転生生活 魔法都市エディミアル 展開型魔方陣の弱点
フォーミュさんの試合終了の声が地下空間に響いた。
その声を聞くと同時に僕はため息を吐いた。
この勝負は、僕の負けだ。
こちらの攻撃が入る前にあちらの攻撃が僕に到達していた。
しかし、どうやらそう考えていたのは僕だけのようだった。
「この勝負クリア様の勝利と判断させていただきましたが、引き分けっということでよろしいでしょうか?」
「え?」
「ん~、僕の負けだと思うけどな~」
フォーミュさんは引き分けを提案、クリアは自分が敗北したと言う。
「いや、クリアの攻撃の方が先に届いていただろう?
だから僕の負けだいお」
「けど、僕の攻撃じゃフレアは倒しきれなかったと思うよ?
フレアの攻撃は確実に僕を倒していたと思うし、僕の負けだよ」
なるほど、真剣勝負なら確かにクリアの言うほうが正しいのだろうけど模擬試合なのだから攻撃が先に当たった方が勝ちと判断されるのではないだろうか?
「フレア君、取りあえずここは引き分けと言うことで決着した方がいいでしょう。
クリアもそれでいいですね?」
僕とクリアは渋々頷く。
「それよりもフレア君には知りたいことがあるでしょう?」
フォーミュさんの言葉に疑問が浮かぶがすぐに何のことだか思い至る。
「クリア、そう言えば魔方陣が動かなかったんだが、何かしたのか?」
「うん、魔力の流れがあったからその流れを魔力を当てて妨害したんだ上手くいってよかったよ~」
間延びした物言いだが、僕は衝撃を受けた。
「まさか魔方陣に細工したのか?」
「ん~?
細工ってほどじゃないよ。
ちょっと魔力を打ち込んだだけ」
魔力を打ち込む。
おそらく、僕が光と雷の魔法を使い分けるように光の属性を入れてない光の矢的なモノを放ったのだろうか?
「それって詠唱とかしないのか?」
「うん、魔力を扱うだけだからいらないよ」
マリコさんのところでは、教えてもらっていないことだ。
「それって、魔法学校で教えてもらったのか?」
「自分で思いついたんだ~」
僕は思わずドラフとミーミアを見る。
二人は、示し合わせたかのように首を振る。
「なるほど、もしかしてクリアって詠唱無しでも光の矢を放てたりするのか?」
「うん! 安定しないけどね~」
なるほどね。
僕は、魔方陣で詠唱を肩代わりできているが、クリアの場合魔力を直接操ることができるからあんなに安定した魔法を短い呪文で展開できたわけだ。
ちょっと、魔力を操ってみようとするが、どうしていいかわからない。
なんと言ったらいいか息を吐きたいがどこから吐けばいいかわからない感じだ。
「あ、だめだよ。
そんなに無理やり動かしたら爆発しちゃう」
間延びしないクリアの言葉を聞いて僕はすぐに魔力を動かすのを止めた。
「爆発するのか?」
「うん、ぱんっ!って」
「見たことあるのか?」
「うん」
「どうやって……」
「はいはい、そこまでそこまで」
ミーミアが止めに入ってきた。
「魔力操作なんてクリアしか出来ないんだからさっさと模擬試合に戻るわよ」
「いや、出来る奴が居てもおかしくは無いだろ?
でもすぐに出来るようなことじゃないんだ。
今は、明日の模擬試合のために時間を使おうぜ」
ミーミルの言葉はともかくドラフの言葉はもっともなので、僕はため息を付きつつドラフとミーミルにそれぞれ模擬試合の相手をしてもらった。
拙作をご覧いただきありがとうございます。
余計なシーンを多くすれば字数を稼げる代わりに読みにくくなる。
あまりにシーンを削りすぎると何をしているのかわからなくなる。
シーンを精密に書きつつ飽きさせない。
連邦軍の……じゃなくてプロの作家は化け物か