side:美紗
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部活を終え、家に帰宅した私は、まず四条優希のメアドを連絡帳に登録した。
i.5何て洒落てるなぁ~と思いつつ、確認の意味を込めて送信ボタンを押す。
「届いた?」
「はいはい」
何て簡略的な会話から始まった割にはその後の内容はなんとも濃い会話だった。
約束通り、まず小説を送ってもらった。私は初見今まで見た友人や知人の作品よりも頭一つ飛び出た完成度の高さに驚きを覚えた。
こんなにも文がスラスラと頭の中に入ってくるなんて……!読みやすいったらありゃしない!
四条くんにそれをありのまま伝えると、謙遜した返事が返ってきたが、私はそれでも彼の作品を褒めちぎった。それに加え、私はふと彼がクラスで孤独なのだな。と痛感した。連絡を取り合える友達がいない、だから文化祭などでも困っていたんだな……と。
自分が恥ずかしくなった。なんでこんな困っている人に気付けなかったのかと。
罪滅ぼしというわけではないが私はできるだけ四条くんの力になりたいと思い始めた。
しかしそれは、今思えば簡単なことではなかったと思う。人はなかなか変えられない。
彼の闇は深かったのだ。というかなかなか最初からハードな内容で返信に困った。言葉を選ばなければ、この人は動かないな。そう思った私は持てるだけの力を出して頑張った。
正直、こんなことをしているとその手の道に発展しそうなのが目に見えていたが、それでも彼を救いたかった。放って置けなかった。
そして気がつけば夜中の2時…。
そしてこんなのはまだまだ物語の序盤に過ぎなかったのだ。