転生生活8
オムライスが美味しい回
いや、そんなに詳しく書いてませんが
「では、まず、あなた達の好みであるオムライスは、予め用意させていただいたものです。 と言っても2人のために用意したものかというと実は違います。 このオムライスは、王族のために用意されているものをちょろまかしたものです」
フォーミュさんの発言に僕は吹き出した。
エリイは、すんでのところで堪えたようだった。
「まあ、もちろん大抵の人はそんな反応をします」
ならここで言うなよ。
「その反応が楽しいので仕方ないのです」
ひでえ
「そう思われるのもやはり楽しいものです」
やっぱりこの爺さん
「ふふっ、まあ、王族に用意されたものということは気にしなくて大丈夫ですよ。 食べて頂いても何の咎めもありません、他にもいろいろ用意はありますから」
まあそう言うなら遠慮なくいただこうか。
まだ、謎は有るんだけどこれ以上は答えてくれないだろうな
「機密事項になりますので」
「ふーん、まあいいや食べようエリイ」
「フレア君大丈夫なの?」
「まあ、大丈夫って言ってるんだから大丈夫だろ、こんな一般市民罠に掛けたところで収穫はないよ。 貴族にとってはとんでもないダメージが入るだろうけどね」
全く、とんだ歓迎だ。
食事中、さっきの魔法について教えてもらった。
「風を利用した浮遊魔法が一番有名なのですが、水を操る魔法自体水を浮かせているのではないか。 そう思った時に思いついた魔法が、この浮遊魔法なんですよ」
「ふうん、この浮遊魔法を使える魔法士ってどれくらい居るの?」
「今のところ私だけですね」
うーん、水を操る魔法自体見たこと無いからな。
「しかし、フレア君ならこの魔法はすぐに使いこなせるようになりますよ」
「どういうことですか?」
「この魔法は、私が開発した魔法ではないのです」
「じゃあ、他にも使える人が」
「しかし、この魔法を開発した人はお亡くなりになりましたので現在私だけになるんです」
「そうなんですか」
残念
「では、食事が終わり次第魔法学校に入る準備をしましょうか」
「一応フレアくんはそれなりに勉強をしているらしいですので、私はその詰めの教師をしましょうか、あと魔法学校における礼儀作法もね。 ただその前に最低限の準備をするためにドアゴン街に向かいましょう」
ドアゴン街ねえ
「ひとまず魔法的な道具は大体ドアゴン街の横丁で揃いますから」
食事が終わり、出かける準備をするためにエリイと僕は割り当てられた部屋に入る。
階段を登って直ぐの部屋でエリイとは隣部屋だ。
部屋の中は一人で過ごすには十分すぎるほど大きさがあった。
部屋の装飾はあまりなく、ベッドと机が部屋の中での行動が阻害されないような位置にあった。
さて、準備っつってもあまりやることが無いんだよな。
ぶっちゃけ何をすればいいかわからん。
部屋を出てエリイの部屋をノックする。
「エリイ、準備出来たか?」
「ちょ、ちょっと待ってね」
別に、何かする必要もないだろうに、なんで遅いんだ?
「一階のエントランスで待ってるぞ」
「分かった!」
エントランスに降りて、さっきの浮遊魔法のことを考える。
前世の記憶と言ってもどうやら全くダメな人間だったようでてんでろくな記憶が無い、と言っても教育水準が高い環境で育ったようで物事の概念に置いては十分にこの世界に普通に過ごしていては気づかない物が多い。
幸いにこの世界は概念を持つものほど有利になる。
前世の記憶のおかげで魔法が他の人より強いのはまあいい。
前世の記憶では他にも自分の才能に溺れた者がどうなるかという教訓が有る。
そのおかげで調子に乗らないように気をつけている。
しかしどうも、その記憶の弊害というかどうも思考に影響を与えているのは確かだ。
しかし、あの浮遊魔法に関していえば複数のことがすぐに思いつく、一つはそのものを浮かせる。
呪文にしてみれば『オムライスよ浮いて来い』と言ったところだろうか?
しかし、その程度の魔法なら誰でも使えそうだ。
どういう事だろうか?
普通のも者には使えない魔法か。
とりあえず水を操る魔法を見てみた方がいいかな?
水魔法だけは、どうも相性が悪くて使えない。
理由は、前世の記憶だ。
海で離岸流に陸がぽつんとなるところまで流された記憶がどうも影響しているらしい。
僕自身はそれほどではないが、少なくとも水に関連する魔法が使えなくなっている。
そのため、水の魔法を使える魔法士を探さないといけないかな?
一人しか使えないというのが果たして、コツを知っているからなのか、他人に教えてもわからないのか。
「後者ですよ」
へえ、そうかって、
「うわ! 急に後ろから声をかけないでくださいそれと人の心を読むな!」
突然フォーミュさんが声をかけてきたのでびっくりした。
いや、それもあるけどナチュラルに人の心を読んでくるこの人にプライバシーもなにもない。
「それは申し訳ない、しかし、この屋敷の中にいる時は人の心を読むことができるんですよ」
「エリイの心も読んでたり」
「流石に女性の心を読むのは失礼、いえ、そちらの心を読んでいるのでこちらも本心で話しましょう。 私のこの能力は心の表層に出てくるあなた方が思い浮かべた。 言葉を聞く魔法です。 この魔法は常時発動型なので止めることが出来ないんですよ」
「けど止める方法はあるだろ」
「はい、しかし、その場合この館を丸々潰さないといけません」
は?!
「まあ、そうなりますよね。 詳しくは教えることは出来ませんがこの魔法は館自体にかかっているんです。 なのでこの魔法は私でも止めることは出来ません」
「ふざけ」
「ただし! この魔法は相手の本心を見抜く魔法ではありません。 あくまで心の声を拾うだけです」
はっ! ふざけた話だ。
「そう思うのもごもっともです」
しかし、強制的で一方的なテレパシーみたいなものか。
「おまたせー」
エリイが降りてきたようだ。
「遅かったな」
「女性の準備は時間がかかるものなの」
そういえば、なにかいつもとイメージが違うな。
「化粧ですね」
フォーミュさんが思考を読んで先に言う。
「化粧? それってする必要あるのか?」
「女性の嗜みですよ」
そういうもんか?
エリイを見ると頬を膨らましていた。
「ふんっ! 子供のフレアくんにはわからないもんね」
「化粧って可愛くない奴が可愛く見えるためにするやつだろ? エリイに必要か?」
「なっ」
ん? エリイの顔がみるみる赤くなっていく
なんでだ?
怒ってるのか?
これはいかん、めっちゃ拳を握って震えてる!
「いやっ、ほらっ、その服も似合ってるしさ化粧のせいで逆にエリイの良さが見えにくくなってるしさ」
急いで言い訳して取り繕って、埋め合わせないと
「と、とにかくエリイは、なにしてもかわいいって」
「フレアくんのバカ!」
真っ赤な顔のまままた二階へ上がって行った。
「ふふっ、これはとても面白い間柄ですね」
フォーミュさんは僕とエリイのやり取りを見て微笑みを浮かべてつぶやくのだった。
拙作をご覧頂きありがとうございます。
出来る限り直していこうと思います。