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わたし、異世界でも女子高生やってます  作者: 小織 舞(こおり まい)
ノーマルルート
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ルート分岐 4

「コンちゃん! ちょっと、出てきなさいよ! また女の子と遊んでるの? この浮気者! わたしのことお嫁さんに〜とか、言ってる場合じゃないじゃない! とっとと謝りに行け!」


 わたしは叫んだけど、返事はなかった。コンちゃんのこと、「既婚者なのにわたしをお嫁さんにするとか、冗談キツ〜イ」って思ってたけど、未遂じゃなくてキッチリ浮気済みじゃん! 許さんぞ!


「アスナ、今のどういう意味……」

「気にしないで!」

「気になるんですけど〜」

「忘れて!」


 こうなったら別の手段だけど……どっちも最近助けてもらいすぎだから、これはとりあえず保留で! 他のことも整理しておこう。


「それで、話の続きを聞かせてもらえる、キャンディ」

「ええ。ジェロニモさんの村が見つかって、その村の人たちが海のことや船のことを教えてくれているわ。少しでも早く、陛下を救出しに行けるように協力してくれているの」

「それから驚きなんですけど、なんと、先代の国王陛下が生きてたんですよ〜!」

「こら、ミッチェン! それは(わたくし)がアスナに教えようとしていた情報なのに!」

「早い者勝ちですよ〜、だ。そうそう、狂犬、もといドーナツさんの父親も見つかりましたよ〜」

「そう、よかった!」

「あれ、驚きませんね〜?」


 まぁ、もしかしたらと思ってたし。でも、生きててくれて良かった! ドーナツさん、喜んだろうなぁ〜。それに、ジャムも……早く知らせてあげたい。


「先代陛下がお戻りになったので、政治の混乱も、魔力の供給も表面上は収まったわ。でも、やっぱり魔力は少し不足気味だから、無駄遣いは抑えて、魔力の多い民間人には引き続き協力をお願いしているところよ」

「わたしもそれがいいと思う。魔力に頼った機械と、普通の手仕事と、半々にできれば暮らしやすいんじゃないかなぁって。風の膜の外は、まだ、魔力に乏しいから……」


 ギースレイヴンの兵器工場は止まったとはいえ、蒸気機関車もあるみたいだし、大気汚染のことは気に留めなくちゃいけないよね。これはちゃんと教えておいてあげないと……。


「あのね、アスナ。他にもひとつ、言っておかなきゃいけないことがあるのだけど……」

「うん、なに?」

「実は……アルクレオ先生が、倒れてしまって……」

「えっ!?」

「結界の……風の膜の外に出たときに。それから、ずっと、意識不明なの」

「そ、そんな! 先生が!?」


 信じられない……!


「今、どうしてるの……」

「…………」

「キャンディ!」

「……まだ、諦めてないわ。(わたくし)からは、そうとしか……」


 わたしが急にいなくなって、心配をかけたと思ってたら、まさか先生が倒れちゃうなんて……。どうしよう、どんな状態なの? 今から行ったら、迷惑かな……。


 わたしは……


▶明日、お見舞いに行こう

▷今すぐ先生に会いたい





 明日、お見舞いに行こうと思った。

 ゼリーさんに向けて、伝書機にメッセージを入れて飛ばす。着く時間を先に教えておけば、きっと会わせてくれるはずだよね。


「わたしにできることがあればいいんだけど……」

「あの、アスナさん。僕もついていっていい? どんな状態か見てみたいって、カロンが言ってるんだ」

「マカロンさんが?」


 先生が意識不明に陥っていることに関しては、きっと色んなひとがすでに調べてくれている。でも、そこに精霊であるマカロンさんが加わってくれるなら、それはとても心強い。やったね!


「ありがとう、アイスくん。マカロンさんにもありがとうって伝えて。それじゃあ、先生のところには明日一緒に行くとして、どうやって行こう」

「馬車を手配しておくわ。もちろん、(わたくし)も行くわよ」

「ボクも行きます〜」


 わたし、アイスくん、キャンディ、蜂蜜くんの四人でお見舞いに行くことが決まった。


「次はアスナのことを教えてもらわないと」

「それと、そこの彼をどこに泊めるかもですね〜。考えないと〜」

「えっ?」

「だって彼、ギースレイヴンから来たんですよね?」


 あっ、そういうの、もうバレてるんだ。


「アスナさんにはキャンディスさんの部屋で寝てもらって、彼にボクと同じ部屋で寝てもらいましょうか。あ、窓から入ってもらいますよ? もちろん、できますよねぇ? さぁ、可愛い女の子にしてあげましょう」

「えっ、あっ、や……あ、アスナさぁん!」


 アイスくんは蜂蜜くんに引きずられて行ってしまった……。


「げ〜、蜜ちゃんめっちゃ怒ってるよぉ……」

「仕方がないわよ。貴女が何も言わずにいなくなったとき、彼は別の場所にいたんだもの。あの部屋を見て、まず真っ先に誘拐を考えたわ。だって荷造りした鞄はそのまま、しかも伝書機も持たずに出かけるなんてあり得ないでしょう? しかも、靴もなしに……」

「うん……急だったから……」


 ずばり誘拐されてたんだけどね!


「書き置きもメッセージもなし、それに飛ばした伝書機は帰ってこないし。お兄様と同じように連れ去られたんじゃないかって、皆考えていたわ。今日、貴女の姿を見て、どんなにホッとしたか……」

「キャンディ」

「それと同時にあの男の子を見て、またギースレイヴンの仕業だとわかって頭に来たわ。もちろん、ミッチェンもよ。決まってるでしょう?」

「あはは……」

「それで、今度はどんなひどい目にあわされたの……。もう、大丈夫だからね……!」


 わたしはキャンディに抱きしめられていた。お胸が苦しいんですけどぉ! でも、悪い気は、しないかな……。


「ありがとう、キャンディ。また話を聞いてくれる? キャンディのパパやお城の人に、どこまで話したらいいかわかんないから、キャンディの意見が聞きたいの」

「ええ、もちろんよ。この先は、(わたくし)の部屋に行ってからにしましょう。さ、テーブルを片付けるわよ」

「は〜い」

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