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7食目 清し雨の夜


 バタン。と大きな音をさせ、玄関へ飛び込んだ俺は扉を閉める。

 会社からの帰宅途中、突然の雨に襲われたせいで全身濡れ鼠。

 身体は芯まで冷えてしまい、寒さに強張る身体を震わせながら靴を脱ぐと、俺は深く深く息を吐いた。


 それにしても、今日は特に忙しかった。

 なにせ何人もの人間が有給や仮病を使い、今日という日を休もうと目論んだ結果、俺のように自重した人間へ負担が集中したために。

 ……だが休みたい気持ちは理解できる、特に既婚者や交際相手が居る人間なら。

 なにせ今日は12月24日。世に言うクリスマスイブなのだから。



「よりにもよって、こんな日に雨か……」


「冬なんだからせめて雪でも降ればいいのに。これが暖冬ってヤツね」



 脱いだコートを軽く絞りながら、雨という不運による不満を吐き出す。

 するとすぐ隣からは、俺以上の不満が滲んだ声が発せられるのだった。


 チラリと横を見てみれば、そこにはびしょ濡れのスーツから雨水を滴らせる妹の姿。

 普段は一緒に帰宅することなどない。ついさっき偶然近くのバス停で出くわし、雨の中を揃って家まで駆けたのだ。

 その妹に対し、俺は一瞬とある疑問が浮かぶ。

 しかし俺が疑問を口に出すより先に、まったく同じ内容を逆に問われてしまうのだった。



「ところで兄貴、なんでこんな時間に帰宅してるの? 私の記憶が確かなら今日はクリスマスイブ。もしかして一緒に過ごす相手が……」


「同じセリフを返させてもらう。お前こそどうして独りで帰宅してんだ」



 俺たち兄妹がいまだ玄関でゲンナリとしているのは、なにも寒い中を雨に降られたからだけではない。

 むしろそれだけであれば、悪態つきながらもサッサと風呂に入って身体を温めている。

 それすらせずに玄関で脱力しているのは、やはりコレが原因だろうか。


 いい歳をして彼女の一人も居ない兄。

 そして容姿は悪くないはずなのに、どこか残念な部分があるせいで彼氏を作ったことのない妹。

 兄妹揃ってクリスマスイブを過ごす相手が居らず、全身ずぶ濡れで帰宅というのは、切なくなるに十分な理由だ。



「ああそうですよ! 私はクリスマスを一緒に過ごす相手なんて居ませーん。これでいいですかー!?」


「俺だってそうだよ。唐突にキレんな」


「兄貴にキレないで誰にキレろってのよ。友達? 同僚? それとも上司!?」


「どれもキレたら後々面倒臭そうだな。っていうか迷惑だから誰にもキレんじゃねえ!」



 イブを過ごす相手が居ないことからの逃避か、それとも冷え切った体温を温めるためか。

 玄関でずぶ濡れとなったままな俺たちは、遠慮なく大声で怒鳴り合う。


 良い人が居ない俺ら兄妹とはうって変わり、両親は現在揃って留守にしている。

 この日を狙って予約した温泉宿に出発したのは昨日のこと。

 子供たちを放って夫婦だけで旅行かと言いたくなるも、こちらは兄妹共に成人を迎えているのに加え、仕事を休むこともできない。

 そこに文句を言うというのも少々情けなく、俺たち兄妹は引きつった笑顔で両親を見送ったのだった。


 そんな残された俺たちは、しばしの言い争いを経た後、ゼェゼェと荒く息を吐く。

 そうして数秒の沈黙を経て、深く肩を落とすのだった。



「……止めよ。不毛だし」


「ああ……、そいつには賛成だ」



 こんな日に、壮絶に下らない理由で口論をするのも馬鹿馬鹿しい。

 兄妹共にそう考えた結果、俺たちはすぐさま矛を収めることにした。

 ただ直後に妹は少しだけ寂しそうな表情を浮かべると、小さくかすれた声で呟く。



「結局私のクリスマスなんて、こんなもんよね」


「どういう意味だよ?」


「何でもない! ……私もう寝るから」


「おい、飯はどうするんだ?」


「要らない。こんな気分だとなに食べても空しくなりそうだし」



 なんだかよくわからない言葉を発すると、妹は濡れたコートを脱ぎつつ脱衣所へ向かおうとする。

 俺がその背を呼び止めるも、やつは食事をするような心境にはなれないようで、一瞥と素っ気ない返事をくれるなり速攻で行ってしまう。

 こんな気分だからこそ、飯くらいちゃんと食った方が良いように思うんだが……。


 妹によって廊下には水滴が残され、俺は玄関に置いてあった雑巾で自分と妹のそれを拭きながら脱衣所へ。

 濡れたスーツを脱ぎ下着姿になっていた妹から、責めるような鋭い視線を浴びるも無視し、スーツとコートを籠へ放り込む。

 家での洗濯はアレなので、明日にでもクリーニングに出しておくとしよう。


 流石にそれ以上脱いでは殴られそうなので、逃げるように自室へ移動。

 置いてある大き目のビニール袋へ濡れた衣服を放り込むと、タオルで軽く身体を拭き、部屋着に着替えてベッドへ倒れ込むのだった。



「気晴らしに書くか。いっそクリスマスへの怨嗟マシマシなやつを」



 寝転んだベッドの上、俺は思ってもないことを口走る。

 とはいえ気持ち的に鬱屈している時などは、意外なことに書くペースが上がったりする。

 なら今の状態を逆にチャンスと捉え、思い切って創作方面に逃避するのもありかもしれない。

 そんなことを考え、俺はPCの電源を入れた。


 しかし椅子に座ってPCが起動する音を聞いていると、ふとそれでいいのかとも思えてくる。

 なにも兄妹で傷を舐め合えとは思わない。けれどこんな日に部屋へこもって、飯も食わずにいるのはどうなのだろうと。



「……書くのは後でも出来るよな。先に無理やりにでも食わせておくか」



 創作に励むより前に、俺は兄貴として出来ることがあるはずだ。

 寒い中で腹まで減ると、途端に気分が沈んでくる。当人は要らないと言っていたが、胃が何も受け付けないって訳ではなかろう。

 そう考えたところで立ち上がった俺だが、ふとそこで昨年の同じ時期を思い出す。



「(考えてもみれば、あいつは去年もクリスマスをやれてないっけか……)」



 昨年の今頃、あいつはかなり切羽詰っていた。卒業が間近であるというのに、就職先が決まらずにいたせいだ。

 なので昨年のクリスマスは碌に祝う事も出来ず、ケーキだけを食べてお茶を濁したはず。

 それに加え数日前まで、学生時代の友人たちと今日という日を過ごす予定だったのだが、どういう事情か結局中止となってしまったらしい。

 なるほど、さっきあいつが言っていたのはこういう意味か。



 ……今年も似たような感じでは、流石に不憫かもしれない。

 そう考えながら部屋から出て、いそいそと台所へ向かった俺は冷蔵庫を開く。

 しかし両親は旅行で留守、妹は友人たちと食事。そんな話を聞いていたため、碌な食材が入っていなかった。


 自分が食べるための適当な食材しかなく、当然ケーキのような甘味も入っていないことに落胆する。

 だがここで諦め、普段通りの食事を作ってもあいつの機嫌は治らないはず。

 せめて今日くらいは手を掛け、聖夜らしさを演出してやったっていいじゃないか。



「クリスマスと言えば、やっぱ鶏肉だよな。たぶん」



 何かないかと冷蔵庫を探り、なんとか冷凍された鶏のもも肉を発掘する。

 メインとなる食材はこれで決まり。あくまでもイメージではあるが、やはりクリスマスには鶏肉がいいだろう。


 毎年12月に入るなり、やけに張り切ってCMを打つフライドチキン屋のBGMを聞くと、クリスマスが近いのだと実感させられる。

 本場ではフライドチキンをクリスマスに~などと言われるが、俺は案外ああいうのも嫌いじゃないし、密かに浮足立つ気分にならなくもない。

 とはいえ今日はフライドチキンではなく、ローストをする方向で。



「(流石にチキンとサラダだけってのも味気ないか。他に何か……)」



 鶏肉に下味を付け、葉野菜などをサラダにしていくも、段々と物足りなさを感じ始める。

 サラダの彩が良ければ、これらだけでも多少はクリスマス感が出るに違いない。

 けれど残っている食材で辛うじて作れそうなこれらに加え、見栄え的にもう少々派手さが欲しいところ。


 そこで俺は棚へ向かうと、ある食材を取り出した。

 おそらくコイツを使えば、もう一段階華やかになる。……はず。



「(あとは甘味か。……まだ残ってるといいんだが)」



 料理に関しては、とりあえず体裁が保たれる程度にはなると思う。

 けれどゲーキの類に関して俺は門外漢で、これまで作った経験が碌にない。


 そこで俺は救いの手を求めるべく、急いで部屋へ戻って着替えをする。

 風呂に入れていないため身体は冷えているが、できるだけ重ね着をしてコートを羽織る。

 まだ降りしきる雨の中、傘を差して外へ出ると、急ぎ近くに在るコンビニへ走るのだった



 コンビニへ飛び込むと、辛うじて残っていた小さなケーキや幾つかの食材を買い、走って家に戻る。

 帰って来るなり、急いで鶏肉の表面をフライパンで焼きオーブンへ。

 そこからサラダの仕上げと並行し、小さな鍋を使いある物を作ったところで、俺は妹の部屋へ行き扉をノックするのだった。



「飯にするぞ、出てこい」



 トントンと扉を叩き、中に居る妹を呼ぶ。

 だがもう眠ってしまったのだろうか、中からは反応が返ってこない。

 無理やり踏み込む前にもう一度ノックをすると、しばらくして今度は返事が返された。



「要らないって。さっきも言ったじゃんか」



 しかしいまだに癇癪を起しているのか、妹の声はやはり不機嫌そうだ。

 さっき脱衣所で着替えているところに乱入したのも、その一因となっているのかも知れない。

 こっちとしては別に何を思う光景でもないが、向こうにとってはそうでもなかったか。


 とはいえこっちだって、こんな言葉で引き返す気はさらさらない。

 焼いた鶏肉は保温しているし、ケーキだって今夜中に食べなくてはいけないのだ。



「本当に要らないのか? 雨に濡れて帰ったんだ、栄養くらい摂っておいた方がいいだろ」


「くどい。今はそんな気分じゃないのよ」


「そうか……。なら俺一人で食うしかないか。いくつかクリスマスっぽい料理も作ったんだが」



 俺はわざとらしく寂しそうな声を出し、足音を慣らして部屋から遠ざかる。

 20年以上を共に過ごしてきた妹の性格など重々理解している。こういう態度を取ると、あいつはほぼ間違いなく出てくるはず。


 すると案の定ガチャリという音がし、すぐ後に服の背を引っ張られる感触が。

 振り返ってみると、そこには睨みつけるような目をした駄妹の姿。

 ヤツは無言のままで視線をこちらに向け続けると、何が言いたいかくらい理解しろとばかりに、脇腹を小突いてくるのだった。



「レストランでも旅館でもない、俺が作った適当なクリスマス料理だが、それでも食うか?」


「…………食べてあげてもいい」



 妹の頭に手を置いて問うと、僅かな迷いを経て少しだけ素直じゃない答え口にする。

 そいつはなによりだ。冬の雨に濡れ飯も食わせず眠らせるのは気が引けたし、なにより料理が無駄にならずに済むのだから。


 俺はそんな妹を連れ台所へと戻る。

 ただここに来たからといって、すぐに食事とはならない。これから妹にはやってもらうことがあるのだ。

 俺はその旨を告げると、様々な食材が乗ったステン製のバットを一枚渡す。



「……なにこれ?」


「今から簡易のピザを作る。具はお前が好きなのを乗せろ」



 怪訝そうにする妹にそう告げて、俺はテーブルの上にラップを敷き、ピザの生地を乗せる。

 ただそれは小麦粉を練ってイースト菌で発酵させたものではない。ビニールのパッケージから取り出した、トルティーヤの生地だった。


 そいつに作っておいた小鍋のトマトソースを塗り、コンビニで入手してきた諸々の食材やチーズが乗ったバットを指さす。

 するとヤツは子供のように口元を綻ばせたかと思うと、意気揚々ソースの上にありったけの具を散りばめていった。

 俺はしっかりと具材の乗ったそいつを受け取ると、予熱しておいたトースターに放り込む。



「ねえ、アレでちゃんとピザになるの?」


「本物とは違うけどな。でも案外お前好みな感じになるんじゃないか」


「もしかして、ぶっつけ本番……?」


「当然。いつか使ってやろうと思ってたが、良い機会だと思ってさ」



 トースターの中で焼かれていくそれを眺めつつ、さっきまで愉快そうに具を乗せていた妹は、一転して怪訝そうにする。

 確かにトルティーヤの生地とピザの生地は異なる。そもそもこいつは市販状態で既に焼かれているし、食感だって大違い。

 けれど妹は薄いクリスピーなピザが好きなので、案外これでもいけるのではと思ったのだ。


 すべては出来てからのお楽しみ。

 そんなことを言いながら溶けていくチーズを眺め、頃合いを見計らってトースターから取り出す。

 するとチーズを乗せすぎたせいで、まるで満月のような見た目になったそいつの、部分的に焦げた良い香りが俺の鼻を直撃してくる。



「こいつとローストチキンにサラダ。あとはコンビニで買ったやつで悪いがケーキ。こんなところだが、……どうだろうか?」



 用意した物を全てテーブルに出し、それっぽく並べて見せる。

 チキンが乗る皿にはキッチンペーパー製の飾りも付けたし、ケーキにも一応蝋燭を立てた。

 プレゼントこそ用意していないが、それなりにクリスマス感が出ているのではないだろうか。


 だが妹はその光景を見るも、押し黙ったままで感想を口にしない。

 もしやお気に召さなかったのだろうか。逆に怒らせてしまっただろうかと不安になる。



「やっぱダメか。やっつけ過ぎだしな」


「ううん、十分。……ありがとうね、お兄ちゃん」



 俺は残念さを振り払うように苦笑するも、直後に妹は首を大きく横へ振る。

 そして意外にも素直に、昔は連呼していた呼び方で礼を口にするのだった。



「去年はマトモに祝えなかったしな。もっとも親父も母さんも居ないから、今年も似たようなもんだろうが」


「そんなことない。ちゃんとクリスマスしてるよ」


「……なら良かった。いいから席に着け、料理が冷めるぞ」



 俺は妹の頭に再び手を乗せてやると、軽く背を押して椅子に座らせた。

 コンビニで買った安物のスパークリングワインを冷蔵庫から取り出し、随分と前に買ったフルートグラスに注ぎ準備は完了。

 よくよく見れば随所に安っぽさが見えるが、思いのほか目を輝かせる妹には関係ないようだった。


 早速その妹は、焼きたてのピザもどきに手を伸ばす。

 俺も倣ってごくごく薄い、パリパリの生地を手にし齧り付くと、軽い食感とチーズの風味が口に広がっていく。

 妹にしても俺にしても、ふんわりとした食感の生地も好きだが、どちらかと言えばクリスピーなタイプのピザが好み。

 本物の生地を作るのは面倒だが、餃子の皮など案外代用品はあるものだ。



「あー、キンキンに冷えたスパークリング最高!」


「子供の頃には味わえなかった大人の特権だな。ていうか子供の頃って、なんであんな大人が呑んでる酒が美味そうに見えるんだか」


「わかる。子供用のビールモドキを呑んで、酔っぱらった気になったりしたよね」



 俺たちはグラスに入った酒を口にしながら談笑する。

 サラダやチキンを食べ、わざわざ照明を消して蝋燭に火を灯し、誕生日のように吹き消して甘いケーキにフォークを伸ばす。

 兄と妹だけという少々侘しい状況だが、それなりに楽しめているように思えた。


 そんな時間も過ぎていき、いい加減片付け始めようかという頃。

 突然俺の携帯が鳴ったので見てみると、それは今頃温泉宿を満喫しているはずの母親から。

 いったいどうしたのかと出てみると、なんの事はない、珍しくこっちを心配して掛けてきたようだった。



「大丈夫だって、それなりに満喫してる。土産? 何でもいいよ、温泉まんじゅうでも何でも。変なキーホルダーとかは要らないけど」



 普段は放任主義な両親だが、流石にこういった日を留守番させるのが、旅行先で気になってきたようだ。

 今更気にしなくてもいいだろうにとは思うも、これもある意味でクリスマスのプレゼントのようなものか。



「ああ、わかった替わるよ。母さんからだ、お前の声も聞かせろって」



 そんな母親からの要望で、携帯を妹にも渡してやる。

 受け取った妹はしばし、母親と少しばかり嬉しそうにやり取りを交わしていく。



「そうだね、来年くらいは一緒にクリスマスしようよ。……うん、うん。メリークリスマス」



 そこで用は済んだらしく、通話を切り携帯を突き返してくる。

 どこか機嫌が良さそうに見える妹。食器を片づけ始めたそいつの背へ、俺は椅子に腰かけたままで呟くのだった。



「来年は4人でやろうか。ちゃんとさ」


「それがいいと思う。もっとも来年の私は、家に居ないかもだけどさ」


「なんだ、今の時点から来年の残業予定か?」


「違うってーの! 言いたい事くらいわかるでしょうが!」



 振り返って不敵な返しをする妹へと、俺は軽口を叩いてやる。

 ようするに来年の今頃、自分には交際相手が居り、クリスマスはその相手と過ごしてみせるという宣誓だ。

 けれど確かにそうなっている可能性は捨てきれず、想像してみるとほんの少しだが、寂しいように思えなくもない。



「だからもし来年もお母さんたちが外出してたら、兄貴は独りで小説書いて過ごすハメになるわね」


「それも案外悪くないけどな」


「また強がり言っちゃって。本当は私に居て欲しいんでしょ? "お願いだから彼氏なんて作らずに、俺と一緒にクリスマスしてくれー!"って素直に言えば、考えてあげてもいいけど」


「……お前、それを実の兄貴に言われて嬉しいか?」


「全然。むしろ気持ち悪い」



 俺の苦笑交じりな返しに、カラカラと笑い声を上げる妹。

 いつも通り、俺をからかって楽しんでいるであろうこいつの表情に、俺はやり返しつつも少しだけ安堵した。

 どうやらほぼ不機嫌と侘しさは解消してくれたようだ。



「いいから片付けたなら寝ろ。俺は部屋に戻る、今日は一切書けてないんだよ」


「折角だしクリスマスっぽい内容にでもしてみたらー? 雰囲気出しまくりの、いかにも聖夜って感じなヤツ」


「そいつはいい。いっそドン引きされるくらいポエムに走ってみるのも悪くないかもな」



 アッサリと空にしたボトルの影響か、妹はとんでもない案を口にする。

 ただ折角の聖夜だ、たまにはそういうのも悪くないかもしれない。

 それにこの駄妹の言葉通りにして笑いを取るのを、クリスマスの余興の一つとするのも悪くはなさそう。


 俺はそんな事を考えながら自室に戻り、酒とクリスマスの雰囲気という勢いに任せ、早速普段であれば赤面モノな内容を書いていく。

 しかし当然と言うべきか、ポエム感に満ち満ちた作品は読者からドン引かれ、大幅にブックマークを減らすハメになったのは言うまでもなかった。


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