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わたし、異世界でも女子高生やってます  作者: 小織 舞(こおり まい)
ノーマルルート
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このイケオジはどなた!?

 お城の入口に立つと、顔パスで中に通された。ジャムに会いたいって言ったら、赤い制服の門番さんたちは顔を見合わせて困った顔をした。こんなこと初めてじゃない?


「ひとまず、こちらでお待ちいただけますか?」

「急いでるのよ。あんまり待たされたら、自分で探しに行っちゃうから」

「最高責任者に、アスナ様のお越しを知らせて参ります。その後でお迎えに参ります」

「そんなことせずに、そのまま連れて行ってくれたらいいんじゃない?」

「会議中でございますので。お知らせしてからアスナ様をお連れしたほうが、話が早いかと存じます」

「そういうことなら、お願いします」


 わたしの答えににっこり笑って、門番さんは走っていった。すごいスピードだ。


「いきなり城に来て自分から会わせろと無茶を言うとはな……」

「だって、ホントに急いでるんだもん。それなのにここで待たされてあげてるんだよ? 会議の邪魔したらもっと時間がかかると思ったからだけどさ。……それにしても、気になることがひとつ」

「ああ。最高責任者と言っていたな」

「もしかして……ジャムまでいないのかなぁ」

「……それは、とんでもないことじゃないのか」

「うん……とんでもないことが、起こってるんだと思う」


 しばらくして、またすごいスピードで門番さんが走ってきた。部屋の手前で急ブレーキをかけて、わたしのほうへ歩いてくる。わたしたちは立ち上がった。


「お待たせいたしました、アスナ様。ご案内いたします」

「ありがとうございます。ところで、国王陛下と宰相……なんだっけ、閣下? 閣下はいる?」

「申し訳ございません。私はご説明差し上げられる立場ではございませんので」

「そっか」


 疑惑が確信に変わっちゃう~~。

 どこ行っちゃったの、ジャム!? まさか隣の国と決着つけにシャリさんとふたりだけで突撃したんじゃないよね!? 違うって言って!


 通されたのは知らない部屋だった。会議室っていうのが実にしっくりくる。

 長机を五十人くらいのおじさまたちが囲んでいる。座ってる人もいれば、立ってる人もいるし、怒ってたり悩んでたりしている人もいた。でも、ドアが開いたとたんにシーンとなって、みんながわたしたちのほうを見た。


「国王陛下の婚約者候補のアスナ様のお越しです」


 うえっ!?

 そういう紹介されちゃうわけ!?


 わたしが恥ずかしさに赤面していると、会議をしている大人の中からひとり、わたしたちのほうへ進み出てきた。マホガニーみたいな深い色の髪をオールバックにした、眼鏡の男性。いくつかな、四十くらい? 眉間に刻まれた皺が厳しさを感じさせる、素敵なおじさまだった。


「初めてお会いする。私はシュークレール・ギズヴァイン、この緊急会議の議長を務めている。よろしくお願いする、アスナ殿」


 声まで素敵!

 やだ……超かっこいいどうしよ……!


 って、そんなこと言ってる場合じゃない!

 もったいないけど!


「はじめまして。わたしは異世界から来たアスナです。結界が消えてしまったのを見てすぐここへ来ました。結界がなくなって、魔力もほとんど出ていってしまいました」

「そうか、結界が消えたのを感じたのだな」

「はい。それで、お願いがあるんです。魔工機械を今すぐ止めてください。残り少なくなってしまった魔力じゃ維持できません。病院とか、どうしても必要な場所にだけ魔力を送ってほしいんです」

「うむ、その通りだ。だから、すでにそのようにしてある。ここの明かりは我らの魔力であがなったものだ」

「よかった!」


 安心した!

 わたしが心配しなくても、この国のために行動してくれるひとがちゃんといたんだ!


「じゃあ、わたしにできることはないですね。陛下のことは気になるけど……わたし、帰ります。落ち着いたら、陛下の方からわたしに伝言がくるはずなので」

「それなのだが……」


 やだ、憂い顔も素敵……。

 わたしがキュンと胸をときめかせているところへ、もうひとりの男性が進み出てきた。


「はじめまして、私はアガレット・アーシェイ。魔力省の大臣をしている者だよ。君さえよければ、帰る前に魔力球に触れて魔力を補充していってくれないかな?」


 年齢は三十過ぎくらいかしら、こっちはエメラルドグリーンのキリッとした目許と優し気な口許が素敵なおじさま。真っ白な綿菓子みたいな髪の毛をうなじでひとつにまとめている。キャンディとソックリ!


「殿下……」

「君たちは会議を続けてくれたまえ。私は彼女を送っていく。さぁ、アスナくん、こちらへ」

「は~い」


 おっといけない、ついつい声がはずんじゃう!

 なんかゼリーさんがすごい目で見てるけど無視無視!


 キャンディのパパについていってる間、自分のステータスを確かめる。魔力の欄は……うわ、1に戻ってるや。この1/100(%)ってさ、100パーセント中、何パーセント回復してるかって意味だったんだね……。


 やっぱ結界の外に出たせいで減っちゃったんだなぁ。

 こんなので役に立てるかな?


「あの、アーシェイさん」

「アガレットでいいよ。なんだい、アスナくん」

「アガレットさん、わたし、あんまり魔力残ってないみたいなんです。お役に立てるかわかりません」

「そうなのかい? でも、私の見立てでは、ギズヴァイン卿の魔力の最大値と同じ程度はあるみたいだよ。倒れるまで無理しなくていいから、少し分けてもらってもいいかな?」

「もちろんです!」


 そうそう、さっきの渋い眼鏡のおじさまは、たぶんエクレア先生のお父さんなんだよね。ジャムの言ってたギズヴァイン卿って、先生のことじゃなかったんだ~。議長を務めてるってことは、偉い人なんだね!


「陛下から魔力球については聞いているかな?」

「はい。ジャム、じゃなかった。陛下が毎朝、お城の中枢にある魔力球に、この国全体で使う魔力をこめてるんだって。そう聞きました」

「そうか。今朝も、陛下が魔力球に触れて補充してくださったから、今日一日は乗り切れるはずなんだ。けど、結界が壊れてしまったからね……逃げてしまった魔力のことが不安だよ」


 それはソーダさんが何とかしてくれたけど……言うべきかな?

 お父さんズが出てきました。

 ギズヴァイン家はエクレア先生のおうち。

 アーシェイ家はキャンディのおうちです。キャンディパパは殿下と呼ばれちゃってますが…!?

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