side:優希
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俺は家に帰ると高いテンションを納めようと、布団にくるまってごろごろした。
何故テンション高いかと言えば、女子と会話したからである。まともな言葉を交わしてはいないが、久々にあまり知らない女子と会話して興奮が冷めなかった。
二十二時を過ぎた頃、俺は高城に作品を送った。自分の力がまだまだ未熟なことは死ぬほど理解している。下手なんてもう言われまくった。彼女も本を読む人だ。だから、開口一番に下手と言うかもしれない。その時はその時で、もっとうまくなろう思えばいいと考えていた。
時間が少し経過して、読み終えた高城から返信が来た。
『うまっ! 今まで他の人の見てきたけど四条くんのめっちゃうまいよ! すごいね! あとさ、クラスの連絡とかって四条くんには一つも来てないよね? そうだよね? だから、これからは美紗がやっちゃるけん!』
「マジか…………」
俺はいきなり作品を褒められたのにもそうだが、高城が俺に踏み込んできたのにも驚いた。
クラスで誰一人とも関わらず、もはや部外者と言っても過言ではない存在である俺だ。そんな俺に高城は関わろうとしてきたのだ。気分は高揚して。頬は紅葉のように赤くなる。
俺は、よろしく頼みます高城嬢、と敬意と礼を書いてから、また迷走をしだしてしまった。久々に友達(仮)ができてしまったからテンションが急激に上がったせいか、俺は言葉を紡ぎだしていた。
文化祭時力になれなかったことに対する謝罪に始まり、クラスについて、先生について…………俺は高城との会話が楽しくなって、彼女を信用してきて俺はついに語りだしてしまったのだ。
俺の過去に何があったのか。そして、この二年のクラスでの思想と俺の強い自虐を。
高城嬢がどんな答えを返すかはわからなかったが、俺は後先なんて考えていなかった。俺はおそらく理解してもらいたかったんだ。一人でも頑張って生きている存在を。認めてもらいたかったんだ。ちっぽけで不器用で何もできないけどここにいる俺を。
高城は会話の中で、何度も俺のことを凄いと言ってきた。
俺はそんなこと言われる人間じゃないと言いたかったのだろう。高城嬢と通常なら関われない人間であることを。高城嬢より格下で、最底辺の『奈落の底』の住人であると。