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わたし、異世界でも女子高生やってます  作者: 小織 舞(こおり まい)
ノーマルルート
100/280

ドギマギさせないでっ!?

 皆、黙り込んじゃった。

 わたし、拐われたことや、その犯人がアイスくんだってこと、皆に伝える気はないんだよね。わたしはもう許してるし、それに、ギースレイヴンに行ったことで色んなことがわかったから。


 そりゃ、確かに危険な目に合ったし、帰ってこられたこともラッキーの連続でしかないことはわかってるんだよ? けどね、もしもギースレイヴンに行ってなかったら、わたしの魔力ってきっとここまで回復してない。この土地は、ちょっと特別なのかもしれないね。


 わたしは皆を見回して、言葉を選んだ。


「心配かけてごめんなさい。書置きとかできればよかったんだけど、時間がなかったの。……あのね、わたしってば、このままじゃ、魔力が強すぎて精霊と同じ存在になるって言われちゃったの」


 わたしの言葉に、キャンディ以外の三人が驚いた。誰かが何かを言う前に、重ねて説明する。


「でもね! 色々あって、水の精霊シャーベットさんに、それは防いでもらったから今はもう心配ないの。それと、わたし、自分の世界に帰れるようになったみたい……。みたいっていうのは、わたしが帰る手段を知ってる精霊に出会ったからで、協力してくれることになったんだけどまだハッキリわからなくて……。だからね、今日は、お別れを言うつもりでここに来たの。わたし、元の世界に、帰ります」


 わたしは、不安な気持ちになりながら返事を待った。急にこんなこと言い出して、信じてもらえないんじゃないか、薄情なんじゃないかって……急にそう思えてきちゃって。ジャムたちと目を合わせるのが怖くてうつむいてしまった。


 そんな中、最初に言葉をかけてくれたのは、ドーナツさんだった。


「良かったじゃないか! 家に帰れるんだろう? ちゃんと方法、見つけられたんだな!」

「オルさん……」

「そうですね。私も、そう思います。アスナさんが無事に元の世界に帰れそうで安心しましたよ。結局、私たちは何もお手伝いできませんでしたが、せめてお見送りさせてくださいね」

「先生……」


 ドーナツさんに続けて、エクレア先生も微笑みながらそう言ってくれた。

 嬉しい……ホッとして涙腺が緩んじゃうよ。


 キャンディはニコニコしているし、ドーナツさんはわたしの頭を撫でてグシャグシャにするし、エクレア先生は笑いながらそれを注意したりして。そんな中、ジャムだけが黙って紅茶を飲んでいた。


「ジャム……」

「いつ?」

「えっ」

「いつ、ここを発つんだ?」


 まるで旅行に行く日を聞いてくるみたいなノリでジャムは言った。

 ……わたし、これでも一応、最後のお別れのつもりで来たんだけどな。だってジャムは王様なワケだし、「見送りにきて」なんて軽々しく言えないじゃない?


 なのにさ、こんなアッサリ流されると、ちょっと。悲しいって言うか、寂しいって言うか……。


「お兄様、(わたくし)、アスナのお見送り会を学園の皆様と一緒に開催する予定ですの。ですから、少なくともその後になるかと思いますわ」

「そうか」


 返事をしないわたしの代わりに、キャンディが答えてくれた。でも、それに対するジャムの言葉はやっぱりそっけないものに感じた。そりゃ確かに、結婚の話は断っちゃったし、この世界には残らないけどさ……友だちだと思ってたのって、わたしだけだったのかなぁ。


 そう考えていると、ジャムが立ち上がってわたしの目の前まで来た。


「アスナ、よくここまで頑張ったな。アスナが帰れることになって、オレも嬉しい」

「……ホント?」

「もちろん! 残念じゃないといえば嘘になるが、アスナが帰りたがっていたのはよく知っている。だから、本当に、よかったな」

「ジャム……」

「それにしても早かったな。一ヶ月しか経ってないぞ。これは早すぎるくらいだ。もう少し時間があれば、結果は違っていたかもしれないな」

「どういうこと? 結果って?」


 ジャムはその場に跪いてわたしの手を取った。あっ、なんかこの流れ……?


「三年あれば……」


 ジャムの青い目がわたしを見つめる。


「アスナ、オレはお前を完全に惚れさせていた」

「!」


 ま、真顔で何言ってるかな、コイツは!

 もう、顔が熱い……。


「フッ、今でも実はまんざらでもないんだろ?」

「バカ言わないで。わたしの好みで言えば、ジャムより、ジャムのお父さんのほうが素敵なんだからねっ」

「ま、そういう所がアスナだよな」


 ジャムは立ち上がると、両手を上げて肩をすくめた。ムカツク。


「学園の送別会には参加できないが、見送りには行くぞ。それに、城でもささやかながらパーティーを開こうと思っている。後で招待状を届けるからな。あ、あと、ドレスはオレが選んでおくから早めに来いよ」

「なんじゃそりゃ」


 コイツはいったい何回わたしにドレスを着せれば気が済むのか……。


「いいな?」

「いいけど……」


 どうしてか、素直に「ありがとう」って言えない状況だ。もしかしてわざとなの?

 わたしが気を使わないように?


「よし、決まりだ。さて、どんな衣装にしてやろうかな。楽しみだ!」


 気のせいかも。

 っていうか、皆苦笑いしてるよ、ジャム!


 お茶会というか説明会と言うか、情報交換はその後もずっと続いて、けっこう疲れちゃった。録音されてるっていうのに、お構いなしに話が脇に逸れるし、ふざけだしちゃうし!


 でも、楽しかったな。

 もうすぐお別れと思うと、寂しくなっちゃう。

◎ジャム

挿絵(By みてみん)

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【名前】ジェム・オースティアン

【性別】男

【年齢】17

【所属】ジルヴェスト国

【職業】国王

【適性】女たらし

【技能】◆この項目は隠蔽(シール)されています◆

【属性】オレサマ・ナルシスト

【備考】


 ☆ ☆ ★


☆『望まない結婚を強いられておりアスナを身代わりにした』

☆『国内の魔力を賄っているため自身は日中、魔法を使えない』

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥






◎ドーナツさん

挿絵(By みてみん)

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【名前】オールィド・ドゥーンナッツ

【性別】男

【年齢】20

【所属】ジルヴェスト国

【職業】宮廷騎士(若枝)

【適性】狂戦士

【技能】馬術・剣術・◆この項目は隠蔽シールされています◆

【属性】犬

【備考】ジャムの味方・精霊を呼び寄せる剣?


 ☆ ★ ★


☆『五年前に父親が先王と共に旅先で消息を絶った』

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥






◎エクレア先生

挿絵(By みてみん)

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【名前】アルクレオ・ギズヴァイン

【性別】男

【年齢】18

【所属】ジルヴェスト国

【職業】宮廷規律師範

【適性】教師

【技能】◆この項目は隠蔽シールされています◆

【属性】真面目

【備考】結界のことを知らなかった・双子の弟(カーリー先生)がいる


 ★ ★ ★

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

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