side:美紗
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※
「え! ちょ、四条くん!」
嵐の様にサッテイッタ彼と出来事に、一瞬目眩を覚えながらも、私はいつも通りクラスメイトと食事をとることにした。すると、ご飯を一緒に食べていた市間麻衣菜に、
「ちょと! 美紗! 後ろから見てたけど何なにー? めっちゃいい雰囲気だったじゃん! 四条と!」
四条と、と言われると何だか含みを持たせた言い方だが私は至って冷静だった。
「え? 四条くん? うーん『友達になろ』って言われただけだよ?」
と事実を述べた。
「ちょっとちょっとー! そんで返事はどうすんのよー!」
グッと顔を近づけてきた麻衣菜に私は顔を少しずらした。
「へ、返事かそうだね。ちゃんと言わなくちゃね!」
確かに疑問に対して答えを出さなければならないな、と気づいた。善は急げ。私は急いでお弁当の中身をかきこんだ。
「んじゃ、図書室行ってくる~」
ニヤニヤする麻衣菜をよそに私は階段を上る。
四条くん急にどうしたんだろ? 委員会で少し一緒に話している時点で、私的には友達なんだけどなぁ……。
など色々考えている内に五階の図書室に着く。
ガラッと扉を開けると、閉じ込められたはあまり人気もなく、静かな雰囲気だった。
たしか、カウンターの後ろが四条くんの指定席だ。
そちらの方向に目をやると、やはり彼はいた。
トトト……、と歩みを進め、カウンター前に来た。まだ彼は気がついていない。
「どーも! 委員長さん!」
ここではそういったほうがいいかな? と思い少しいたずらっぽく笑う。
すると何か恐ろしいものでも見たかのように彼はリアクションした。
ちょっとオーバーだな四条くん。なんて思いながら返事をしようとした。が、私はふと彼が小説を書いていることを思い出す。その瞬間、私はどうにも彼に親近感が湧き、自然と口が開いていた。
「四条くんって小説書いてるんだよね?」
読みたいなー! 参考にしたいなー! なんて軽い気持ちだったのにまたもや彼はオーバーリアクション。少し拗ねた。
なんだか私、変なこと言ってる?
そんなことを考えながら、同時に、もしかしたら四条くんと私は同じものを持っているかもしれない! という興味と好奇心が湧き、つい「知りたいの、君のことが!」となんとも訳ありな発言をしてしまった。
というかどうせなから毎回現代文のテスト負けてるし、相当本を読んでる彼の文に触れることでも刺激されればいい。そんな思いだった。
あの時までは……。
彼の返事は意外にも「分かりました」の一言。初めてこんなに四条くんと会話したなぁとか考えつつ、私はガラケーの四条くんとメアドを交換した。