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転生生活 理不尽なる師弟関係~唸るクーデル~

 必死の抵抗も虚しく網から逃げられなかった僕は結局最初の部屋に戻ってくることになった。

 そこには先に出会った二人、クーデルさんとスフィリアさんがいた。

 クーデルさんの方は大広間で見た時とは違い黒いコートを着ている。

 スフィリアさんは図書階にいたときと同じ白いローブを羽織っている。


「で、師匠、本当にこの子を弟子にすんですか?」

「何? 何か文句でも?」

「あるに決まってるでしょ! 俺がどれだけ苦労して弟子になったと思ってるんですか!」

「それが世の中というものだわ」

「ぐぬぬ」


 クーデルさんが唸る。

 そんなクーデルさんにスフィリアさんが追い打ちをかける


「普通、ノウキンなあなたを弟子に取りたいと思う人はいないですしね」

「うっせえ、お前も簡単に弟子入りしやがったよな!」

「私は優秀ですし」

「ぐぬぬ」


 再びうなるクーデルさん、……優秀なのは認めてるんだな。


「全く、クーデルもあきらめろ不意打ちに近いとはいえ負けたお前が口出しするべきではない」

「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ」


 最後に喋る鎧の人がダメ出しをしてクーデルさんは唸るだけになってしまった。

 クーデルさん唸っている第一印象が唸るだけっていうのはどうなんだ。

 っとそんなことより


「あの、ここから出してくれませんか?」


 網に捕まっている状態が流石にしんどくなってきた。


「ああ、ごめんごめん、あまりにもいじりがいがある弟子なので少しばかり脱線してしまったわね。

 ライラ」

「はっ!」


 喋る鎧の人、もといライラさんは僕を開放してくれた。

 少し体を伸ばして周囲を確認してアルヴァンスさんがいなくなっていることに気がつく。


「あれ? アルヴァンスさんは?」

「とっくに帰ったわよ」

「そうですか」


 気のいい人だったから一緒にいて楽しかったんだけど、まあ、あの人も忙しいのだろう。


「ふむ、聞き分けが良いのは助かるわ」

「あの」

「なに?」

「僕がここに連れてこられた本当の理由って何ですか?」


 僕がそう尋ねるとマリコさんは、面白そうにこちらを見る


「あら? 気が付いたの?」

「はい、怒涛の展開で思考が停止していたんですが網で引きずられているうちに頭が冷えて、そもそも弟子にするために連れてきたとか。

 捕まってる僕を逃がす理由になりませんし、ここに来るまでに追いかけれた理由が説明付いていません」

「ふふ、簡単に言うなら私が君を匿うためね」

「匿うですか?」

「ああ、君の置かれている状況は君が思っている以上に困った状態になっているの。

 とはいえ、少なくとも最悪とまではいかないわ」

「置かれている状況?」


 そういえばここに来る前は牢屋に入れられていたんだっけ。


「ふむ、端的に言うなら魔導書盗難事件の犯人と言ったところよ」

「へ?」

「まあ、そうなるのも無理はない話でしょうね。

 まごうことなき濡れ衣を着せられたわけだからね」

「ちょ、ちょっと待ってください」

「なに?」

「どうして僕が魔導書を盗んだことになってるんですか!?」

「普通はお前さんが犯人とでっちあげるのは不可能な話でしょうね。

 だけど、今回は運が悪いわ。

 聞いたことないかもしれないけれど、『ティアマト』がフォーミュをはめようとしているからね。

 そのはめるための存在がフレアとわけよ」


 僕は絶句した。

 要するに政治闘争に巻き込まれたというわけか。


「ふっ、どうやら分かったようね。

 今回、お前さんがここにいる理由は政治闘争の一環よ。

 実際に盗んだ奴がどの勢力かわかってはいないけれど、犯人を押し付ければ痛くもない腹を探れるってわけ」

「そんなことで、そんなことで」


 ふつふつと心の底から怒りがこみ上げる。


「まあ、怒りは分かるわ」

「そんなことで僕とエリイが引き離されたのか!」

「はい?」


 あれ? 何その、この子何言ってるの? みたいな目線は。


「エリイっていうのは? 確か闇のクラスででかい魔力を持った子がそんな名前だったわね」

「同じ村に住んでいた幼馴染ですよ。 こっそりついてきたエリイが魔力検査をしたら闇の魔力だとわかってそのまま魔法学校に入ったんです」

「へえ、なるほどなるほど、そういう事ね」


 マリコさんは、何やらしきりに頷く。


「まあ、なんにせよ君がここに来た理由は匿うだけじゃないわ」

「匿うだけじゃないんですか?」

「まあ、本来魔法学校で習うはずだったものをここで学んでもらうっていう理由もあるからね。

 そういう意味では先に言った魔法の修行と言うのも満更間違いでもないのだからしっかり魔法を学んでちょうだいね」

「……スパルタでな」


 逃げた先にあった設備を思い出す。


 なるほど、確かに必要な設備はそろっていたね。

 ところで今なんて言ったクーデルさん。

拙作をご覧いただきありがとうございます。

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