1話 完成!……死にまして。
物書き初心者&処女作です。悪いところがあればやんわりいってくれると助かります。書きたいときに書く感じになりますので更新は不定期です。
───カァーン……カァーン……
なにも考えず、無心の状態で槌を振る。
──カァーン……カン…カカン……カァーン……
大きく振りかぶり、振り下ろす。小さく打ち、形を整える。また大きく振りかぶり、粘度を高める。
──カァーン……カァーン……キィィィンッ
「──ッ!!」
意識せず呼吸が止まっていた為苦しくなる。だがまだ息をしてはダメだ。気を抜いてはダメだ。最後のタイミングを見失わないように乾き充血した目を開き、槌をこれまで以上に大きく振りかぶる。
1、2、3……
ッ!
──カ──ァァァァアン……
「…スゥー……ふぅぅ……」
目を瞑り、極度の疲労を癒す為椅子に倒れるように腰掛ける。
暫くの間、その状態で深呼吸を続けた。
目を開け、今まで槌を振っていた物を見る。
「ふっ…ふふっ」
含んだような笑いが止まらなくなる。ついに、ついに完成だ!
「やっ……た…?」
気がつくと倒れていた。脳が動かなくなって行く。視界もぼやけて……
「ぁ……」
意識を失った。
▼
「ってのが君の最後だけど、思い出してくれた?」
目の前の神様だと言うナニカがこちらを見た…気がする。
「あー、はい。それで俺…私は死んだのですね。」
「ん、そだよー」
笑いながら?軽く言ってくる神様に俺は溜息をつく。
「それでね、君には僕の作った世界に転生してもらいたいんだよ。『アノセカイ』と似て非なる世界に、あの姿で。」
……俺は悩んだ。盛大に悩んで、悩んで、その悩みが意味のないことだと気づくのに暫く時間を要した。重大な事は何故死んだか、なにが原因だったのかとかじゃない。そりゃあまあ、死んだのは辛いし、まだ生きてる家族や友人達とも会えなくなるのも悲しい。だけど、折角神様がこの記憶を、姿こそ変われど俺のままで生き返らせてくれる事に感謝し、憂いは有れども前を向く事に決めた。
「やっと、決心がついたかい?」
神様が…多分慈愛のこもった目でこちらを見る。
「はい。悲しいし、辛い。ですけど今後どうあれ前を向くと決めました。」
「うん、それは良かったね。流石に地球時間で十二年悩んだだけのことはあって精神が多少成熟した様だね。」
「うぇ!?じ、十二!?」
「うん、そだよー」
カラカラと笑ってる?神様。って、十二年って…そんなに悩んでたの?いや眠くもないしなんの欲求も生まれなかったから時間なんてわかんなかったけどさ……。
「ここは昼も夜も、欲求も、そして地球のようにこれといって決まってる時間すらない所だからね。ほっとくとそのまま地球時間で何年もたっちゃうのさ。…あ、ここが特別早いとかじゃなく、君は正真正銘十二年悩んだからね?そしてその答えが出た。誇っていいと思うよ」
その言葉がじぃんときた。やばい、なにがやばいってスッゲェいい人──いい神か──だ。惚れそう。人間人間かみさまとして的な意味で。
涙腺をウルウルさせてると、神様はパンッと柏手を打った。
「さて!決心はついたみたいだし、セカイの説明をしていいかな?」
「すみません…はい、よろしくお願いします!」
目に溜まった涙を拭い、神様に一礼をした。
「うん、君は話していて気持ちがいいね。じゃあ、説明を始めるよ───」
これから行くセカイ、名はユーリュゥス──言いにくかったので、ユーリュウスと言う事にした──は、俺が死ぬ直前まで遊んでた、最近流行りの精神加速型のVRMMO……ではなく、少し前の普通のVRMMOだ。最近は色んなものが精神加速型になってきて…と愚痴はいいか。
ともあれ、少し前の、それも2か3世代前のベット型のダイブマシンで遊んでたゲーム、名前は『ユース ア コネクト オンライン』だったっけ?いっつもYCOって言ってたから正式な名前があやふやだ。で、そのゲームを模したセカイだそうだ。
そこで、そのセカイの説明をするならYCOの説明をした方が早い。YCOはよくある剣と魔法のファンタジー。スキルがあって、剣圧とか飛ばす技系もある。定番だな。その精度を無茶苦茶良くした、今では当たり前になりつつあるが自由度がその時代のゲームより頭抜けて高いゲームだった。とは言えそこはゲーム。自体が残ったり、子供作ったりとか、ダメなものはダメだった。ソロプレイ様に従者的なサポートキャラのNPCもいた。
……また少し脱線したな。まあぶっちゃけてしまえばイノシシや草食動物系が最弱で、ゴブリンが他のゲームより少し強く、スライム系が中盤モンスターって感じのゲームだった。
そしてYCOの一番の醍醐味。
コマンド攻撃はある。が、自分で武器を振るえばダメージが入る所だ。ちゃんと力を入れて振らないとダメージが半減したり全く入らなかったり、そもそも攻撃以前に武器がすっぽ抜けたりする。コマンドと違って一定の動作ではなく、自由に動ける。つまり、極論だがプレイヤースキル次第ではコマンド使ってる人たちがパーティ組んでやっとって相手でもノーダメ余裕とかも可能なわけだ。
そーゆーシビアだったりセンスが必要だったり万人向けでない所もあって大作の割には人が少なかったんだと思う。
ジョブの組み合わせとかスキルの組み合わせのパターンとか、そう言うのに拘ってたみたいで、優遇…とは違うが、型にはまらないプレイヤーや、ある一点が飛び抜けて高いプレイヤーにはユニークスキルやユニークジョブが発生した。勿論、掲示板のこれやっときゃ間違いないって言うものをやってても発生する人もいたが、そんな感じで大半のプレイヤーが大体2個のユニークジョブやスキル持ってるし、多いやつなんか半分がユニークジョブ、スキルだったりした。被ったりもしてもはやユニークでも何でも無い。
世界観はこれくらいかな?後は一ヶ月に二回イベントが出てたし、大規模PVPやレイドボスバトルが月一か二で行われたり。意見箱で良いのがあったら次のアプデにねじ込んだり、不具合はすぐ直したり。
タチの悪いPK、MPKするプレイヤー、人としてアウトなプレイヤーは特定して警告からのアカバンするとか、割とアグレッシブな運営だったくらい。
それから、そんなセカイにステータスそのままで行くんだから、俺とキャラの話をしようか。
三人キャラが居るので多分メインキャラになるよな。メインキャラの名前はウノ。イタリア語で1を意味するウーノから取っただけ。メインにしてるジョブは……ユニークジョブのウェポンバトラー、そのまたユニーク上位ジョブの『オブジェクトマスター』だ。名前はそこまでかっこよくない。ステータスも近接職にしては筋力が低め。なんと言うか、平均的なステータスだ。
だけど、武器……というか触れて動かせるもの全部に補正が効き、全ての武器スキルや技が使えると言うかなりいい能力だった。…まあ、他のユニークジョブより若干影が薄いし、比べると微妙って言われたりもするが、それは仕方ない。だって俺が何やっても剣一本で凌ぐやつとかいるし。
そして、ジョブは4つつけれて、付け外しが簡単に出来る(戦闘中や禁止エリアでは出来ない)。
っとそうじゃなくて。俺が普段戦闘に使ってるジョブは『オールドバトラー』。『仙人』。『魔導師』の3つだ。死ぬ前はその『魔導師』を外して『マスタースミス』を付けていた。
一つ一つ簡単な説明をすると、
オールドバトラーはユニークジョブだ。説明だと『戦いを熟知し、敵を熟知するジョブ』だそうだ。これは説明どおり、取ってから戦い方にダメな所があるとダメだとわかるようになったり、相手の攻撃パターン……癖なんかも何試合かすれば分かるジョブだ。
次に仙人。これは準正規ジョブのユニークジョブ『修人』の上位ジョブだ。準正規ジョブっていうのは、発現方法がわかってるユニークジョブのこと。終盤になってくると必須になってくるジョブは全て準正規ジョブになってる。
このジョブは魔力、つまりMPを使わず、隠しゲージの気力というものを消費して打ち出したり、消費せずに気を体に這わせるだけでも身体能力が上がるというかなり強いスキルの取れるジョブだ。ただし、仙人のイメージからか近接職なのに筋力がが低く器用が高いと言う、メインになれないが無ければ困るジョブだ。
次は魔導師だ。これは正規の初期ジョブの魔法使い、その上位ジョブの魔術師にならず、色々やってるとなれる派生上位ジョブと言う奴だ。魔導師は本来の上位ジョブの魔術師より火力は圧倒的に劣るが、詠唱魔法だけではなく、魔導門と呼ばれる刻印魔法、ルーン文字の様な文字魔法、魔道具の作成と言った幅広いことが出来るジョブだ。
因みに魔術師と魔導師の人数は半々位で、魔術師の方は詠唱魔法以外に精霊魔法や魔術なんてのもある。
最後に、鍛治やる時以外入れてないマスタースミス。鍛治師の上位ジョブだ。名前から分かる通り、鍛治に精通してる。…それ以上の説明と言われても鍛治が出来て、その鍛治がかなり音ゲーって事くらいしか無い。
あとはおいおい説明していこうか。
「……説明、ありがとうね。」
「…あ!?いえいえ、こちらこそすみません。」
「メタになるからこれ以上はこのこと言わないけどサ…」
「メタ…?」
わけのわからないことを言ってる……あれ?神様、ちょっと拗ねてる?
「装備とか、持ってたアイテムとかは与えるスキルの中にあるアイテムボックスって言うスキルに入ってるからね。……効果は言わなくても分かるよね?使い方は、アイテムボックスって頭の中で言うだけ。頭の中に表みたいなのが出るから。まんまあのゲームの持ち物欄と同じだよ。」
少し説明が適当になってしまった。
「あ、君の家と家の倉庫に入ってるアイテムはもう転移済みだからね。沢山高価なアイテムがあるけど、あまり市場を壊す様なことはやめてね?あ、ついでだしギルドハウスも、行っとく?」
笑顔、で釘を刺してくる神様。それにギルドハウスもどうかと言われてしまった。ないよりはあるほうが良さそうなので受けることにした。
「ありがとうございます!あ、はい、気をつけます。」
「じゃあ、送るね。…ああ、そうそう、君のサブキャラとサポートキャラも向こうの世界に居るからね!よかったら探してみて。君の設定通りの人物のはずだから。」
「え、はい。えっあっちに居るんですか!?サブキャラのツヴァとユキと、サポートのセイクとユメハ!」
「うん!だから楽しんで生きてね!頑張って。じゃあね…い……の……───」
神様の最後の声は聞こえず、俺は落ちる感覚と共に意識を手放した。
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──『彼』が居なくなった昼も夜もない場所で。
「……いっちゃった。楽しかったな…もっと喋って居たかった…」
靄が溶けた様に消え、彼が神様と言っていたものが姿を現わす。
「……たまに、遊びに行っても良いよね?というか姿みられてないんだし?たまたま出先であって一緒に旅してとか、そしてそしてってきゃー!」
足をバタバタさせ、頬を染め恋する乙女の様なことを言い出す。
「でも声は聞かれてるしな…神って言ったら神だけど姿も声も変えれないし、半人前だし、それに…」
さっきまでのテンションは何処へ行ったのか、どんどん沈んでいく。
「……最後まで、気づいてくれなかったな…いや、気づかなくて当然か。」
膝を抱え、体操座りになって愚痴る。して、その正体はっ
「さっきからうるさい。」
ごめんなさい。
「よろしい。」
そう、彼女の正体は──
「だからバラそうとするなー!こーゆーのは、彼の事を気にかける謎の神様とか、伏線とかで良いの!私がベタ惚れでそれはもうデートからあんなことからそんな事までしたいとか彼と添い遂げれたらとかもう色々考えちゃうけど……ってなに言わせるの!」
はい、素はこんな感じの子です。
「うぅ…はぁ、いいよ。地上に顕現する為に神力封印とか引き継ぎとかしてくる……」
行ってらっしゃいませ。応援してますよ。
「最後にそう言うのズルくないかな!?……まあ、ありがとね」
これが普通の異世界転生系小説と思うなよ!ネタとメタとその他諸々が織りなす、コメディ系だーッ!
……シリアス?ああ、美味しいよね、最近ではフ○グラとかオススメよ。
まあこんな作品ですが
良ければ楽しんで。
──よければ楽しんで。とは言いましたがハードル高くないですかね?
「そんな事ないわよ。こーゆーのはグダる展開とエタに気をつけて、後はほどほどに面白く書ければいいの」
その面白くが難しいんですよ!
「テンプレ+テンプレにテンプレマシマシにしといて最後もおちゃらけて、ここまで素材が揃ってんのに何いってんのよ。書きなさい」
はい。