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わたし、異世界でも女子高生やってます  作者: 小織 舞(こおり まい)
ルート:アイスシューク
129/280

爆弾発言!

 なんていうかね、もうね、ギターの音を聞いたときに気づいてなきゃいけなかったんだよ。うん。


「ソーダさん! ここで何してるの!?」

「やぁ、人間ちゃん。久しぶり〜」

「アスナです!」


 わたしの名前、忘れられてるし!

 地味にショックなんだけど……。いや、それよりも、ソーダさんには聞きたいことがあったんだよ。


 ジルヴェストの風の膜がなくなっちゃって聞いたとき、最初は「どういうことなの!?」って怒っちゃったんだけど、よくよく考えたらソーダさんにはそれを維持する義務がないことに気がついたんだよね。


 風の精霊であるソーダさんには、ジルヴェストをどうしても守らなきゃいけないって理由がないもんね。たとえ、ゼリーさんと知り合いだったとしても、さ。


 それに、風の膜は結界とは別物なわけだし、お願いしたからやってくれたけど、実際には魔力が持たなかったのかもしれない。だから……。


「ねぇ、ソーダさん、どうして風の膜なくなっちゃったの? やっぱり無理だった……?」

「無理というか、何と言うか。あげちゃったからなぁ〜」

「あげちゃったって、風の膜を? 誰に?」


 そんなに簡単にあげたりできるものなの?

 っていうか、本当にどういうこと?


 ソーダさんは「う〜ん」て唸ってる。これはきちんと聞いておかないと!


「ねぇ、教えて。誰にあげちゃったの?」

「ジェロニモに、さ」

「ゼリーさんに? 何か、あったの……?」


 ゼリーさんはシャリアディースと何かの契約をしていたんだったよね。そのせいであの銀シャリの命令に逆らえなかった……なんか、アイスくんと境遇がダブるなぁ。


 でも、シャリはもういないし、そんな契約、解除なんじゃないのかな? それとも、べつのことで困ってたのかな。


「ジェロニモの友だちが死にかかっていたんだ。シャリアディースの呪いによってね。寝たきりになってしまって、もう死ぬしかない状態だった」

「それって……!」


 もしかして、エクレア先生のことじゃない!?

 ソーダさんに確かめたら、見た目はエクレア先生とソックリだった。じゃあ、きっと先生だよ……。


 シャリアディースの呪いで寝たきりって、ジャムと同じ症状だったってことかな。

 ついさっき、お昼ごはんの前にジャムを起こして連れて帰ったところだよ! じゃあ、エクレア先生は、わたしがアイスくんの隠れ家にお邪魔してからすぐ倒れたのかな……?


 ああ、だからゼリーさんは、ソーダさんに頼んで先生のために魔力を使ってもらったんだ! 


「先生は、もう大丈夫?」

「ああ、心配ないよ。でも、それってほら、本来なら私の役目じゃないからね。その友だちが傷つかないように頑張って魔力を渡したら、こっちがフラフラになっちゃってさ。仕事もあるし、ブラブラしながら魔力を回復していたら、いつの間にかここにいたのさ!」


 いや、言ってる意味がわかんない。

 いつの間にかで魔力がない国に来たら、意味ないんじゃないの? 魔力を回復させたかったんだよね?


「まぁ、それはそれ。これはこれだよ」

「絶対違うと思う」


 ソーダさんは「は〜、わかってないな〜」って感じで肩をすくめて、またギターを弾き始めた。う〜ん、殴りたい。


 それにしても……色んなことがたくさん起こって、頭がパンクしそうなんだけど! わたしがジルヴェストを抜け出したのって、昨日の朝じゃん!


 そのときにはまだ、風の膜はあったのになぁ……。

 わたしがアイスくんの家で倒れて、朝目が覚めてシャーベットさんのところへ。ジャムを拾って帰ったら風の膜が消えてて、まるでわたしが悪いみたいに言われてて……。


「たった一日でこんなに違うなんて……。わたし、つい昨日は、マリエ・プティで女子高生やってたのにね」


 ちょっとしんみりしていたら、アイスくんが言いにくそうにわたしの名前を呼んだ。


「アスナさん……あの……。アスナさん、昨日は丸一日寝てて……だから、その……」

「へ?」

「アスナさんが僕の家に来たのは、昨日じゃなくて、一昨日……」

「ええっ、そんなのわたし、聞いてないよ〜!」

「ごめん……言い忘れてた……」


 ショック!

 わたし、二日もお風呂入ってなかったんだ!!


「あ……そこは、ジフが体を拭いてくれたから……」

「そんなのなおさら教えておいてもらわないと! シフォンさん、ありがとう〜〜!」

「いいよ。気にしないで」


 シフォンさんには、お世話になりっぱなしだよ〜〜〜!


「シフォンさん、わたしにできることがあったら何でも言ってね! 何か恩返ししたいよ〜!」

「その気持ちだけでも、私は嬉しいよ。それじゃ、何か考えておこうかな」


 シフォンさんはニッコリ笑った。

 それから、わたしたちはキャラバンのひとたちに挨拶をして帰ることにした。キャラバンのひとたちはここで一泊して、それから買い物して帰る予定なんだって。


 女の子を助けたお礼にってチーズをもらっちゃった。ちょっと遊ぶだけのつもりでキャラバンを離れたところを、チンピラに目をつけられちゃったみたい。大人たちはまずはってことで馬車の中を探してたって言うから、危うく間に合わないところだったね。


「もう、ママから離れないよ!」

「うん。それがいいと思う。そうでなくても、大人や、お兄さんお姉さんと一緒にいてね」

「うん! ありがとう、おねえちゃん!」


 チンピラに追いかけられたりしたけど、心に傷が残るような怖い思い出にはならなかったみたい。よかった。これもアイスくんのおかげだね!


 さてと、わたしたちはもう買い物も終わったし、やり残したことはないよね。


「そうだ、ソーダさんも一緒に来る? 魔力を回復するなら、コンちゃんの掘った隠れ家はちょうどいいと思うよ」

「ええっ、なんだか悪いなぁ〜」

「アイスくんも、大丈夫だよね?」

「もちろん。ソダールがいいなら」

「新婚さんのお家にやっかいになるのは気が引けるんだけど、アスナたちがそう言うならお世話になろうかな〜」

「なっ!?」


 し、新婚さん!?

 いつそんな話になったのよ〜〜!


「え、だって、アスナはクォンペントゥスのお嫁さんになるんだよね?」


 ……は?

 今、なんて?


「あれっ、何で皆、怒ってるの?」


 ソーダさんはキョトンとした顔でこっちを見た。

 ……ちょっと……どういうことか、説明、してもらおうかなぁ〜?

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