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わたし、異世界でも女子高生やってます  作者: 小織 舞(こおり まい)
ルート:オールィド
186/280

捜索は収穫なし!

 わたしたちは王子さまにもらった地図を見ながら、王都に向かって出発することになった。ギースレイヴンのこの辺りは、お城と駅以外にはお店も何もなくて、必要なものを買い足すこともできなくてビックリ。


 駅も、本当にただ人や荷物を揚げ下ろしするだけのもので、賑わいとかそういったものは感じられなかった。


 駅には蒸気機関車が停まっていて、話によると、王都イーシャムまでは五時間もかかるらしい。途中の駅でも停まることはあるって話だから、カップで行くわたしたちも、お昼ごはんを食べる場所くらいは見つけられそう。


 だとしても、さっさと王都に向かわないと、丸一日移動することになっちゃう。それはちょっと嫌だ。


 王都までの景色は代わり映えのしない荒野ばっかりで、目印もないし埃っぽいしでオルさんもちょっと困っていた。


「これは……思ったより、ツラい旅になりそうだな」

「気がついたら方向間違えてどこにも辿りつけなさそう」

「それは困るなぁ」

「あ、あと、運転中に眠くなりそう!」

「じゃあ、アスナが何か話してくれよ。そしたら、起きてられるからさ」

「えっ。じゃあ、どんな話にしようかな」


 わたしは、この世界に来るまでの日本での暮らしについてや、友達のこと、家族のことを思いつくままに話した。とりとめなくなっちゃったけど、オルさんは気にせず楽しそうに聞いてくれた。


「アスナもひとりっ子なんだな」

「うん。昔は兄弟がいる子がうらやましかったな〜」

「俺も!」


 会話もはずんで楽しい旅をしながらも、やっぱり休憩は必要だった。お昼が近くなったとき、ちょうど街が見えてきたこともあって、そこでゆっくりすることにした。


 と言っても、カップを盗られたり壊されたりしたらいけないから、ふたりとも離れるわけにはいかなかったけど。


「それじゃ、カップの番、頼むな。いざとなったら空に逃げるとか、少し離れたところへ行ってくれ」

「うん、任せて!」


 オルさんはお昼ごはんとかの買い出しに出かけていった。

 お金とかどうするんだろうって気になったけど、そこはあの小さな王子さまがちゃんと考えてくれてたみたい。オルさんは「大丈夫」って言って、新しいカバンをポンポン叩いた。


「わたしも行きたかったけど、しょうがないよね……」


 オルさんが行ってしまってひとりになったわたしは、この時間を利用して、自分のステータスを確認しておくことにした。





‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

【名前】久坂 明日菜

【性別】女

【年齢】17

【所属】日本

【職業】女子高生

【適性】※※※

【技能】お菓子づくり

【属性】ツッコミ

【魔力】38/100(%)

【備考】シャリアディースによって連れてこられた・精霊になりそう

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥





 わぁ、魔力がけっこう回復してる!

 ……今までジルヴェストにいて、ちっとも回復しなかったのに、なんで? それに、一回結界の外に出て、そのときは回復しなかったのに、今回はどうして?


 何か条件があるのかもしれないけど、よくわかんないや。

 ただ、このまま行くと、かなり早く魔力が満タンになっちゃいそうってことはわかる。ギースレイヴンに留まるうちは、全快しないって聞いてはいるけど……不安!


 あと、オルさんのステータスも確かめておこうかな。

 あれから色々発見があったし、オルさんの持ってる剣についても、勘違いしてたことを修正しておかないと。





◎ドーナツさん

挿絵(By みてみん)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

【名前】オールィド・ドゥーンナッツ

【性別】男

【年齢】20

【所属】ジルヴェスト国

【職業】宮廷騎士(若枝)

【適性】狂戦士

【技能】《馬術》《剣術》《交渉術》《護る者》

【属性】犬

【備考】ジャムの味方・精霊を引き寄せる剣・お父さんは無事だったけど仲が悪そう


 ☆ ☆ ☆


☆『五年前に父親が先王と共に旅先で消息を絶った』

☆『父親や他の騎士たちとの間に軋轢がある』

☆『精霊殺しの持ち主』

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥





 わぁ!

 何か色々変わってる!


 星のマークがぜんぶ白に変わってるのもビックリしたけど、オルさんの持ってる剣が『精霊殺し』なのにもビックリだよ。こんな剣持ってたら、危険すぎて精霊たち近づいてこないんじゃないの? あ、でも、引き寄せるって言うからには寄ってくるのか。


 どうしてこんな剣があるのか、どうしてオルさんのお父さんが持っていたのか、その理由はわからない。


 ただ、この剣を使わずにすめばいいなって思う。

 だって、精霊を殺すなんて嫌だもん。


 ううん、精霊だけじゃない。誰も傷つけてほしくなんかない。

 オルさんが強いのは、もちろん知ってるけど……でも……。


 オルさんの適性は狂戦士、つまり、狂ったように戦うひとってことでしょう? そんなの、怖い。オルさんの方が傷ついてしまうよ、きっと。身体も、心も。


 オルさんには笑っていてほしい。

 そのためには、ジャムを見つけて、無事に皆で帰らないとね!


 そう、決意したのは良かったけど、王都についたその日には手がかりは見つけられなかった。ホテルに帰ってきたときにはもうクタクタで、せっかくの豪華なディナーもあまりよく味わえなかった。


「アスナ、大丈夫か?」

「うん……今日は、もう、お風呂に入って寝る……」

「わかった。何かあったら壁を叩いてくれよな。すぐに駆けつけるから」

「うん……」


 わたしは、半分寝そうになりながらお風呂に入った。

 いい匂いのするボディソープやジャンプーが嬉しい。なんだろうコレ、お花の香り? 体と頭を洗って、ドライヤーで髪を乾かして、備え付けのローションとミルクでスキンケアしてから寝る。


 ふかふかの枕がとっても気持ちよかった。

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