転生生活 魔法都市への道 小話
タイトルで困ることがあります。
作品中の言葉を選んだり番号フルだけのほうが楽だけど、味気ないんだよなぁ。
「君たちは、ダンジョンで会った」
盗賊ひとりで迎撃していた青年は、納刀しながらこちらに向いて話しかけてきた。
「悪いが急いでいるんでね。
少ないかもしれないけど少し盗賊の処理が早くなったことだしこれをあげるよ」
青年剣士は腰に提げている革袋から魔石を二個ほど取り出してこちらに投げてきた。
「それじゃ」
魔石をこちらが受け取る事を確認すると御者台に乗り込み馬車を走らせはじめた。
「貰える物は貰っとくけど、何か釈然としないのは自分だけか?」
クーデルさんは、首を傾げながら呟く。
「気にしない方がいいですよ
それよりもさっさと馬車に乗り込んで進んでしまいましょう」
それほど急ぐ必用は無いとは言えここで立ち止まる必用も無い。
だから、馬車に乗り込みつつクーデルさんに馬車に乗るよう促す。
「それもそうか」
僕の言葉に理解を示しさっと馬車に乗り込む。
「しかし、驚いたな。
強いとは聞いていたがあれほど鬼気迫る強さとは思わなかったな」
「そうですね。 あれほどの剣の使い手は中々いないでしょうね」
「わかるのか?」
「いえ、けれど纏う空気が違うように感じます」
「知ってる魔法士で言ったらどのくらいだ?」
「フェイムさんと同じくらいかそれ以上に感じます」
「『多重』か。
まあ、魔法士が剣士の実力を測るなんざ笑い話にもならんか」
そう言ってアルヴァンスさんは、馬を走らせ始める。
「後、どれくらいで魔法都市に着きますか?」
ふと、アルヴァンスさんに尋ねる。
「そうだな後、町を三つほど通ると着くから4、5日、多めに見積もって一週間ってところだ。
それがどうしたんだ?」
「いえ、また学校の寮に戻れると思うとなんだか懐かしいような久しいような何とも言えない感じです」
「懐かしいはちっと違う気がするが、まあ、言わんとすることはわかる。
しかし、魔法都市に着いたら忙しくなるぞ?」
アルヴァンスさんに言われた意味がわからずに首を傾げる。
「今から一ヶ月後には昇級試験がある。
今年最後の試験だからしっかり知識を詰め込んでおかないと落ちるぞ」
「ええ!? ど、どうしよう魔法学校で教えている内容なんてほとんど知らないんですけど」
「心配するなって」
僕がうろたえていると見かねた様子でクーデルさんが教えてくれる。
「マリコ師匠の元で学んだんだ。
巨人クラスになるぐらいの知識は叩き込んでいる。
魔法学校の時とマリコ師匠どっちが厳しかった?」
そう言われて安心する。
「マリコさんです」
「だろう? 魔法学校は選ばれたものが入れるというものだが、貴族が多いから授業内容も若干緩くなる傾向があるからな」
「よく知ってますね」
「俺も行ったことがあるからな」
「そうだったんですか」
実は先輩だったのか。
「けど、今まで聞いたことがありませんでしたよ?」
「そりゃ、わざわざ言わなかったしな」
肩を竦めてフリードのメンテナンスに意識を戻した。
「クーデルさん、よくそれのメンテナンスをしてますね」
僕は、ふと疑問に思ったことを口にした。
「ん? ああ、結構繊細な武器でな。
錬金術と剣技を併用するとどうしてもガタがきやすくなるんだ」
「なんでわざわざ一緒にしたんですか?」
「ロマンだ」
「なるほど」
わからなくもない。
「お、この話をすると師匠たちには呆れられるんだが、そうでもなさそうだな。
これの良さはやっぱり男じゃないと分からないよな」
クーデルさんは納得したように何度も頷きます。
「その剣が壊れたどうするんです?」
「一応、ナイフと予備の錬金術器があるからなんとかなるさ。
壊れてほしくはないが、死んだら作り直す事もできないしな」
そう言ってクーデルさんは、フリードをカシャンと鳴らして横に置く。
「もう終わりですか?」
「ああ」
「よく飽きませんね」
「師匠曰く『好きこそものの上手なれ、好きこそ継続の秘訣なり、継続こそ力なり』らしいからな」
「なるほど」
好きこそものの上手なれと継続こそ力なりは前世のことわざにもあったな。
好きこそ継続の秘訣なりは、マリコさんが考えたんだろうか?
それともこの世界にあることわざなんだろうか?
「それじゃあ、僕も雷魔法をもっと好きになればもっと強くなれますかね?」
「まあ、そうだろうな。
俺からすれば今でも十二分に強いと思うが」
クーデルさんは困ったような顔をして頬を掻くのであった。
拙作をご覧いただきありがとうございます。
年内最後の投稿になります。
拙作をご覧になられた、数少ない物好き、いえ、小説好きの方々、来年も良いお年を。