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わたし、異世界でも女子高生やってます  作者: 小織 舞(こおり まい)
ルート:アルクレオ
211/280

ステータスとお誘いと

 朝、目が覚めるとキャンディはまだグッスリだった。

 そっとベッドを抜け出して、洗面所に向かう。朝の支度をしながら、わたしはステータスをチェックすることにした。





‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

【名前】久坂 明日菜

【性別】女

【年齢】17

【所属】日本

【職業】女子高生

【適性】※※※

【技能】お菓子づくり

【属性】ツッコミ

【魔力】80/100(%)

【備考】シャリアディースによって連れてこられた


 ☆ ☆

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥





 よかった!

 ギースレイヴンで奴隷にされてたときに変化してたステータスは元に戻ってる! それに、魔力も思ったより高くないや。


 この状態で魔力球に魔力を込めたら、どのくらい数値が下がるかが大事だよね。


 この寮の魔工機械に魔力をチャージして、それから学園の入口にある魔力球にもめいっぱい入れたら、半分くらいに減ってくれないかなぁ。


 あ、でも、ジルヴェストにいる間はわたしの魔力ってちっとも回復しなかったから、今使いすぎたら逆に必要なときに残ってなかったりして?


 それとも、シャリアディースの結界がなくなったから、ジルヴェストでも魔力は回復するのかなぁ? ……ダメだ、わからないことだらけで、予想がなんにも立てられない!


 こういうことも、先生に相談したら何かいい案もらえないかな。

 と、そんなところでつい、イタズラ心が顔を出す。


 ……先生のステータス、ちょっとだけ、見ちゃおうかな。って。

 だってほら、体調とか気になるしぃ。


 ……ちょっとだけ、ね?





◎エクレア先生

挿絵(By みてみん)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

【名前】アルクレオ・ギズヴァイン

【性別】男

【年齢】18

【所属】ジルヴェスト国

【職業】宮廷規律師範

【適性】教師

【技能】◆この項目は隠蔽シールされています◆

【属性】真面目

【備考】結界のことを知らなかった・双子の弟(カーリー先生)がいる


 ☆ ★ ★


☆『双子の弟と仲が悪い』

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥





 やった、白い星が増えてる……と、思ったら、中身……。

 う~~ん! わたしから見たら、カーリー先生はエクレア先生のこと、嫌ってないように見えるし、どうしてそんなに仲が悪いのかわからないよ!


 でも実際、ギースレイヴンに拐われる前、ゼリーさんの村に行こうって計画してたときもふたりは何だかギスギスした空気を漂わせていたよね……。あのときは確か、お祖父さんについての話題が上っていたような……?


 エクレア先生のこともカーリー先生のことも好きだから、できれば仲直りしてほしい。

 けど、それってもしかして、余計なお世話だったりするのかな……。


 っていうか、ひとつめの星ですでにわたしの心がツラいんだけど、ふたつめ、みっつめになると、いったい何が書かれているんだろう。


「ちょっと、怖いな……」

「何が怖いの?」

「びゃっ!? キャンディ! お、おはよ!」

「おはようございます。もう支度は終わった?」

「お、終わった! どうぞ!」


 後ろから声をかけられて、ついつい挙動不審になってしまった!

 あれだ、心にやましいトコロがあったからいけないんだ、うん。


 洗面台を譲ると、キャンディは首を傾げながらも身支度を始めた。わたしも制服に着替えなくちゃ。

 今日の朝ごはんは何かな~とぉ!


 いそいそと食堂に向かって、温かい朝食を美味しくいただく。アガサさんのために魔力もチャージして、皆そろって登校。……蜂蜜くんがいないことに、ちょっと……ううん、かなり寂しく感じた。


「あら。あれは……」

「ん? あ、先生!」


 学園の門を抜けて校舎に向かって歩いていると、キャンディがあることに気がついた。正面玄関に人だかりができている。その中にはエクレア先生とゼリーさん、それと……キャンディのパパ!


「やぁ、アスナくん。おはよう」


 サッと手を上げて眩しい笑顔でわたしに挨拶してくれたのは、キャンディのパパのアガレットさん。見た目はキャンディとソックリで、エメラルドグリーンのキリッとした目許と優し気な口許が素敵なの。


 魔力なんとか省の大臣さんだから、この国でも上から数えたほうが早いくらい、偉い。そんな偉いひとなのに、わたしたち学園の生徒から魔力を集めなくちゃいけなくなったときには、自分で足を運んで、直接話をしてくれたんだよね。


 わたしが元の世界に帰るために、協力してくれるって言ってくれた、数少ないひとでもある。


 わたしはまず、挨拶してくれたアガレットさんに挨拶を返した。


「おはようございます、アガレットさん」

「顔色はいいね。戻ってきたという報せを聞いて安心はしていたけど、実際にこうして様子を確かめられてよかったよ」

「ご心配をおかけしてしまって、すみません。ありがとうございます」

「いやいや」


 アガレットさんは自分の顔の前で手を振って笑う。

 それにしても、きっと用事があってここに来たんだよね? さっきからキャンディの顔が怖いし、心なしかエクレア先生の表情も厳しい。ゼリーさんは……いつもの無表情だけど。


 それに、周りの生徒たちがどんどん遠巻きになっていってて、何だかわたしが事件の中心みたいになってしまってる。チョコやキャラメルもいつの間にかいないし!


 キョロキョロ見回してふたりを見つけたわたしは、こっちに戻ってこいと手招きした。でも、ふたりとも勢いよく首を横に振って断固拒否の姿勢だ。薄情者〜!


「それでね、本題なんだけど、今日はアスナちゃんに協力してほしいことがあって来たんだ。それについては、詳しくは王宮で話したい。一緒に来てくれるかな?」


 アガレットさんの言葉に、わたしより先にエクレア先生か反応していた。


「失礼ですが、アーシェイ殿下、それはどうかご遠慮いただきたいのです。今のアスナさんにとっては、日常にまず戻ってくることが大切です。ご事情はお察し申し上げますが、ほんの少し猶予をいただけませんか」

「ギズヴァイン先生、まさか貴方が反対の立場に回られるとは……。これが国王陛下からの要請だと知っても、貴方は同じ返答をされるのかな?」


 先生が息を飲む。

 わたしもビックリしていた。


「ジャムが戻ってきたの!?」


 国王陛下ってことは、ジャムだよね!

 それなのに、わたしの言葉に、アガレットさんだけじゃなくてキャンディやエクレア先生も固まってしまった。


「やれやれ……。そうか、そうだよね……」


 アガレットさんがどうしたものかと言いたげに首を振る。

 なんか……嫌な態度。


 嬉しい報せのハズなのに、心にすきま風が吹いた気がした。

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