるから、大人しいし!」
店員のまっとうな注意に、ギャルは逆切れ状態でぶっきらぼうに言い返しました。大福ねずみは、ギャルのその言葉にムッとしました。
「懐いてる? お前がオイラのことを、知ったふうに言うんじゃねぇ! 懐いてねーよ、体目当てだよ!」
大福ねずみは叫びながら大ジャンプをかまして、鮭おにぎりにドロップキックで着地しました。そのまま棚の上で大暴れして、店員と女の子の足元に、おにぎりを落としまくります。鮭も梅もシーチキンも、遠慮無しに投下しました。
「ゲッ……」
「この野郎! あっ、てめっ!」
店員が怒るのと同時に、ギャルが扉を開け放って、コンビニから逃亡しました。店員はギャルを追おうとしましたが、思い直したようで棚に目を戻します。大福ねずみと目が合いました。
「き、記憶にございません~」
とりあえず言い逃れしましたが、捕まえようとする店員の手が延びてきます。大福ねずみはその手に飛びつき、店員の体を伝って下に降りることに成功しました。
「アディオ~ス!」
開けっ放しの扉から、ギャル同様に逃亡しました。後ろで店員が叫んでいたので、怖くなって、出鱈目に走りまくりました。
我に返って立ち止まると、完全に道をロストしていて、先程のコンビニもギャルの家もどこにあるのかさっぱり分かりません。
「オイラが何をしたって言うんだよ~。こんなの酷いよ~」
泣き言をほざきましたが、よくよく考えるほど、罰が当たる心当たりが多すぎたので考えるのを止めました。
とりあえずとぼとぼ歩いていると、何やら前に見たことがあるような小さな塊が、道路に点々と落ちています。
「こ、この肉片は……何だったっけ?」
元をたどって行くと、腐りかけの美人妖怪が倒れていました。その姿を見て、完全に思い出しました。何ヶ月か前に、人々に忘れ去られて消えかけていた所を助けたり、おいしく小指を頂いたりしちゃった、色っぽい巨乳な可愛こちゃんの妖怪です。
「今日は巨乳日和だな~。じゃなくて、またカウントダウン状態だよ、この妖怪!」
大福ねずみは叫びました。その瞬間、またしても大福ねずみが思い出し、認識したおかげで、女妖怪はシューッと蘇生したのでした。




