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転生生活 ペンドラゴン領

 木漏れ日の差す森の中、木々が飛ぶように前から来ては後ろに流れていく。

 後ろを見てみると馬車が三台ほど付いてきている。

 後ろの馬車には軽装とは言え武装した人たちがこちらに向かって弓を放ってきている。


『五条の雷の矢よ敵を射抜け』


 僕は後ろの馬車に対して五本の雷の矢を放つ。

 しかし、雷の矢は後ろの馬車に届く前に霧散してしまう。


「やっぱり効かないか」

「驚きだろ? ありゃ、魔力障壁とか言うレベルの結界じゃないな。

 高度な結界魔法だ。

 魔力の無駄になるからそれより壁をちゃんと作ろうぜ!」

「はい」

『雷の壁よ攻撃を防げ』


 僕が呪文を唱えて壁を張ると同時に矢が届く。


「しかし、もうすぐで目的地だ」


 僕は後ろを振り返ると森が終わっている。

 そして、森の出口には体長八メートルに届きそうなほどの巨大なずんぐりむっくりな土人形が二体配置されていた。


「あの、アルヴァンスさん! 目的地についても後ろの人達はどうするんですか!?」

「大丈夫だ、あのゴーレムどもが排除してくれる」


   アルヴァンスが言い終わるが早いか土人形二体が動き出した。


「うわあ」


 ゴーレム達が動き出すと同時に拳を振り上げる。

 そして、ゴーレム二体の間をすり抜けると後ろの馬車の内二台が止まり一台が追いかけてくる。

 何か後ろで怒鳴っているのが聞こえたが次の瞬間ゴーレム達が拳を振り落としたかと思うと爆音のような地響きと共に砂塵が吹き上がった。


「ふう、なんとか追手に追いつかれる前に着けたな」


 そう言ってアルヴァンスさんは馬車の速度を落とした。

 僕は砂塵に目を凝らすが追いかけてきた馬車も他の馬車二台も追いかけてこない。


「ほ、本当に大丈夫なんですか?」

「まあ、心配するのはわかるが、問題ない。

 もしこの領に許可なく侵入すればああなる」

『風よ払え』


 アルヴァンスさんが呪文唱えると風が起こり砂塵を吹き飛ばす。

 晴れてきた砂塵の中にあったのは見るも無残な馬車の残骸であった。




 ----------



 追手の追撃もなくなり、さっきの騒動が嘘のようなゆっくりとした速さで馬車は走っている。

 馬を酷使したため馬を休めるためだそうだ。

 本当は、きちんと休みを取りたいそうだが、まだそこまで休めるわけではないらしい。


「まあ、まずは街についてからだな」


 アルヴァンスさんはそう言いながら綱を手繰る。


「あの、ここの領主は誰なんですか?」

「え? 知らないのか?」

「は、はい」

「驚いたな、ここはペンドラゴン領と言って国内では随一の魔法士輩出領なんだぞ?」

「そ、そうなんですか、初耳です」

「世にも珍しい女領主マリコ・ペンドラゴン伯爵が治める土地だ」

「世にも珍しいですか?」

「ああ、まず一人一つであるはずの称号だけで二桁に上る」

「へ?」

「あれだフェイムの野郎で言えば『多重』に当たるものだが、ざっと上げるだけでも、『魔女』『破壊者』『竜騎士』『錬金術師』『懐剣』『破軍』『地帝』『転……」

「ストップストップ! わかりましたわかりましたからその辺で」


 切りがなさそうだ。

 少なくともとんでもない人物なのは確かなようだ。


「ん? そうか、取りあえず、あってみればどんな人物か一発でわかるから細かいことは言わないが、一つだけ忠告」

「はい」

「彼女の前で『勇者』と『教会』そして『聖騎士』という言葉を口にしてはいけない」


 僕はアルヴァンスさんの言葉に首を傾げる。


「勇者に教会、聖騎士ですか?」

「ああ、まず宗教関係は大嫌いだ」

「そうなんですか」

「そうなんですよって他人事か!」

「へ?」

「お前はまずマリコ・ペンドラゴン伯爵に会わないといけないんだぞ?」

「え、だって僕、今やただの一村人じゃなかった。 犯罪者ですよ?」

「だからこそだ。

 まずその目でお前のことを見てみたいそうだ」

「そうなんですか」

「はあ」


 ため息を吐かれた。


「まあいい、取りあえず会う前に身だしなみを整えないとなっと街が近くなってきたな」


 そういうアルヴァンスさんが見る方へ視界を向けると森の終わりにいた土人形と似たような造形の鉄人形があった。


「あれは」

「アイアンゴーレムだな、対して侵入者を撃退していたのがクレイゴーレムだ」


 どうやって作っているのか想像もつかない。


「驚きだろう? 俺も最初は驚かされたよ」

「今は?」

「驚きだぜ!」


 そんな掛け合いをしながら鉄人形アイアンゴーレムの間にある入口に着く。


「ヨウコソ、ペンドラゴン領ヘ」


 そこで門番をしていたのはまさかのゴーレムだった。

拙作をご覧頂きありがとうございます。

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