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わたし、異世界でも女子高生やってます  作者: 小織 舞(こおり まい)
ルート:オールィド
178/280

分岐点 6

 わたしが連れて行かれたのは、さっきまでの牢屋じゃなかった。お城の中の部屋で、絨毯が敷かれてて、ベッドだけじゃなくて色んな家具が置かれている。


「逃げようとするんじゃないぞ」


 お風呂場へ運ばれて、縄をほどかれた。

 ふぅ。痛かった! 縛られた手首がこすれて、ちょっと赤くなっちゃってる。


 男のひとは出ていって、代わりに女のひとが入ってきた。


「今からお湯を溜めますから、先に足の汚れを落としてください。着替えも用意しておきます。トイレはここを出て隣のドアですよ。……外から鍵をかけますから、逃げられません。自分を傷つけたり、変なことは考えないように。じゃないと、すべて監視することになりますよ」

「はい」


 自殺を警戒されてるのかな。

 ずっと見張られるのは嫌だよ〜!


 でも、お風呂上がりの夕飯も、その後も、わたしは部屋にひとりきりにしておいてもらえた。


 そして夜遅く、ベッドに横になっていたわたしへ、ささやき声が聞こえた。


「アスナさん、起きてる?」

「アイスくん……! よかった、来てくれたんだ!」


 わたしはすぐさま起き上がって、やっぱりささやき声でアイスくんに応えた。


 久しぶりに見たアイスくんは、なんだか申し訳なさそうな表情をしていた。そっか、前回別れたときは、ギースレイヴンの奴隷の人たちに裏切られて、閉じ込められたときだったもんね。


「あの、その……あのときは……」

「アイスくん、助けに来てくれてありがとう」

「あっ、ううん、そんな……」

「あの後、アイスくんも助けられたって聞いてホッとしたの。また、会えてよかった」


 アイスくんは首を横に振って、わたしに謝ってきた。


「あのときは、本当にごめんなさい! アスナさんを危険な目にあわせるつもりなんか、なかったんだ……。まさか、あのひとたちが、あんなことをするなんて思ってなかった」

「うん」

「またこの国に来ちゃうなんて、不安だったよね……。来るのが遅くなって、ごめん。でもよかった、まだ首輪も嵌められてなくて。すぐにここから逃げよう!」


 首輪……?

 そっか、ここのひとたちは全員、首輪を嵌められてるせいで言うことを聞かされてるんだっけ。あの王子さま、わたしには首輪を嵌めなかった。


「ホントだ! そういえば、わたし、嵌められてない! アイスくん、首輪は? あっ、その首の、傷……!」

「外したんだ。無理やり。色んな方法を試したんだけど、内側に血を流し込むことで外れたよ。傷は、火の精霊であるジフ・オンが焼いてくれたから……」

「や、焼く!? それ、火傷なの!?」

「あ、アスナさん、声が大きい……」

「ごめん」


 わたしは慌てて口を塞いだ。

 でも、遅かった!


「女、誰と話してる!」

「あっ、ヤバ……」


 ドアが開いて、王子さまが現れた。

 見開いたオレンジ色の瞳が、まるで燃えているみたい。


「アイスシューク!」

「あっ……殿下……」


 王子さまはサッとこっちに左手を向けてきた。

 アイスくんの体が強張る。


 いけない……!

 早く逃げなくちゃ!


 でも、それには時間が……

 わたしは……


▶【アイスくんにお願いする】

▷【アイスくんだけ逃がす】


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