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転生生活 逃亡生活

 まず、今の僕が言えることはただ一つ、「どうしてこうなった」である。

 幌馬車に揺らされて少し気分が悪くなっているのが僕の精神に負荷を掛けてくる。


「おい大丈夫か?」

「はい、なんとか」

「驚いたな、真っ青じゃねえか」

「だ、大丈夫です」

「そうか? ……分かった、やばくなったら言えよ」

「はい」


 逃亡中の僕の護衛兼道案内役のアルヴァンスさんが心配してくれる。

 僕は返事をするがでも大丈夫ではない。

 吐きそうである。


「その目的地まではどのくらい時間が掛かりそうですか?」

「そうだな、あと十五日は掛かるな」

「……遠いですね」

「驚きだろ? だいぶ田舎というか辺境だしな」


 いたずらっぽい笑みを浮かべるアルヴァンスさん。


「でも、もうそろそろ最初の宿に着く」

「宿に泊まって大丈夫なんですか?」


 脱獄したのだからお尋ね者になっている可能性は高い。

 なので大丈夫かと聞いてみたのだが


「大丈夫だ。

 むしろ大丈夫じゃなかったら驚きだ」


 そう明るくアルヴァンスさんは宣言した。

 ここで、僕は前世の思考がまだ残っていることに驚いた。

 少し考えてみればこの世界に前世ほどの通信網は発達していない事はよくわかっているのだから、情報の伝達がそう簡単にできるはずがないことを思い出したのだ。


「だが、のんびりと言うわけにもいかない」

「はい」


 情報網が発達してい無いとは言えども貴族の子供を害した人物でしかも脱獄を許しているような人物であれば間違いなく追いかけ捕えようとするだろう。

 なので焦らなくてもいいが、のんびりするわけにもいかないのである。


「まあ、目的地に着くまでは緊張感を持って行こうか」

「はい」


 そうして僕らは宿をとることになった。

 ちなみに泊まるのは村の宿で基本的に街には入らないそうだ。

 理由として挙げられるのは、やはり追手が掛かりやすいからだそうだ。

 村は無数にあるので調べにくいが、街は入市税がかかるため調べが付きやすいとか。

 大きい街ならばいくらでも隠れることができる場所はあるが小規模な街だと簡単に居場所が分かってしまうからだそうだ。


 急ぎ旅で一回も休まずに一日中なれない馬車に揺られていたため体調はあまりよろしくないけど、すぐに追手に追い付かれることはないと思いたい。


「とわ言えせっかくの休憩だ。

 その思いつめた顔は何とかした方がいいな、目立つ」


 アルヴァンスさんは僕の頬をぐいぐいと引っ張る。


「いはいでふあるはんふはん」

「とりあえず困ったときは笑っとけそれで何とかなる」


 ニッと笑うアルヴァンスさんを見て僕もつられて口角を上げる。


「そうそう、『笑う門には福来る』ってばあちゃんも言ってたしな」


 おお、ことわざだ。

 でもこの世界にそんな言葉あったの?


「笑っとけば嫌なことは自分から逃げ出すらしいからな。

 笑っとけば問題無しとまでは言わないが、少なくともいいものは寄ってくる」


 なかなか深みのある言葉だ。

 

 でも


「ほろほろはなひへもらっへいいへふは」


 いい加減この手を放してほしい。

拙作をご覧いただきありがとうございます。

少し筆が進まなくなってまいりました。

プロットって何? 美味しいの?

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