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8話 遭遇

遅れて申し訳ない。

今後も不定期更新なのでご了承ください。


 ザクッと切る。移動してザクッと。また移動してザクッ。

 レベル上げをするために弱い敵を狙ってだから効率が悪い。もう少し上げたら魔物の巣の中に飛び込むか。


 ……慣れたなぁ。いや、VRで体験してた事だけど血は出なかったし、こう、生々しい血の匂いとか、切った時の感触とか、そういうのをもっと忌避するもんじゃとも思ってたけど全然平気で。まあ気にしてもしょうがないかと敵を切る。

 お、今の敵を切るって、キルと掛け合わさってて……親父ギャグはやめよう。




 閑話休題(……さむっ)




 レベルが低いのとレベル上げ用の装備をしてるおかげか、だいぶ育った。

 双盾刃使いが40を超えて、突然生えた落ちてるモノ使いも36。糸使いも61。そして60を超えた糸使いは上位ジョブになるかを聞かれて、うーん。どうしようと悩みながら未だつけている。


「一応100まで育ててから考えるか。派生とかユニークとか生えて来るかもだし、この森ならレベ上げそう難しくないし」


 ウンウンと一人で頷いていると、側から変な人に見えるよね。……ではなく、【レーダー】に反応があった。


「ん?魔物か?いや、これは人の反応だしな。ユメハの奴がアミラと一緒に来たか」


 特に調べもせず反応を無視する。一瞬、少し前にみたあの似た者同士対決をしていた奴らかと思ったが、レベルも低く装備も充実していない。ここ(奥地)に入っていたがニュービー……初心者にはよくある事だ。勝てないと知って引くだろう。特にここは死んだら終わりなんだから。


 来るまであまりここから動かず狩りでもするかな。糸使いのスキルも見ておきたいし、何より必殺仕事人みたいでかっこいいからね。



 ▼



【バファロウス視点】


「おい!まだ着かないのか!」


「ああ……チッまた移動した」


 魔女と思しき人物に会うべく走ってるわけだが、中々追いつかねぇ。最短ルートで──まあ最大限モンスターを避けながらだが──行っているが、次々と場所を移動しやがる魔女に四苦八苦しているところだ。


「はあ!?魔女とやらはどんだけ足速ぇえんだよ!?」


「知らん。だが……ある程度遠くまで行くと引き返してる。何故?」


 あ?引き返す理由?そもそも魔女が移動しては引き返してるってぇのに追いつけねぇのか?


「……んー狩場がそこら辺なんじゃねーか?」


「そうかもな……それか、俺らの存在に気づいて待っていてくれてるかだ」


「気づいてって……魔女は斥候職なのか?それに待ってるのに移動してるって……」


 斥候職でなくても【マップ】や【レーダー】が使える。だが斥候職が使う事でレーダーに反応した相手が人が魔物か判別できるようになる……んだったか。


「待ってるのに移動か……大方、暇で狩りでもしてるんじゃないか?なんてな」


「ははっ、ここら辺の魔物が狩猟対象か!そいつぁ傑作だな!」


 飛んだ笑い……いや、笑えねぇ話だな。ここの魔物を、それも相手を選ばずに単独で狩れるなんて、どんなバケモノ(高レベル者)だよ。

 腕っ節が強く、斥候で治療も出来て、尚且つどっちもハイレベルとか。ノドから手が出るほど欲しい人材だぜ。伝説の転生(・・)とやらもしてんじゃねーか?お、これは酒場で良い肴になりそうだな。『ウワサの魔女は転生者!』ってな。


「おい、他事考えてる所悪いが、もうすぐご対面だぞ」


「!!そ、そうか!すまん……っておい!また置いてこうとするなよ!」


「どうせバレてそうなんだ。コソコソ行くより正面から行くぞ」


「おう!」


 そう言って俺らは草を掻き分け、やっとの事で魔女?と対面した。


「おーい、待ってた、ん…だ……ぞ?」


 風変わりだが如何にも品が良くオシャレな衣服を纏い、両手に長盾を装備した()と。

 その男は、何故だか神聖さを感じさ、せて、なんだ、少し頭が、混乱してき、た。



 ▼



【ウノ視点】


「……」


 やけに来るのが遅いな。俺が多少移動してるからか?いやでも、そんな動いてないしなぁ。



 ──ガサ、ガサガサ


 お、きたか。


「おーい、待ってた、ん…だ……ぞ?」


 背の高い草むらを掻き分けて出てきたのは、アミラでもユメハでもない。【神眼】で見たあの男たちだった。……って、え?レベルは?……基礎レベル80〜で、ジョブはウォーリア系とシーフ系、どちらもレベルは75〜85か。よくここに来れたな。


「「……男?」」


 声を重ねて何言ってんだコイツら。俺が女にでも見えるのか?

 まあいい、ここは高レベル者として、注意しとかなきゃな。


「……何故ここまできた?今すぐ帰れ……と言いたい所だが……理由を先に教えてもらおうか」


 あれー?なんで俺こんなに高圧的なの?本当は「なぜここまで来たんですか?ここは危ないですよ。……あ、来た理由ってなんでしょう?」的なことを言おうとしたのに。


「!……い、いや、魔女って聞いたもんだからてっきり女だと……それに美女ってウワサもあったし……チッ酒場の野郎、ホラ吹きやがったな…」


 なにやらボソボソと……うん?魔女?


「ぐ……いえ、ここに来たのは、魔女を探すため、です」


 まじょをさがす。

 ……あー、アミラが言ってたウワサか。何だっけ、何でも願いを叶えてくれる魔女だとか、魔女の館だとかだったか?それを危険を冒しながら遥々ここまで来たんですかこの人達。……レベルも低いのに馬鹿だなぁ。だけど。


「ふむ……普段なら馬鹿者と言って追い返すところだが……ここまで来れたという事は、自分以外の何かの為に来たな?」



 ゲーム時代は設定だけだった魔道具がある。

 結界系で無限回廊ものの一つで、設定された特定の行動を行なったり、特定の感情を持っていたりする時のみ通れるようになるという不思議魔道具だ。

 作成に『想石(おもいし)』と言う限定アイテムが必要になるため皆こぞって作ったり集めたりした魔道具だった。ゲームの時では普通に優秀な無限回廊で、使用者もかなりいた。

 例えば通す感情設定を勇気、行動設定を武器を掲げるにして魔王と勇者ごっこやったり……ごほん。


 アミラがいくつか使った魔道具の中にあったな。聞いた感情設定は……確か他人を思い突き進む強い意志(感情)だっけ?また勇者ごっこが捗りそうな……もとい変な設定にしたもんだなと思った。これをクリアしてめでたく救われたのはエルフの民達……とコイツらだな。


「!な、なぜそれを……」


「まあそれはいい。用件は何だ?」


「そ、それが、です、ね」


 ?だんだん息苦しそうにしてないか?隣の大男も目をぐるぐる回して混乱状態だし。……ん?息苦しい……混乱……ってもしかして【覇気】発動してる?……あ、いたずらをしてるのは【神気】の方か。


「あ、ごめんなさい。今すぐ消しますんで……お?」


【神気】──神族になると戦士系のスキル【威圧】が昇華してなるものの一つ。発する物に神聖さを感じさせて、尚且つ下位の種族に【威圧】をするパッシブスキル──をオフにすると自然と口調も戻った。小心民だから初対面相手にいきなりタメ口とかは聞けないよな。相手の出方にもよるけど。


「あっ……え」


「それでもアイツは……ってあれ?」


【神気】をオフにしたお陰が、ブツブツ言ってた大男は正気に戻り、こぎた……ローブを着た方は重圧がなくなり目が点になる。


「すいません、喋り辛かったですよね」


「あ、ああ、いえ、そんな事は……あの、聞きたいことがあるんですが」


「?なんでしょう」


 出来るだけスマイル。微笑程度に。印象良く……って遅いかな?でも俺にとっては初めての外部とのコミュニケーションだからな。


「単刀直入に、貴方は、魔境の魔女で合ってますか?」


「えーとだ、ですね。コイツの娘を助けて欲しいんだ、です」


「二人いっぺんだと聞き取りづらいのですが……」


 え?なんて?片方は魔境の魔女かって質問なのはわかるけど、何を助けて欲しいって?


「え、っと……」


 あ、ローブが肘で大男の脇腹を攻撃してる。アニメやドラマではよく見るけど現実ではなかなかやらないヤツだ。じゃなくて


「取り敢えず聞き取れた方を答えますね。まず俺は魔境の魔女ではないです」


「そう、ですか」


 ……落ち込むよな、一縷の望みなんだから。……だけど無限回廊超えてきたんだよな。なら


「えっとそちらの方の質問は?」


「あー……いやいい……です」


 良いから良いから、言って。というか言え。

 念押しが通じたのか、大男が語り出す。


「……その、コイツの娘が、ですね。不治の病にかかっちまって……妻にも先立たれて、一人娘で……それで」


「治してもらいにここまで、ですか」


「おう……あ、はい」


「敬語じゃなくて結構ですよ」


「そ、そうです、いや、そうか」


「おい……!」


 そうか、娘をか。


「因みにですがどんな病名なんですか?あと症状とかわかりますか?」


「はぁ……エーテル病ですよ」


「は?エーテル病?」


 エーテル病ってあれか?かかったら最後、体のあちこちが異形になって抗体ポーションを飲むことでしか症状を抑えられないあのエーテル病か?だとしたら治すことなんて不可能何ですが。


「はい……身体中の魔力が抜けていずれ死に至るあの不治の病です」


「あ、そっちね」


「え?」


 なんだ最大MP減少病の方か。あれエーテル病って言うんだ。初めて知った。

 あれは霊峰の最奥で手に入るアイテムから作る霊薬を使わなきゃ治らないからそりゃ不治の病か。

 ……昔そのアイテムがバグでバナナで代用出来たりしたから今も作り置きしたもの余ってたはずだな。あ、修正は入ったぞ。そしていつのまにか霊薬にバナナ入れるとバナナ味霊薬が出来るネタが入ってた。


「あー、ちょっと良いか」


「?なんでしょう?」


 喋ってるとどんどん沈んでいくローブに変わって大男が喋りかけてくる。


「単刀直入に聞くが、アンタは魔女じゃねぇんだな?」


「女に見えますか?」


「……」


「あ、すいません違います」


 大男に睨まれ(多分微妙な顔をしたんだと思う。コワモテだからね)たから素直に謝る。


「じゃあ魔女に心当たりはねぇか?」


「ありますよ」


「そうか……そうか!?あんのか!」


 大男が叫び、ローブがガバッと顔を上げる。

 あ、今の声でグロウリーベア(5話参照)が反応したな。こっちに来る前に鉄糸で罠作り。


「多分?」


「よし!よぉし!ありがとう!」


 大男が泣いて喜ぶ。ローブは喜ぶかと思ったが何かを思考してるみたいだ。


「あの……魔女の居場所って、教えてもらえますか?確か魔女の館にいるとか…」


「館ですね、何なら案内しましょうか?」


「え?あー……」


「あん?何悩んでやがる?良いじゃねぇか案内して貰おうぜ」


 お、大男が乗り気。かけてよかった【信用】スキル。あ、でもローブには効かなかったか。怪しんでる?


「……一つ、聞いて良いですか」


「なんでしょうか」


「貴方は、何者なんです?」


「神です」


「……は?」


 え、なんだかんだと聞かれたら答えて上げるが世の情け……じゃなくて、まあ普通神ですなんて言われたらこういう反応になるよな。


冗談じゃないです」


「はあ……」


 あー完全にゴッドジョーク滑ってるなー。疲れた顔しないでごめんて。


「まあ、何者というのはどういう?」


「あ?あーっと………なんて言えばいいんだ?」


「まあいいでしょう。ほーら行きますよー」


「あっ待ってください!」








「……俺今回空気だな」


 大男はそう呟いて少し後をついていった。


今回までに館まで連れて行きたかった……orz


「無駄な話や小ネタ挟むからでしょ」


うぐっ……O<ー<


「ま、まあ大変だとは思うけど、頑張ってよね」


つ、つんでれktkr……!


「書け」


はい。

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