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転生生活 30 裏側 とある小屋で

「おい、この森には誰も近づかないって言ってただろ!」


 森の中の小屋で長身の男が怒鳴り声を黒いローブを纏う人物に向けて発した。


「だから、今の期間は魔法学校の生徒が課外学習に森に入ると言っていたでしょ」


 黒いローブの人物は、返事にに呆れを混じらせる。

 声の高さから女性と推測できる。


「奥まで入って来ないから大丈夫とか言っていたのはお前だろうが!」

「ああ、もう、そう声を張り上げないで結界を張ってるって言ってもあんまりと騒ぎすぎると何が出てくるかわからないんだから」


 黒ローブの中でため息を吐く。

 黒ローブの人物は、粗野な長身の男に向かって尋ねた。


「本当にあなたたちいらないことをしていないでしょうね」

「いらないことはしてない、必要なことだ」

「あなたたちが何をしようと勝手だけど森の妖精や精霊に手を出さない方がいいわよ」

「そうかい、で? 手を出したらなんだっていうんだ?」

「別に? 私は何もしないし何も知らないわ。

 ただ、忠告だけはしておくわ。

 ビジネスパートナーとしてね」

「あ? びじねすぱーとなー?」

「はあ、まあ、実際にはあなたじゃなくてもっと上の方の人なんだけど、まあいいわ」

「何なんだびじねすぱーとなーって」

「取引相手よ」

「ああ、なるほど」


 女性は再びため息をつく


「俺をバカにしてるのか?」

「バカにはしてないわ(バカとは思ってるけどね)」

「(次、バカにしやがったらぐちゃぐちゃに犯してやる)そうかよ」

「じゃあ、私はこれで(忠告するのめんどくさくなっちゃったわ、森の主と繋がりがあるとかね)」

『転送方陣』


 女性の足元に幾何学模様が現れて女性が姿を消した。


「っち、得体がしれねえぜ魔術師・・・様はよ」


 そう言って男性は小屋の中に入る。


「オラッ! さっさと作れチビども!」


 小屋の中で強面の男が怒声を上げた。

 その声を聴いた小さな人たち、人は彼らのことを妖精と呼ぶ。

 そんな彼らは自らの腕を切り傷口から血を小瓶の中に入れていく。

 彼らは体の大きさと同じぐらいしか血を持たないため一人あたりから取れる血の量はごく少量だ。

 しかし、その場には百以上の妖精たちがいて量では足りないということはなさそうだ。


「これ以上血を出したら死んでしまいます」


 頭に王冠を乗せた一人の妖精が強面の男に抗議する。


「ッチ! さっさと休んで血を作れ」


 男はそう言って妖精たちを睨んだ。

 強面の男の他にも五人ほど男が妖精たちを見張っている。


 しかし、妖精の数が多すぎてとても見張りを完全にこなせているようには見えない光景だった。

 勢力で言えば明らかに妖精のほうが上なのだ。

 しかし、妖精たちは戦うそぶりすら見せない。

 苦痛に顔を歪めてただひたすら血を自らの体から絞り出す作業を行うのみであった。


 一匹の妖精がその状況に耐えかねたのか見張りの隙をついて窓から逃げようとしていた。

 しかし、妖精たちは窓からは逃げれないことを知っていた。

 窓の近くには数匹の妖精たちが転がっていた。

 逃げ出した一匹の妖精は分かっていながら今の状況に耐え切れず逃げ出そうとしたのだ。

 しかし、窓から出ようとした瞬間妖精に衝撃が走った。


「うぎゃあああああああ」

「なんだ、また逃げようとしやがったのか。

 いい加減学習しやがれお前らは逃げれねえんだよ」

「う、うう」

「ったくよういつまで、妖精の血を集めればいいんだか」

「そういうな、まだ割はいい方なんだ」


 強面の男の独り言に後ろから長身の男が返した。


「で、受け取ったのか?」

「ああ、脱走用の方陣だそうだ」


 そう言って長身の男が一枚の紙を取り出す。


「どうやって使うんだ?」

「呪文を唱えればいいらしい」

「はあ、便利なもんだな。 魔法士の魔法を俺らでも使えるようになるのか」

「使いきりらしいがな」

「それでもすごいもんだ」

「まあ、なんにせよこの仕事が終わったらまとまった金が入るし久々に飲みに行こうぜ」

「ああ、妖精の王女様が死なねえように頑張らねえとなあ」


 強面の男の視線の先には手の平に載りそうなほどの小さな女の子が籠の中に閉じ込められていた。

拙作をご覧頂きありがとうございます。

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