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わたし、異世界でも女子高生やってます  作者: 小織 舞(こおり まい)
ルート:オールィド
175/280

分岐点 5

 わたしたちは弾き飛ばされた。

 オルさんに抱きしめられた後の記憶は曖昧で、一体どこまで飛ばされたのか、気づいたときには浜辺ですらない乾いた地面に投げ出されていた。


「う……。いたた……オルさん……?」


 思い切り体を回転させた後みたいにフラフラする頭。どうにか目を開けて周りを見回すと、横倒しになったカップと、うつ伏せで動かないオルさんの姿が見えた。


「オルさん……!」


 駆け寄りたい気持ちとは反対に、体は重くて手を伸ばすことすらノロノロとしかできない。もどかしさについ、涙があふれる。


 体の痛みより気持ち悪さより、グッタリして動かないオルさんの様子を、早く確かめたいのに……!


 そんなわたしの体を、誰かの手が掴んで引っ張り起こした。


「だ、誰……?」


 それはひとりじゃなかった。

 全体的に薄汚れた、やせ細った人たち……その首には痛々しい頑丈な輪が嵌められている。ギースレイヴンの、奴隷たち!


「あっ! や、やめて! 離して!」


 彼らは何も言わず、わたしの体を担ぎ上げた。そして、オルさんの方にも何人かがしゃがみこんでいる。もしかして、治療してくれるのかもしれない……でも、わたしだけが運ばれていく。


「やめて! 戻って、お願い……!」


 離れ離れになりたくない!

 連れて行くなら、一緒に連れて行って!


 でも、わたしの抗議は無視された。

 肩に担がれ、連れて行かれながら、わたしは倒れたままのオルさんに向かって叫んだ。


「オルさん! オルさーーん!」

「黙らせろ」

「っ!?」


 お腹に痛みを感じた後、そこでわたしの記憶は途切れてしまった。





 次に気がついたとき、わたしは牢屋みたいな場所に閉じ込められていた。というか、本当に牢屋だ、ここ。


 板でできたドアとレンガでできた壁。ドアの反対側の壁には上の方に、窓じゃなくてただの穴があって、そこに鉄格子がはまっている。


 わたしは慌てて自分の着ているものや持ち物をチェックした。泊まる準備をしてきたリュックサックはなかったけど、オルさんからもらったマナの実と、伝書機は取り上げられずにちゃんとあった。


 伝書機があるなら、飛ばせられる!

 でも、誰に助けを求めるべき?


 オルさん、それとも……他の誰か?

 まずは、ソーダさんを呼んでみることにした。ガラスが嵌っていない窓なら、きっと助けに来てくれるはず。


 でも、ドアの外に見張りがいたら……。


 わたしは小さな声でソーダさんに呼びかけた。でも、返事がない。不安が押し寄せてくる。


「どうしよう……」


 とにかく、わたしがここにいるってことを誰かに知らせなきゃいけない。ギースレイヴンにいて、しかも奴隷のひとたちに捕まってるってことは、あの王子のところへ連れて行かれるかもしれない。


 そうなったら、わたし、血と心臓を取られちゃう!


 伝書機はひとつだけ……つまり、誰かひとりにしか助けを求められない。なら、誰に助けてもらおう。


 やっぱりオルさんかな。

 それとも、精霊に力を借りられるアイスくんかな……。


 オルさんが無事かどうかは……、わからない。

 でも、きっと大丈夫だって信じたい。オルさんにこの伝書機が渡れば、返事も来るかもしれない。


 アイスくんの方は、どこにいて何をしてるのかわからない。でも、ソーダさんはあのギースレイヴンの奴隷たちのいた村からは助けたって言ってた。きっとどこかで無事でいると思う。


 わたしはどっちに伝書機を送るべきかな。


▶【オルさんに送る】

▷【アイスくんに送る】

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