OLを拾いました
世の中、理不尽な事が多い。
大学生になれば、世界が変わると思っていたのは僕だけではない筈。実際、友人の誠は今現在、バラ色の人生を送っている。比較的、顔面偏差値が高い誠は大学に入った途端に彼女が出来た。僕の携帯には誠からの惚気画像が一時間に一回送られてくるという、ウザイ事この上ない現象が多発している。
「……彼女と初詣いってきましたっ、新年! ハッピーニューイヤー……」
誠は New Year の意味を知っているんだろうか。何故新年と書いた。意味重なってるんだよ。
というか彼女可愛いなっ! 羨ましい。リア充爆発せよ。
「はぁ……帰ろ……」
バイト先から比較的人通りの多い道を選んで帰路につく。今現在、時刻は夜の九時過ぎ。僕のバイト先は少し変わった喫茶店。いわゆるコスプレ喫茶という奴だ。店員は皆、執事の恰好をして女性客に様々なサービスを展開している。
時給がわりかし高かったのでバイト先に選んだのだが、正直僕には合わない気がする。さっさと次のバイト先探そうか。でもオーナーはいい人だし、バイト仲間も気さくで馴染みやすい人ばかりだ。正直悪い所は無いのだが、ただ僕はとにかく女性に免疫がない。女性客を執事として接待するなど、高難度すぎる。
駅前から少し離れ、周りが田んぼだけになってくる。街灯など皆無だが、今日は月明かりが妙にはっきりと道を照らしてくれていた。この道をまっすぐに行き、若干の住宅地に僕のアパートはある。
さっさと帰ってビールでも飲もう。僕は童顔で良く中学生に間違えられるが、歴とした二十歳である。コンビニで酒を買おうものなら、毎回免許書を提示しなければならない。いっその事、髭でも生やそうか……とも考えてみるが、髭など一向に生えてこない。ホントに男か、僕は。
「はぁ……そうだ、レポートも片付けないと……うへぇ、今日何気に徹夜……」
と、その時。数メートル先の田んぼから、道にニョキっと……何か白い物がはみ出している事に気が付いた。最初はビニール袋か何かだと思ったが、近づいていくにつれて全く別の物に見えてくる。
「……なんだ、あれ……なんか人の手に見えるような……イヤイヤ……」
月明かりで照らされる白い何か。きっとゴミか何かだろう、と思いつつ携帯のLEDを着ける。そのまま更に近づいてみると……なんだろう、人の手にしか見えない。
「マネキン……? いや、それにしては生々しい……」
まさか……と思いつつ、ゆっくり手が飛び出ている田んぼへとLEDを向ける。すると泥の中に、人間の顔のようなものが……って
「ぎゃぁぁぁ! し、したい! 死体! ひゃ、110番!!」
いそぎ警察へ通報すべく電話をかけようとするが、更なる恐怖が僕を襲う。
「……まって……電話……かけないで……」
「え? えっ?! しゃべ……ぎゃぁぁぁ! ゾンビ! 死体が生き返った!」
「死体……死体じゃなぃぃ……」
やばい、やばいやばいやばい! これアカン奴だ! 正月からこんな怪奇現象に居合わせてしまうなんて……! 逃げなければ……!
「まってぇ……助けてぇ……」
ガシっと足を掴まれた! ひぃ! たんぼに引き込まれる! 僕までゾンビにされてしまう!
「私……人間だからぁ……」
「ひぃぃぃ! ゾンビはみんなそう言うんですっ! 成仏して下さい!」
「ゾンビは喋らないと思うよぉ……」
そんな事は無い! 喋るゾンビが居ても不思議ではない! 実際、某大作RPGのゾンビは喋ってたし!
「いいから……手、ひっぱってぇ……」
「ひぃぃぃ! そんな事言って……僕を引き込む気マンマンなんでしょう?! ゾンビさん!」
「ゾンビさんじゃないよぉ……私……妙って言うのぉ……」
「耐えってるの?! 何に耐えてるんですか?!」
って、このゾンビ、力強ぇぇぇ! このままでは引き込まれてしまう! こうなったら……
「成仏してください! ゾンビさん!」
腕を交差させ、十字架を作り対抗する僕!
さあ、聖なる力よ! 浄化せよ! ホーリーライト!
「よっこいせ……」
って、ぎゃあぁぁあ! 田んぼから出てきた!
ホーリーライトが効かない! しまった、ウチの実家は仏教徒だ! しかも死んだ爺ちゃんの仏壇にお供えしてあった饅頭をつまみ食いした事もある! そんな僕に聖なる力などある筈が無い!
「っく、万事休す……爺ちゃんごめんよ……」
「何ブツブツ言ってるの……?」
ゆらり……と立ち上がるゾンビ……!
ひぃ! 齧られてしまう! 齧られて仲間にされてしまう!
「ぼ、僕美味しくないですから! 煙草も吸ってるし酒も飲むし、脂肪なんてそんなに無いし筋肉も無いし……えっと、あと……アボガド嫌いだし!」
「好き嫌いはダメだぞ、少年……」
ご、ごめんなさい! 今度から回転ずしで、エビマヨアボガドをスルーしたりしません! サラダに細切れにされてても、ちゃんと箸をつけます! だから許して……!
「あー、酷い目にあった……」
ゾンビは服に着いた泥を落としながら、腰を抜かす僕を見下ろしてくる!
やばい……やばい! こうなったら……先手必勝だ!
「ま、まみむめもー!」
意味不明な奇声を発しながら立ち上がり、ゾンビを再び田んぼへと突き落とす僕!
よし、今の内に逃げ……
「な、なななにすんだゴルァ! 待てゴルァ!」
ひぃぃいぃ! 追いかけてくる! 助けてゾンビハンター!
※
さて、冷静になろう。
今現在、僕の隣にはゾンビ……では無く、スーツを着たお姉さん。
今は共に夜道を歩きながら、僕はお姉さんにお叱りを受けていた。
「まったく、君はまったく」
「ごめんなさい……泥だらけの新種のゾンビかと……」
田んぼに落ちていたのはゾンビでは無く、ヒューマンだった。
泥だらけのスーツにポニーテールのお姉さん。見た感じOLだろうか。
「あの……ゾンビ姉さん」
「誰がゾンビ姉さんよ。齧ってゾンビの仲間にするぞ」
ほらぁ! やっぱりゾンビじゃん! ワシ怖い!
「落ち着きなさい、少年。私は比較的大人しい柴犬みたいな普通の女性よ」
柴犬みたいな普通の女性。なんだか柴犬がスーツを着ているのを想像してしまう。
なんか萌え……。
「えっと……萌え姉さん」
「私は妙姉さんよ」
たえ……姉さん? 萌えの進化系か何かだろうか。僕の知らない間に流行していたと言うのか? なんてこった。これでも大学で話題に乗り遅れないようにある程度の情報を収集しているというのに。
「えっと……たえ姉さん。なんで着いてくるんですか?」
僕の隣で歩くたえ姉さん……僕が道を曲がればたえ姉さんも曲がり、フェンスを乗り越えるとたえ姉さんも乗り越えてくる。試しに電柱に登ってみようか。
【注意:電柱に登るには、電気主任技術者(国家資格)が要ります。なんの変哲もない一般が登ると、電気事業法違反となり罰せられます。良い子も悪い子も登らないでね!】
「フフゥ、少年よ。何故私がここまで泥だらけか……分かるかい?」
ゾンビの仮装しようとしてた……から?
「違うわ! ヒールが折れて田んぼに突っ込んで……その後君にまた突き落とされたからなのだよ」
えぇ、半分自己責任じゃない。ヒール折れたのなんて知らんし……。
それに僕が突き飛ばしたのも、たえ姉さんがゾンビのフリして脅かしてくるから……
「誰がそんな愉快な事したよ。まあヒールが折れたのは私の普段の行いが悪いせいよ。でも君に突き飛ばされる程、悪い事してないもの」
「多少……悪い行いの心当たりはあるんですね……つまり僕にスーツ代の半分を弁償しろと?」
「お金なんて請求しないわ。ただちょっと、このままじゃあ電車にもタクシーにも乗れないし……君の家でシャワー貸してほしいのよ。大丈夫よ、お父さんとお母さんには私から上手く……」
「いや、僕一人暮らしなんで……両親とは別に暮らしてますけど……」
「……? 君……中学生のくせに一人暮らししてるの?」
フフゥ、やはりそうきたか。しかし残念。僕はこう見えて……二十歳だ!
「えっ?! 私より一個下なだけ? マジか……」
「えっ?! たえ姉さん……僕より一個上なだけ? てっきりもっと上かと……」
再び、たえ姉さんに追いかけられる僕。
あぁ、神様……ゾンビに追いかけられるような悪い事……僕しましたか?
※
結局僕のアパートまで付いてきた、たえ姉さん。
仕方ない、シャワーくらいかしてやろう。あと着替えも……いや、でも……たえ姉さん僕より背高いし、女性だし……サイズ合わないよな……
「たえ姉さん、着替えどうするの? 僕の服じゃあ着れないと思うけども」
「ぁ、そういえばそうね。どっかから調達してきて」
「むふぅ、だが断る」
「ああん?」
だ、だって! 調達しろって言われてもどうやって!
今の時間、服屋なんて開いてないし、そもそも女物の服を買うなんて……僕の人生で一度たりとも無かったし!
「なんとかしなさい、さもないと裸でウロウロするぞ」
「分かりましたよ……あと裸でウロウロしても僕の目の保養になるだけですから」
「キサマ! そこは顔を真っ赤にしてアタフタする所だろうに!」
僕にそんな可愛い反応求めないでください。
そんなこんなで、同じアパートの住民に服を貸してもらう事にした僕。
幸いにも、同じような体格をしたお姉さんが居るのだ。しかも美人な。
「うぅ、なんか緊張する……服貸して下さいって言って貸してくれるのかな……」
なんだか変態としか思われ無さそうだが、背に腹は代えられない。僕はまだゾンビにはなりたくない。
インターホンを押し、部屋の主を呼び出す僕。すると……
「はーい、誰かなー」
バーンッといきなりドアを開け放ってきた!
ちょっ! 普通覗き穴確認したり、どなたですかー? とか言うだろ!
なんでいきなりドア開けて「誰かなー」なんだ! 大丈夫かこの人!
「……ん?」
「……ん?」
僕は混乱する。何この人……なんか秋田県男鹿半島の伝統行事……なまはげ……その仮面をつけ、どこぞの民族衣装を身にまとっている。何の儀式されてたんですか?
「えっと……すみません、なまはげですか?」
「おおぅ、誰かと思えば斜め下の部屋の宗次君じゃないか。なんかよう?」
僕の質問を見事にスルーし、何用かと尋ねてくるなまはげ。
いや、まあ……深くは関わらないでおこう。
「実はカクカクシカジカ……というわけで服を貸してくれないでしょうか……」
「成程。よくわかった。大変だったねぇ。おっぱいのサイズは分かる?」
分かるわけない! っていうか何ですか! いきなりセクハラしないで!
「フフゥ、宗次君は初心だねぇ。まあ寒いから中に入りなよ。適当に繕ってあげるから」
失礼します……と僕は部屋の中に。
そしてリビングへと入った瞬間、僕は後悔した。
「あの……なんの儀式ですか、これ……」
リビングのフローリングには怪しげな魔法陣が描かれ、その中央には「いけにえ」の札をかけられた犬のヌイグルミが。そして天井からは無数のテルテル坊主が吊るされ、その全てに絵心皆無で不気味な顔がマジックで描かれている。
「実は……ワンコ心を抽出していたんだ」
さっぱり分からないが分かった。この人には今後関わらない方がいいという事が。
「じゃあ着替え借りてもよろしいでしょうか……」
「よろしいよ。ちょっと待っててね。その前に……ちょっと私の超能力の実践に付き合ってもらっていい?」
「え、嫌です。正直さっさとこの部屋から脱出したいので……」
「ぁ、ハイ……」
すこしションボリするなまはげ。ちょっと悪い事しただろうか。いや、でも確か……この部屋の隣の高校生と仲良かった筈だ。超能力の実践云々は彼に任せよう。
「んー……パンツはどの柄がいい? レース? フリル?」
「ピンクのレースがいいです」
※
着替えを調達し、我が部屋へと戻る僕。
するとバスタオルに身を包んだお姉さんが……
「なんて恰好を……僕だって二十歳の男なんです! 危機感とかないんですか!」
「君こそ危機感ないのかな? さあ、ベッドにいこう」
ぎゃー! 襲われる! 早くこれ着て!
「ありがとう、少年。むむ、ご丁寧にパジャマまで……今度お礼しないと……」
その前に僕にもお礼してください。
その服を借りる為に魔窟に足を踏み込んだんですから。
「じゃあ先にお礼するよ。ベッドにいこう」
ぎゃー! やっぱり襲われる! ぼ、僕煙草吸ってきますから! 早く着替えてください!
そのままベランダへと出て、煙草に火を付ける僕。
はぁ……なんて一日だ。ゾンビとなまはげに出会ってしまうなんて……。
ベランダで煙草を吸いながら、夜風に当たる。多少寒いが、その方が煙草は美味しい気がする。なんとなく。
ふと空を見上げると、オリオン座が割とハッキリ見えた。雲が少ない。昼は結構曇りがちだったのに……今日は良い夜だな。
その時、僕の携帯が震える。また友人の誠からの惚気メールだ。何々……
『猫カフェでオヤツあげてます! ねこたん可愛いー!』
女子か。
「まったく……いちいち送ってくるな……っと」
その数秒後、再びメール。
『だって、宗次は俺の愛人だから……』
「じゃあ……ベッドで待ってる……っと」
『ごめんなさい』
フフン、まだまだだな、誠。自分で言いだした冗談を貫けないとは。
その時、窓ガラスをコンコンとノックし、たえ姉さんが着替え終わった事を知らせてくる。
そのまま煙草の火を消し、再び部屋の中に……って
「たえ姉さん……パジャマ?」
「うむ。今日は泊めてもらおうと思って」
マジか……マジか!
僕の部屋に女性がお泊り?! やばい……男として理性が吹っ飛びそう……
「あの、たえ姉さん。僕も一応二十歳の男なんですけども……」
「ん? 別に構わないぞよ。さあ、ベッドにいこうか」
「そ、そのネタはもういいです! っていうか何ですか、そのパンダ柄のパジャマ! 凄く可愛い! あのなまはげのパジャマとは思えない!」
「なまはげ?」
はっ、しまった。いくらなまはげでもプライバシーはある。
そんな簡単に他人の情報を与えてはならない!
「なまはげって何よ。言わないとキスするぞ」
「その服借りた人がなまはげの恰好して怪しい儀式やってました」
※
その後、僕とたえ姉さんは何故か酒盛りを始める。
あぁ、大学のレポートやらんとアカンのに……。
しかもこんな時も誠からの写真つきメールが。あちらも居酒屋デートらしい。彼女と仲良くお酒を飲んでいる画像が送られてきた。
「うっ……」
いかん、なんか涙が出てきた。
あっちは可愛い彼女。でもこっちはちょっとおかしなお姉さん。
なんだ、この落差は……
「少年、何泣いてるんだ」
「友達が可愛い彼女とデートしてる様子を一時間に一回のペースで見せつけられてるんです」
「うわ、うざっ」
たえ姉さんも同じ意見のようだ。
そのままビールを一気飲みするたえ姉さん。うわ、一気に顔赤くなったな。酔いやすいのか。
「じゃあ少年も彼女作って仕返しすればいい。大学生だっけ? さっさとその辺でナンパしてきなさいよ」
「ムチャ言わないでください……彼女なんて……僕居た事ないですし……」
「ふむ」
冷蔵庫から新しいビールを取り、たえ姉さんへと手渡す。
小気味いい開封音を響かせながら、今度はちびちびと飲みだした。
「つまり……少年は女性に対して苦手意識があるのか。でも結構普通に私とは喋ってるじゃん」
「だって、たえ姉さんは変だし……ぁ、いや、少し変だし……」
「少しとか言い直しても意味無いわ。失礼な奴め」
ごめんなさい。
「素直な子は好きよ。んで、私が思うに……少年は世の中の情報に惑わされ過ぎだな。どうせ女心を掴むコツ! とかいうネットニュース信じてるんだろ」
まあ、多少は……。
「言っとくけど……そんな女、居るかもしれないけど居ないわ!」
「どっちですか」
「まあ聞け。私が本当の女という物を教えてやろう。デートのとある場面を思い浮かべるんだ。今少年は、彼女と一緒に何処にご飯食べに行くか決めようとしています。でも彼女は『どこでもいいよ~』とかぬかします。さあ、どうする?」
うーん、そこは彼女の好き嫌いを把握しておかないと……
「はい、ハズレー」
えっ?! いや、まだ答え言ってない!
「女の好き嫌いとか気にしてる時点で方向性間違ってる。覚えとけ、パンケーキだ」
「パ……パンケーキ?」
「そう。とりあえず女にはパンケーキを与えておけば問題はない。ほら、よくパンケーキパンケーキ連呼してるでしょ?」
いえ、連呼してる所なんて聞いたことないです。
「フフゥ、これだから年齢イコール彼女居ない歴は……。ニュース見てないの? 農林水産省の調査では、日本の女性の八割はパンケーキさえあれば満足という結果が出ている」
何故に農林水産省がそんな調査を?
「悲しいかな……若者のニュース離れがここまで進行していようとは……まあ、とりあえずパンケーキ誘えばいいよ。誘っとけよ、パンケーキ」
なんか超適当になってるぞ。
っていうか……その理屈で言うと、たえ姉さんもパンケーキ好きなの?
「いや、私は甘いのはあんまり……」
「あぁ……たえ姉さんは二割の方なんですね……。洗剤のCMとかで少しだけ残ってる雑菌的存在なんですね」
「しばくぞ。まあ、要するに女に対して偏見持ちすぎだっつーの。同じ人間なんだから……」
うん、今のが一番説得力ある。
でも男としては……やっぱり緊張してしまいます。
「ふむ。じゃあ私で練習していいよ。さあ、告るんだ!」
「告るって……愛の告白ですか?」
「うんむ」
そうは言われても……練習と分かっていても緊張するな。
ええい、ここは酔った勢いで……! そのままグビグビとビールを一気飲み!
よし、言うぞ……言うぞ!
「たえ姉さん……」
「なんじゃ?」
「一緒のお墓に入って下さい……」
「うん、段階をちゃんと踏もうね。いきなり過ぎてドキドキしたわ。別の意味で」
だって、たえ姉さん……ゾンビでしょ?
「まだそのネタ引っ張るか。仕方ないから……私がリードしてやろう」
おねがいします……
「……この部屋に居座っていい?」
「リアル過ぎて怖いです。勘弁してください」
お酒とたばこは二十歳から!