11話 聖女と常識
全然更新しなくてすみません……!
中々思いつかず、難産続きとなっております。
一度こっちの更新止めて、別の作品投稿しようかなあ。なんて。
今回も短めです。
あの後リアンと別れ普通に寝た。何もなかったぞ。ナニも。
「というか手を出せるわけないよね」
そんな独り言を呟きながら、今日も一日頑張るか。
「どうぞ。昨日の残り物で申し訳ありませんが」
配膳を済ませてメイド隊と執事達、アミラは壁際まで下がる。
「いただきます」
「「……いただく」」
昨日と同じく黙々と食べていく。ユメハが見えないけど、コイツらが来た理由からして一度はあってもらわないとだな。俺でも治せるかも知れないけど、本職に聞くのが一番だしな。
よし、そうしよう。
「あー、二人とも?」
「っ……なんだ?」
「なんで
「あ、食事は続けたままで聞いてくれ。今日は俺の……あー、仲間の、ユメハって奴にあって貰いたい」
「それはいいが……何故だ?」
大男は首を傾げローブは静聴していている。
「それは……えっと……そう言えばまだ名前聞いてなかったな。俺も名前言ってねぇや」
「……あっ、そ、そうだな」
大男が気づいてなかったのかコイツみたいな目で見てから急にハッとして同意してくる。え?なに?と思ってるとローブが小声で大男に話しかけた。
「(おい……!)」
「(す、すまねぇ。素で忘れてるとは思わなかったんだ)」
「(いや、あれも演技の可能性がある。それよりも、どんなビッグネームが飛び出すかわからんぞ。それか偽名だな。俺としてはそっちの方が濃厚だと思う)」
「(お、おう。お前がそこまで言うなら気をつけておくぜ。取り敢えず聞いても平然としてればいいんだよな?)」
「(ああ)」
って会話が結構高速で行われてた。というか良く舌回るな。それもあんな小さい声で。
なんというか、こういう技能持ってると地味だけど便利だな。特に魔法の詠唱とか。
「んじゃ、改めましてこの館の主、ウノだ。よろしく」
やっぱり偽名かファミリーネームを隠したか。って呟いてるけど偽名じゃないしファミリーネームなんてないからね?
……いや、あるのか?後でアミラに聞いてみよう。変な顔されると思うけど。
「……俺の名前はバファロウスだ。呼びやすいように短くしてくれて構わねぇ。よろしく頼む」
大男はバファロウスね。バファ◯ン……あーいや、バッファローか。今は着てないが確かに兜には牛みたいなツノがついてたし、それをつけてなくても闘牛っぽい雰囲気でてるな。獣人じゃなくてヒューマンだけど。
あれ?バッファローって別に闘牛って意味じゃなくてアメリカのバイソンの事だったか?
ま、いいか。脳内の呼び方は大男って事で。
「俺は……スワーレィチ・ウンだ。言いにくかったらスワーかレイチと呼んでくれ」
ローブはスワーレィチ……ん?ウンスワーレィチ?ってもしかしてUn șoarece?なんだっけか。ラテン……いや、イタリア語か?どっちにしろイタリック語派のどれかか。どっかで聞いたってかチラッと知った言葉だったなー。思い出せねぇ。
というか大男は家名ないのにローブはあるんだな。貴族……いや、持ってる奴は平民でも持ってた筈だからそこら辺はいいか。
こっちも脳内ではローブで。
「ああ、よろしく。それでなんだが、レイチの娘さんの事なんだが「何かわかったのか!?」……座って食べながら聞いてくれ」
「いや!早く教えてくれ!どうなんだ?助かるのか?」
「お、おい、相棒落ち着けって」
「落ち着いてられるか!俺は……すまん」
ストン、と椅子に座り、頭を下げてこちらを真剣な表情で見てくる。
「あ、あーっとだな。まだ結論を出すのは早いんだが、多分俺でも治せると思う「本当か!」……が、俺は本職って訳じゃないんだ。スキルもあるし知識も、レベルもあるが、どうしても本職のそれとはやっぱり劣るからな。そこで、さっき会って貰いたいって言ったユメハって奴の話になる。
ユメハは回復のスペシャリストだ。それこそ、そう言った風土病やら流行病や呪い、異常体質に対してはめっぽう強い。数多くの珍しい病や難しい病気を治した実績もあって、その娘さんの病気にも多分詳しいと思う。
もし詳しく知らなくても対処法や術後何に気をつけるかとかは知ってる」
ユメハの「あんまり知らないんだけど、」から語られるのは他が十分熟知していると自負するレベルだ。知ってるのレベルが高いんだよな。あいつが「知ってる」って言ったら病原菌とかどこから感染するかとか、もっと言ってしまえば病原菌に感染してから何日目まで当てれるレベル。
正直言って俺とは格が違いすぎる。
そんなユメハの事だから多分エーテル病、俺たちが言うところの最大MP減少病についても色々知ってんじゃないかね。
「そう、か。そうか。そうか……」
ローブが何かを噛み砕くように言葉を繰り返す。
大男も荷が下りたような顔になりつつあるな。
まだ治してないし、治すとも言ってないのになぁ。
俺は治すつもりでいるけど。
「じゃあ早く食べてくれ。食べ終わったら会いに行くぞ」
「おう!」
「わかった」
そう言ってガツガツ掻き込む大男と静かだがスピーディに消費していくローブ。こういうところで個性というか性格出るよな。
俺もちゃっちゃとさらえますか。
「じゃあ行くぞー」
「おーう……ゲフッ」
「はい……ンップ」
全部食べきれって訳じゃ無かったんだけどなぁ。昨日の残りとは言ったが量が量だったからあと一食分あったと思うけど。
流石にデザートまで食い切ったから苦しそうだな。回復魔法……いや、消化を助ける向上系、付与の健康促進(毒、病気抵抗アップ)でもかけとけば多少は効くだろ。
ジョブの……双刃盾使いはいらんな。そこに付与術師を入れて二人にかけてやる。
「お、おおう?」
「これは……」
「ちょっとした付与魔法だ。気休め程度になる」
「ありがとう」
「感謝するぜ」
気分が少し良くなった二人と共にユメハの部屋に向かった。
コンコン、とノックして呼ぶ。流石にノック無しはマナー違反というか、ダメだよな。
「はーい?」
「俺だユメハ。客人二人を紹介したいが、今大丈夫?」
「あ、少々お待ちください〜」
扉越しに何かを片付ける音が聞こえる。小物とか、あとは掃除かな?
少々と言ってた通り、五分も経たないうちに扉が開かれた。
「どうぞ〜」
「お邪魔するよ」
「……お邪魔します」
「……します」
ユメハが姿を現し、部屋に招き入れてくれる。部屋はそこまで物が置いてあるわけでもなく、薄いピンクの壁とベッド、テーブル、椅子、タンスくらいしかない。あとは窓の前に置いてある観賞用の植物くらいか。
俺、ローブ、大男の順で部屋に入る。あれ?大男の声がめっちゃ小さかった。もしかして緊張してる?
手前のテーブルに招かれ、座ると紅茶が出てきた。
「ありがとう。じゃあ紹介しようか。
こっちのローブ着てるのがスワーレィチ。んで、こっちの大きいのがバファロウスだ」
「よろしくお願いします」
「……っす」
大男の変化が面白いな。ザ冒険者って感じだったのが緊張でカチコチだ。
「よろしくお願いします〜」
「ん。んで、こっちがユメハな。言った通り回復のスペシャリスト。聖女だ」
「……まじかよ」
「……聖女、っていやぁ」
「はいは〜い。ご主人様の言う通り聖女のユメハです〜」
ほんわかぽわぽわユメハさんはうふふ〜と微笑んでらっしゃる。大男に10のダメージ!固まった!
「それで、私に用ですか〜?」
「あ、ああ、そうだった。実は──」
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ローブが娘の事を話し、大男も頭を下げた。
「なるほど〜。頭をあげてください。それくらいなら簡単に治せちゃいますよ〜」
「本当か!」
「ありがとう……ありがとう……!」
「ただし条件がある」
俺が口を挟むと、泣いていたローブと大男がこっちを向く。そしてユメハがえーみたいな顔をする。まあまあ、そんな変な条件じゃないから。
「なんだ、言ってくれ」
「俺たちで出来る事なら……何でもする!」
「ん?今何でも……って、このネタは通じないんだったな。
まあそんな難しい事じゃない。いやある意味難しいのか?条件はな……俺達に、常識を教えて欲しいんだ」
「「は?」」
「へ?」
ローブと大男がハモってユメハが首をこてん。かわいいな。
じゃなくて。
「変かも知れんが、俺達……ユメハも入ってるからな?……は、常識外れな所がある
自分で言うと妙だな。だが恐らくズレてることはわかるんだ。それを直したい」
「た、確かに変な条件だな」
「常識……そうだな、ある意味教えるのは難しいな」
「……そうですか〜?私そんなに常識外れです?」
わかってないなユメハは。
「お前、さっきの病気聞いてどう思った?」
「どう?……えーっと、さっきも言いましたけど、それくらいなら簡単に治せるとしか〜」
「そこだよ。こいつらの話聞いてたか?あの病気は、こいつらからしてみれば不治の病だ」
「あ」
「な?俺も実際簡単だと思ったし。それに今後常識から外れたままだと何かやらかしそうなんだよ。
例えば、そうだなぁ……硬貨の価値は知ってても、その程度かと思ってボられたり。魔道具売ろうとして、ヤバイもの認定されたり」
「ご主人様が打ったネタ剣が聖剣神剣扱いされたり?」
「そうだ」
「……はぁ?聖剣っていやあ、付加効果やスキルが6〜8個付いてるような頭のおかしい剣じゃねぇか。それに、神剣だって?」
「……神剣は、9、10個以上の付加効果と、1個以上のスキルが付いてなきゃ認定されない。だったか」
丁寧に説明ありがとう。
「聖剣は6〜8個か。そんくらいなら簡単だな。9個は出来るが12個以上はネタ武器じゃあ無理かもな。けど本気でうちゃあ出来るぞ」
「「……」」
そんな疑わしい目で見ないで。なんなら出してやろうか?例えばそうだなぁ……お、これなんていいんじゃないか?
「6〜8個あればいいんだよな?スキルも付加効果もあわせて。
……あったあった。ほい。【虹彩光剣ブレードライト】」
ぽん、とテーブルの上に【虹彩光剣ブレードライト】……略してサイリウム剣を置く。
おーおー、眩しいねぇ。大男もローブが剣に意識を持ってかれて食い入るように見てるな。
七つの色に代わる代わる光るこの剣は、攻撃力なんとたったの1だ。そのかわり付加効果が8個付いている。
「この剣の付加効果は虹色に光らせるために色付きの光をだす付加効果を7個。それに存在感っていう付加効果がついて合計8個の付加効果がついてる。どうだ、聖剣だろ?」
「あ……ああ」
「こんな……」
言葉もないといった感じだ。まあこんなのが聖剣っていわれればこうもなるか。中身はともかく外見は聖剣……っぽくもねぇな。
ギラギラと斜めにぶっ飛んだ光り方だからなー。
「ちなみに攻撃力は1だ」
「「はあ!?」」
「どうだ?これが聖剣だぞ?あ、[鑑定]スキル持ってないんだっけ。えー……ほい。鑑定書。ちゃんと8個かかってるだろ?」
鑑定書は、[鑑定]スキルが付いている紙だ。高級な魔道具とか買うと付いてくる。ちょっと高いけど作れるし店で売ってたりする。
二人は鑑定書を見ながらまだ口開けてんな。ユメハは……静かに場を見守ってる。何か言うとそれも常識外れって言われそうだもんな。
そうして俺は次々と作成したネタ武器を紹介していき、二人を驚かせていった。
次もまた遅くなると思いますがどうかご容赦を。
エタらないといいなぁ