ある姉弟の話
この世界は人が妖怪や魔物と共存している世界
緑に覆われた薄暗い森や辺り一面燃え盛るマグマに囲まれた大きな火山帯、透き通った色の奥に底が見えぬ程深い海 しかしどのような環境でも様々な生物や植物が生きている。
そう、人も生きている世界なのだ
人で栄えている商売街、港の近くに作られており人々は物々交換をし各々の欲するものを手に入れている。今日も賑やかな声が聞こえてくる。
そんな商売街から離れた山の奥 森を抜けた所にひっそりと佇む神社がある。
そこで今日もせっせと掃除をする少女がいた。
「ゆう〜そろそろ掘れた〜?」
少女の名はあい 肩まである黒い髪が今日も風に揺らされている。普段は神社の掃除をしている。が、森に囲まれているのでなかなか綺麗にならないらしい
「掘れたよ〜ねーさん」
あいの少し離れた場所でせっせと穴を掘っていた少年がいた
少年の名はゆう あいの弟で普段はあいの手伝いをしている。
「今日もどっさり落ち葉が入るよ。」
そう言いながら大人が寝られるほど広い穴を誇らしげに見せた
「よし、じゃあやるわよ!」
そう言ってあいは持っていた箒を振り上げ
「ふけふけ風よ!」
掛け声とともにブンッ!と箒を振った
すると小さな竜巻が起こり集めた落ち葉の山はゆうが掘った穴へ次々と入っていく
「何回見てもかっこいいなぁ」
黒い瞳をキラキラと輝かせゆうは眺めていた
「次は僕の番だね!」
集めた落ち葉が全て入るとぴょんと立ち上がり
「そーら埋まっちゃえー」
ゆうが両腕を上げると土が宙に浮き穴の方へと飛んでいき落ち葉を埋めた
「完成ね」
ふう、と息を吐きながらあいは言った
2人は所謂魔法使いなのである
その魔法使いが何をしていたかというと
「じゃ、お芋に変えるわよ!」
「うん!」
朝ごはんの準備であった
続く