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転生生活4

魔法に関する簡単な説明回

 盗賊を倒し、再び出発した時にふと自分の持ち物の場所が動いているような気がした。

 置いた場所からずれているのだ。

 まあ、最初はただ、馬車に揺られて動いたのだと納得したのだが、かばんの中身が少し減っていた。

 具体的には、僕の好物である餞別で貰ったはちみつがなくなっていたのだ。

 もちろん、冒険者の皆さんは知らないという。


「自分で食べたのを忘れたんじゃ?」

「それも考えたんですが、覚えがないということは置いておいて、はちみつが入った瓶ごとなくなっているんですよ」


 メイさんに言われたことはみんなに聞く前に考えたが、はちみつ瓶は、絶対に置いておくのが僕の習慣だ。

 ガラス製の瓶は色々と便利だし貴重だ。 水を入れたり、ちょっとした植物や昆虫を入れておいたり、あるいはまたはちみつを入れたり。


「瓶ごとなくなっているのか」


 御者台からオブライエンさんが尋ねてきます。


「はい、一番気に入っているやつで」

「幼なじみにもらったやつとか」

「え? はい、そうです」


 あれ? オブライエンさんに幼なじみのこと話したっけ?


「えっと、あの、

「ああ、気にするなその幼なじみから直接聞いたからな」


 そう言うブライトさんがくすくす笑い始める、グレイさんが笑いを堪えているブライトさんの脇腹を肘でをつついたあと、


「そこの荷物の中だ」

「あっ、グレイまだ早い!」


 と荷物の中にある布の山を指さします。 すぐにブライトさんが手を叩き方向を変えようとしますが、指差した方を見た時、ガサッと布の山が一瞬動きました。

 ガサッと動いた布を取ると


「おはよう、フレアくん」


そこには、僕の出立を反対していたエリイがうずくまっていた。


「う、え? なんでここにいるの?」

「もちろん、お前を追いかけてだろ」


 クスクス笑っていたブライトさんがクフクフと少し抑えが聞かない笑いになりながら言います。


「え? なに? みんな知ってたの?」


 僕と同じくらい鎧のメイさんが驚いていたようだ。


「いや、最初から知ってたわけじゃないさ」


 オブライエンさんが御者台から言います。


「盗賊を倒したあと、念のために荷物が減ってないか確かめたんだ。 その時にお嬢さんを見つけてな」

「そうそう、いつ言おうか迷ってたところだったんだよ」

「すぐに言おうとしたんだが、この2人が面白がって止めた」

「「おい」」


 オブライエンさん……幻滅しますよ。 ブライトさんは最低認定です。


「そんな顔するな、俺もオブライエンもちゃんと考えて行動してるんだからな」

「ええ?」

「少なくともグレイも少なからず肯定してたしな、黙ってたのが良い証拠だろう?」

「うーん、まあ、そうですね」

「なんでそこで納得する!」


 ブライトさんは頭をかかえます。幻滅したとはいえオブライエンさんはまだ信用できます。


「なんで私にも教えてくれなかったんですか!」


 仲間はずれにされたメイさんが怒りの声を上げますが、鎧なので表情が全然わからないのでどの程度怒っているのかわかりません。


「お前は口が軽い」


 グレイさんに言葉のナイフをもらったメイさんは、うめき声をあげて前のめりに倒れます。


「グレイナイフが炸裂したな」


 オブライエンさんは陽気に笑います。

 いや、オブライエンさんあなたも実行犯の一人でしょう! なぜに他人事!


「まあ、落ち着け、フレア君、君がまごうことなき天才だからこの方がいいと判断したんだ」

「どういうことですか?」

「考えても見ろ、君が行くところは魔法学校だ」

「はい」

「間違いなく、君は魔法学校で特別な待遇を受ける」

「本当ですか?」


 そんな簡単に高待遇とかいいの?


「もちろんだ。 我々、戦闘のプロを凌ぐ強さを君は持っている」

「そんなに僕の魔法は強いんですか?」

「ああ、独学とは思えん強さだ。 なんだったらパーティに欲しいほどだ」


 そんなに僕は強いんですか。


「だからこそ孤独になる可能性がある」

「孤独、ですか」

「ああ、君が持ち上げられるか蔑まされるかだろうな。 まあおそらく後者だろう」

「なぜですか?」

「君が

「団長そこまで言う必要ありますかね」


 ブライトさんがオブライエンさんの言葉にかぶせて言う


「まだ10歳ですよ?」


 ブライトさんは今までの軽薄な感じではなく、とても真剣に言います。

 ギャップが凄くてとても怒っているように見えます。

 この時だけ見ると騎士に見えなくもない。


「む、だが、この世界は待ってはくれないぞ。 遅かれ早かれわかることなら早く知っていたほうがいいと思うが」

「流石に10歳の子をいじめるなんてどんな貴族でもしないと思いますけどね」

「内部にいたらわからないことはあるもんだ」


 グレイが割って入り気になることをいいました。

 ん? それって?


「わかりましたよ、ただ、やはり、どんな天才であっても子供に関わらせない範囲は絶対に止めますからね」


 なんだか意外な面があるなブライトさん。


「まあ、つまり僻みを君に持つものが現れる可能性が高い。 孤立する可能性もあるそのためにも彼女を君のそばにおいておくほうがいいだろう」

「そうですか、そこまで考えてくれていたとは感謝します」

「ああ、しかし、君は、十歳にしてはすごく熟達した感じがあるな」


 そりゃ、『転生者』だからでしょうね、なんて言えるはずもない。

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