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10話 リアン、絆の星

更新せねばと思い書いてたら以外と筆が乗った……と思ったらプロットにないことしてるぅー!?

そして話がなかなか進まなくてごめんなさい……。

シーン一つ一つを大切にしてしまうきらいがあるんですよね……。

頑張っていきたいと思います。

……不定期更新で(ボソッ

大男(バファロウス)視点】


「ハッ!?」


 俺は……たしか、森を抜けて貴族が住むようなデッケェ館……いや、どっちかってぇと昔一度見た大商会の店の方が近いか。が見えて……それから、それから……扉が開いたんだ。……その後の記憶がねぇ。


「……目を、覚ましたか」


 !!


「って何だ相棒お前かよ」


 心臓止まるかと思ったわ。


「驚かせるなよチクショウ……で、何でそんなに辛気臭せぇ顔してんだ?」


「……俺らはあの男を、強いとはいえ魔女の手下。戦士長か執事、それか馬頭かなんかだと思ってた。そうだな」


「あん?何だ急に……ま、そうだな」


「それでだ。あの男は実際、魔女の館のヌシだったわけだ」


「……そうだな」


 俺も辛気臭せぇ顔になっていくのがわかる。


「もう、わかってるな?」


「……誠心誠意謝罪、それと感謝か?」


「おう。相手は貴族だと思え」


「ウヘェ」


 まあ相棒の言いたい事はわかる。仮に俺が貴族や商会の会頭だとしたら、俺らみたいな態度のやつは気に食わねぇだろうな。


 それにあの出迎えだ。こちらに舐められないよう見栄を張ったんだな。どちらが上か分からせるために。貴族ではよくある事だ。


 だから、あの出迎えは牽制、か。


「謝って許してくれると思うか?」


「知らん。あの男が俺らに会った時のような性格なら簡単に許してくれると思うぞ」


「やっぱり難しいかー……」


「だろうな。あの男が名を名乗ってないのも気になる」


「あー……マジでどっかの貴族……いや、大賢者の方か?かも知れねぇって事か」


「王族の可能性もあるぞ」


「……」


 ……俺らも等々運が尽きたかぁ?まあ可能性ってだけだからな。一般市民の可能性も……いや、そっちの方が可能性低いか。


「それにあの容姿。かなり整った顔立ちだったろ。なのに鼻は王都の人間より低い。どちらかといったら幼い感じの童顔だ。これは東の国の奴らの特徴だ」


「東……エルフの国か?」


「バカ。そのもっと東だ。国名は忘れたが度々ユグトランドや俺らの国でも見かけるだろ」


「あー、あのパッとしない顔の奴らか?」


「……まあ、そうだ。そうだな。あそこの奴らは竜人と人間が入り混ざって住んでるらしい。そんでそこで強くなれなくて、付いて行けなくなった人間がこっちに流れてくるんだと」


「へぇ。やっぱ物知りだな」


「これくらいは酒場で聞ける話だ。お前もいつも呑んだくれてないでちっとは手伝え」


「すまん」


「……チッ」


 あー、いつも呑んだら止まらなくなるからな。たまには手伝ってやらないとな。


 コンコン、と控えめに扉をノックする音が聞こえ、俺らの情報共有は一時中断となった。


「……いいか。わかってるな」


「……応」


 ガチャリと扉が開かれ、奴が現れた。









【ウノ視点】



「お?目を覚ましたか?」


 メイド隊の機能の中から麻痺と魅了を常時オフにしていた所で、二人組が起きた事が伝わる。

 この家には俺が知りたいと思った情報をリアルタイムで伝えてくれる機能がある。まあ何でそんな事が可能かと言うとチャットというかテレパシーのスキルと言うか……まあ、何故かは秘密って事で。後々わかるかも知れないから、その時に説明しようか。


 メイド隊の事も終わったし、アミラは……あ、夕飯の支度か。有り難い。ユメハはどうだ?……あっ、はい。見なかったことにしよう。バレてないバレてない。


 じゃあ向かうか。




 途中いた執事が後ろに付いてきてるがまあいいや。ボディーガードのつもりかな?戦闘ではあの二人より弱いんだけどな。

 ……暇があったら強くしてやろう。ちょうど執事が使えそうな物あるし。


 ……ねぇ、さっきから付いてくる執事、何で女ばっかなの?女執事、確かに好きだから作ったけどさぁ!男の執事も付いてきていいのよ?何でそんな、遠くから微笑ましいものを見るような表情をしてから去っていくの!?


 ま、まあいい。着いたし。中は……なんか沈んでるな。一応ノックもしとくか。


 コンコン


 と思ったら女執事がサッと前に出て控えめにノックをしてからスッと下がった。

 ……ま、まあ。「ありがとう」と言ってから中に入る。……今開けるところまでやろうとしたな?出来なくてちょっとウズウズというか、ムズムズしてるところが可愛い……じゃなくて。



 客室は簡素だ。といっても豪華だけど。シャンデリアは無いにしても光を発する金で装飾された魔道具とか、立て掛けてあるドラゴンの絵とか……ってあのドラゴン見覚えあるな。どこで見たんだっけ。


「あ、丁度起きてたんですね。気分はどうですか?」


 ゴクリと生唾を飲む大男。


「い、いや……いえ、大丈夫だ、であります」


「……ありがとうございます。気絶した俺らを寝かせていただいて」


 ?やけに硬いな。


「畏まらなくても良いですよ?」


「い、いえ。寧ろ貴方こそ敬語じゃなく、ではなくてもいい、ですよ」


「おい……!んん、失礼しました。ですが俺らに対して敬語は使われずとも」


「ん、んーわかった。だがお前らも使わなくていいんだぞ?貴族でもあるまいし」


「……!!」


「(おい!貴族の線は消えだぞ!)」


「(……稀に、こういう王族がいると聞いたことがある)」


「(じゃあどうするんだよ!)」


「(取り敢えず、敬語はやめて、だが失礼のないように。それと謝罪だな)」


「(わかった)」


 聞こえてるぞー。え、なに、貴族だと思ってたの?その次は王族と。誤解は早く解いた方が良いな。


「王族でもないぞ」


「「!!」」


 あ、より警戒させちゃったか。選択ミスったなー。

 まあいいや。


「取り敢えず食事だ。行くぞー」


「あ!おい、行くぞ」


「あ、ああ」


 なんかなー……。お、飲み物ありがとう女執事。やっぱり可愛いな。この子達はもう人と変わらないんだよね。裏切りとかは、ちょっとやめて欲しいな。





 閑話休題





 食堂に着いたけど、二人とも落ち着きがないな。……あ、上座のあの椅子に座らなきゃいけないのか。なんか汚すのが嫌であそこで食事したくないんだよなぁ。

 たしかアイテムボックス内に……あったあった。ディスクチェア。オフィスチェアとか事務椅子とか呼ばれてるやつだな。こっちも飯を食うには適してないけど、あんな豪華絢爛なのよりはマシか。


 パパッと入れ替える。俺の趣味上、本革の黒いモダンな椅子に仕上がっている。適度に反発してくれて自然と背筋が伸びるスグレモノだ。

 あ、一瞬で入れわかったの見て驚いてるな。この世界にはアイテムボックスとかを持ってる人少ないのかな?アミラやユメハが使ってたから結構普及してる物だと思ったけど。


 と、メイド隊と執事達が食事を運んできた。

 アミラもいる。……手筈通りに?手筈って、何のことだ?……ああ。あ?え?んん?えーっと。


「さ、さて。料理も出揃った事だし、いただきますか」


「お、おう」


「……」


「いただきます」


 ……黙々と食べるメンツ達。アミラは食べないのか?ああ、いつもと違って客がいるから、一緒の席ではってことか。一緒に食べても良いんだがなあ。

 食べないかと女執事に目線を送ったらウインクが帰ってきた。かわいい。じゃなくて、やんわりと拒否、と。


 ……美味いけど、もうちょっと楽しく食べたいと思うのは俺だけか。


「あれ?そう言えばユメハは?」


「ユメハ様は……部屋で食事を摂られるそうです」


「あ……そ、そうか。顔が見れなくて残念だよ」


 アレを見ちゃってたのがバレたか……そりゃあ顔出し辛いだろうな。……何を見たのかは察してくれ。いや、察さなくてもいいぞ。寧ろ察さないでやってくれ。


 そんなこんなで時間は過ぎ行く。大半の料理を浚えた所で、アミラがデザートを持ってくきた。


「デザートの、クレープシュゼットでございます。少々苦いカラメルソースをかけ、オレンジの皮に火を付けたブランデーを流し込み香りつけをしております。お好みでホイップクリームをおつけ下さい。お館様が甘い物がお好きな事は分かっておりましたが、お客様に苦手な方がいらっしゃるか分かりかねましたので、生地やカラメル自体の甘さは控えめとなっております」


 お、俺の好きな物が来たと思ったら語り出したよ。そういえば食事中も大男やローブとなにか言葉を交わしてたな。……俺も少しは仲良くなりたい。……あ、なら


「お、美味いな。ホイップクリームも付けて……うん美味い。そうだ、オレンジの皮を使ったんだろ?中身は?」


「中はまだ熟していませんので、冷蔵庫の中に入れてあります」


「お、そうか。じゃあそのオレンジとジューサー、それとシャンパンとグラスを持って来てくれ」


「畏まりました」


 よしよし。仲良くなる計画が出来そうだ。



「お持ちしました。シャンパンとグラス。オレンジとジューサー……は魔道具の方しかありませんでした」


「そうか。ありがとう」


 手で絞ってもいいけど、この市販の魔道具──こんな高品質で使い所が限定的な魔道具王族か王侯貴族くらいしか使わないものだけど──はとにかく無駄なく搾り取ることが出来る。ぽいぽいと魔道具の中にオレンジを放り込みスイッチオン。そのうちに女執事に開けてもらったシャンパンをグラスに半分ずつ入れる。お、このシャンパングラス、フルート型か。御誂え向きだな。


 絞って出たカスを持ってきた皿に起き、グラスにジュースを注いでいく。ちょうどシャンパンとジュースが半々になった所でステアして(かき混ぜて)から配る。わざとジューサーを途中で止めて粒を若干残してるのは俺の好みだからだ。


「さあ、飲んでくれ。俺のいた所ではミモザって花の名前で呼ばれてた酒だ。飲みやすいが炭酸がそれなりに強いから気をつけろよ?」


「「……いただきます」」


 二人は覚悟を決めて飲んだ。ってそんな覚悟決めなくていい。注意してたのが良かったのか、一気飲みはせず、口に含んでから味わって飲んだ。


「「うまい……」」


「そこまでハモるか」


 面白いなこいつら。どれ、俺も一口。

 うーん、美味い。クレープも一口。うん甘苦くてうまいな。ミモザを一口。クレープを一口。止まらん!


 飲み物が少し酸っぱいからクレープを甘くして調節したり、追加のクレープを持ってきて貰ったり、追加で絞ったり……。

 二人が客室に戻っていったのを確認してからシャンパンを自室に持っていって飲んだり、それを見た女執事に酌をされたり。




「……この世界の夜空は綺麗だな」


 だいぶ酔ってしまった。火照った体を冷ますべくテラスの椅子に座って空を眺める。


 満点の星空。星座はいくつか覚えてるけど、どれも当てはまらない俺が知らない星達だ。


「なあ、星座って、あるのか?」


 ダメ元で後ろの女執事に聞いてみる。


「……はい。御座いますよ」


 ……しゃべった。俺がこんな声してるんだろうなって妄想してた声と全く一緒で凄いけどビックリした。なんというか、綺麗だけど色っぽい声。聞いてるだけで耳が気持ちいい声だ。耳元で囁かれたら絶対ゾクゾクしちゃうね。


 と煩悩にまみれた頭を振り払い、女執事を見やる。


 黒というより、紫に近い髪をショートボブに切り揃えていて、目は明るい紫、口元のホクロが素晴らしい。スラッとした手足で燕尾服を着こなしている。そして胸。小さすぎず、むしろ少し大きいか?手からはギリギリ溢れ……煩悩退散。腰はキュッと締まっていてお尻は程よい感じ。


 うーん。素晴らしい。


「……名前は?」


「?ああ、リアンの事ですか?」


「そうか……君はリアンと言うのか」


「え?いえ、違いますが」


「……え?」


「リアンは星座の事ですマスター。それから私には名前がありません」


「えっ」


「私達は私達の上位者……先輩達から名前を貰うのです。今でいうアミラ様ですね」


「だけど……君達は俺が作ったんじゃないのか?」


「YES。ですがマスターは多忙。私達に割く時間はありませんと教えられました」


「そ、そうか……因みに他に名前をもらってない人はいるかな?」


「人……私達を人と認めてくれるのですね。その問いについては私一人と答えます」


「君?君だけがもらってないって事?」


「YES。最後に起動したのが私ですので。他のホムンクルスは名付け完了しております」


「そうか……じゃあ、俺が名をつけても良いかな……?」


「……マスター、がですか」


「嫌だったか?」


「NO。光栄です。ですが同時に恐れ多くもあります」


「……だったら、君の名前はリアンだ」


「先ほどの、星座という意味ですか」


「いや、Lien……俺のいた世界の、フランスって国の言葉で、『絆』って意味だったはずだ」


「……リアン。絆、ですか」


「どうだ……?」


「ステキな名前をありがとうございます。マスター」


 フワッと微笑んだ彼女は、人間そのものの表情でそして何よりも、美しく妖艶だった。







「所でマスター。夜伽は如何されますか」


「ブッ!?」

リアンちゃん追加入りまーす。

ド性癖です。ありがとうございます。

筆者の趣味です完全に。


そして裏話。響がいいなーって思って星座の名前にしたリアンですが、何気なく調べてみるとまさかの絆と出てきて、これは天命だと神は言っている状態になりその設定をつけました。


本当はリアンちゃん、プロットには書いてない居なかったキャラなんですがね……これにより少し改変しました。


「自分で大変にするんじゃないわよ」


はい。

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